ファイト島開発記1 上陸
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リアクション
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『初上陸の興奮も収まらぬまま、アイドルたちはまずは拠点となる場所を確保するべく、島の探検へとでかけていくのであった』
「というわけで、以後は各自に任せた行動となるが、当然注意点もある」
一同を集めて、チーフディレクターが改めて注意事項を確認しました。
「基本的に、すべての行動はカメラに収められることになる。常に、視聴者の目が光っていることを忘れないように。遠足に来たのでも、バカンスに来たのでもない。これは仕事だ。また、ルールとして、大原則として、すべての物はこの島の中だけで調達する。どうしても手に入らない初期の大工道具などは適当に誤魔化すが、後は拾え。また、電気を利用した文明の利器も、持ち込みはできないので注意するように。なお、食事とトイレは、こちらのベースに準備してあるので、自由に利用するように。ただし、建前として、この島には存在しない物なので、映像に写さないように注意するように。また、番組の建前として、極端な環境破壊や生態系の破壊は禁止とする。イメージ悪いからな。以上だ。さあ、アイドルとして、目立ってこい!!」
チーフディレクターが、みんなにハッパをかけます。大人の事情てんこ盛りです。
「ようし、みんな行くわよー!」
「おー」
誰がリーダーということもありませんから、さり気なくガヤとして古川玲河とキング・デイヴィソンが気勢をあげました。
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「とりあえず、雨風がしのげる場所が必要よね」
そう言って、一色緑が山の方へとむかって歩き始めました。何か見つけたときの記録用にと、スケッチブックとえんぴつをかかえています。
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「できれば、ログハウスがいいよね」
「うんうん。やっぱり、建てるなら、山小屋っしょ」
「そうそう。セーブポイントは大事なのだ」
桐山撫子に同意する鳴水立輝海の言葉に、エステル・エルウィングがうなずきます。
「セーブポイントって……」
なんじゃあそりゃあと、鳴水立輝海がエステル・エルウィングの方を振り返りました。
「リスタート地点を安全地帯に確保するのは、基本中の基本だぞ」
そんなことも知らないのかと、エステル・エルウィングがちょっと心配そうな顔を作りました。
「それに、トイレとかも必要だよね」
桐山撫子が、別の心配をします。
「ああ、それは心配ない。それに、トイレ関係の映像はすべてカットだ」
そこへ、チーフディレクターが割って入ってきました。
「ええっ、なんでですかあ。トイレは大事だよっ!」
「それは、君たちがアイドルだからだ!」
聞き返す桐山撫子に、ディレクターが言いました。
「アイドルは、しっこなど、せんのだ」
言い切りました。
まあ、そうでなくとも、お食事中のお茶の間にトイレの話はタブーです。
「だが、トイレは重要だ。作るのであれば、フレームの外でコソコソと作るように。それに、問題は、この人数なのに、この島では汲み取りが来ない。簡易トイレの物は、回収して持ち帰るが、備えつけの物はそうもいかん。かといって、肥だめを作るのも、放送できないし、衛生管理上かなり問題となる。絶対に感染症の原因にならないとは言い切れないし、埋めるにしても、島のそこら中にうんちの落とし穴があったのでは目も当てられん。そのへんをよく考えてトイレは作るように」
「うーん、なんとかするよー」
考え込んでもいい案が出ないので、とりあえず見切り発車することにした桐山撫子でした。
「水に近い場所の方がよさそうですね」
愛用のサバイバル本を片手に、空花凛菜が言いました。真水の確保は大切です。
「それじゃあ、わたしは何か材料になるような物を見つけてくるね。何か見つけたら、後で届けるから」
大工道具を持って、世良延寿が空花凛菜に言います。生えている木の他にも、廃屋とかあれば解体して家の部品が手に入るかもしれません。
「ようし、とりあえず、あのへん行ってみようぜ」
ホークアイで、山の方を見渡しながら鳴水立輝海が言いました。その言葉にうなずいて、山チームが出発します。
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「何か、流れ着いていると、面白い……!?」
ノエル・アドラスティアは、そのまま海岸線に沿って砂浜を歩き始めました。
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「ゼウス様に任せてはおけません。番組は、このアルテミスが守ります!」
早くもゼウス・オリュンポスを見捨てたアルテミス・カリストが、秘密結社オリュンポスのみんなと一緒に気勢をあげます。
「隠れ家を探すには、まず水辺からかな。川を探すとするか」
「秘密っぽい場所と言ったら洞窟だよね。滝の裏なんかだったら最高じゃない? ということで、川探しに一票! それを遡れば、滝が見つかるかもよ♪」
なんとも、よく分からない論法で、弥久風花が萩原雅怜に同意します。
「では出発しましょう」
アルテミス・カリストを先頭に、一同は海岸沿いを歩き始めました。ちゃんとした拠点や食料などは他の人たちに任せて、まずは探検ということのようです。
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「ふふふふふ……。風花は謎の洞窟を探検するようでござるが、俺は、この島に住んでいたという古代民族の遺跡を暴くでござるよ。大発見は、俺の物でござる!」
すでに、番組をなんとか探検隊と勘違いしている平平平が、弥久風花たちに先んずるためにと単独で島の奥地へと入っていきました。
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「昔は人が住んでたってことは、近くに水場があったってことだな。とりあえず、そこを探してみるかあ」
大工道具を担いだ火澄悠が気合いを入れ直して歩きだしました。本当は、他にも地図などを借りたり、ペットのミニうさを持ち込もうとしたのですが、島に動物を持ち込むのは、現段階では厳禁です。島の生態系を崩してしまう恐れがあります。地図も、もちろんありませんでした。まあ、航空写真とかは当然あるのでしょうが、地図作りも番組のポイントですから、最初から提供されるはずもありません。
番組としては、なんでももらえるとか、なんでも持ってるぜとか言う現代っ子のアイドルを、ビシビシと窮地に追い込む気満々のようです。その方が視聴率取れますし。
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「うんうん、真水は大切だよね。泉とか、滝とか見つかるといいなあ。海は、ベタベタしてちょっとイヤンだし……」
まだお肌や髪の毛の塩っ気を気にしながら、空莉・ヴィルトールが言いました。
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「なんだか、力仕事むきの奴は少ないようだな。そういうときこそ、俺の出番だぜ」
スタッフから駆り出した斧を担いで、槍沢兵一郎が言いました。気分はもう完全に木樵です。
なんちゃって木樵ではありますが、やはり周囲に配慮をして木は切らなければなりません。
『当番組は、環境に配慮し、許可をとって伐採を行っております』
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「竹とかあれば便利ですよねー」
三木里緒菜も、建材を探して林の方へ行くようです。
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「植生を把握するのは大事です。竹や葦などがあれば便利ですし、食べられる木の実なども今のうちに把握しておくと後々役に立つはずです。さー、張り切って、無人島探索行ってみましょうか!」
メモを片手に、八重崎サクラも元気に出発していきました。
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「私は、まずは飲み水と食糧の確保ですね」
川村萌夏は、それらを目標として山へとむかいました。もちろん、まだこの島に住むという段階ではないので、ちょっと気が早いわけですが、今のうちに下調べをしておくにこしたことはありません。
「ふっふっふー♪ わたしは海担当だね。頑張ってお宝見つけちゃうぞー!」
川村萌夏を見送った八上ひかりが、両手を挙げて気合いを入れました。これから、宝探しをする気満々です。完全に、番組を間違えています。大丈夫なのでしょうか。
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「無人島なら……人はいない。なら、洞窟……あるはず……」
なんだか、満斗夜が決めつけて、海岸線を歩き始めます。
「うふふふふ、わくわくがやばやばなの♪」
「光、あまりはしゃぐと……危ない……」
自分を追い越して走りだしていく十和戌光に、満斗夜が注意しました。
「ちゃんとメモして、地図にしていくのが大切なのだよ」
落ち着き払って、色造空がその後からついていきます。
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「目的地はてっぺん! シンプルにお山の大将を目指すんや」
島の中央にある山の頂上を指さすと、五条克也は一直線にそちらへむかって突き進んでいきました。
「おらおらおらあ! 負けへんでー!」
途中に木が生えていようと、岩が邪魔していようとお構いなしに一直線です。
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「ふっ、みんなでかけたようだな。当然俺は隠密行動だ」
えーっと、ディレクターの注意を聞いていたのでしょうか。とはいえ、しっかりカメラマンを従えつつ、適当に島の奥へと入っていくゼウス・オリュンポスでした。


