イラスト

シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

華乱葦原・ぱっと咲きませ恋の花

リアクション公開中!
華乱葦原・ぱっと咲きませ恋の花

リアクション

 【序章】


床町のとある小さな歓楽街。

「遅くなっちゃった! 早く戻って夜の仕込みを手伝わないと」

 町娘のおすずが、通りを走っている。

「きゃあっ!」

 足元に異変を感じ、すずが派手に転倒した。

「いたたたたっ」
「大丈夫? ずいぶんとまあ、派手に転んだなぁ」

 地べたにうつぶせになってしまったすずの耳に、からかうような若い男の声が聞こえた。すずは恥ずかしくて顔をあげられず、その場につっぷしたままうなずいた。

「だ、大丈夫です」
「鼻緒が切れただけだろ。見てやるよ。ほら立った立った」

 男の声はもうすずをからかっておらず、むしろとても優しかった。声の主がどんな人なのか知りたくなったすずは、思い切って顔をあげる。
 
「あ、あなたは」

 縦縞の着物を小粋に着流し、全体的にチャラい雰囲気なのに、切れ長の目はどこか淋しそうで、とにもかくにも圧倒的にイケメン……この彼のことを、すずはよく知っていた。

「辻占い師さん」

 最近この歓楽街に流れてついてきた辻占い師だった。「すごく当たる!」とか「すごくイケメン!」とか、女たちの噂の的だった。
 
「君は、そこの食堂のおすずちゃんだよね」
「な、なんで私の名前、知ってるの?」
「オレは一流の占い師だからさ」
「うそっっ!!」
「あはは。そう。冗談だよ。みんなが君のことおすずちゃんって呼んでるから、言ってみただけさ」
「あぁ、びっくりした」
「オレ、あちこち転々としてきた流れ者だからさ、みんなにかわいがられてる君のこと、いいなって思って見てたんだ。どれ、直してやろう」
「きゃあ! な、なにするの!? 嫁入り前の娘の足を、気安くさわるつもり!?」
「別に気安くさわっちゃいねえ。履物、それじゃ困るだろ」
「い! いい、いい!! いいです! 家、すぐそこだし」
「ほら、オレの肩につかまれよ。ひざに足のっけていいから」
「聞いてますか? 家、すぐそこだから……」
「オレ、なんでも一人でしてきたから、こうゆうの得意なんだ。修理に出さなくて済むくらい上手に直してやるよ」
「それは助かるかも。えへへ、ありがとうございます。でも男の人の上に足をのせるなんて……恥ずかしい」
「ならば歌でも歌ってくれよ」
「歌?」
「よく厨房で歌ってるだろ。でっけぇ声で」
「うっ……知らなかった。聞こえてるの?」
「オレはあの歌が好きだ。『華乱芦原、日が暮れても さくら 咲く咲く さくら咲く』、だっけ?」

 彼は軽やかに話しながらも、てきぱきとすずの履物を直していく。お礼の意味もこめ、すずは覚悟を決めて歌いだしていた。

♪華乱葦原 日が暮れても さくら 咲く咲く さくら咲く
♪華乱葦原 月が出て 星がふっても さくら 咲く
♪泣いてるねえさん 死にゆくばあさん うまれた赤ちゃん 夜のねこ
♪みんなの上に さくら咲く 今日も 明日も あさっても
♪さくら咲く咲く さくら咲く

「昔からある手まり歌ですよ」
「うん。やっぱりいい歌だ。ほらこっちも終わったよ」
「すごい! 本当に上手。ありがとうございます」
「気に入ってもらえて良かった」
「そうだお礼をさせて? 占い師さんまだうちのお店でご飯食べたことないでしょ。食べてってくださいな♪ もちろんごちそうします」
「え? そんなつもりは……」
「いいからいいから、さあさあ、いきましょう?」
ページの先頭に戻る