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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

桜稜郭にようこそ!

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桜稜郭にようこそ!
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 昼、華乱葦原、桜稜郭、株町の入口前。

「皆とゆっくり葦原で買い物だ!」
 アーヴェント・ゾネンウンターガングは賑やかな通りを見渡し
「葦原には行ったことないから案内をお願いしたいです」
 梓弓 莉花は連れの皆に声を掛けた。
「案内か。希望はあるか?」
 高城 仄が真っ先に訊ねた。
「……着物が見てみたいですね」
 莉花は着物を纏う通行人を目で追った後答えた。
「それじゃ、呉服屋を探そう」
 仄は兄が妹に接するが如く優しい調子で言ってから
「……枢は覗きたい店とかあるか?」
 もう一人の女子朝霞 枢にも訊ねた。
「そやな……大好きなお姉ちゃんへお土産欲しいなぁ」
 枢は僅かに考えてから答えた。
 女性陣の希望を聞き終えたところで
「では、お嬢さん方……」
 仄はこの町に相応しくないと知りながらもあえて『ロイアルエスコート』で大袈裟に気取って紳士的に向き直り手を差し伸べた。
「ふふふ、お願いしようかね」
「案内お願いします」
 枢と莉花は良い気分で伸ばされた手を取り仄の纏う紳士な雰囲気に乗った。
 そんな三人の一歩分斜め後ろを
「自分も店探し手伝うぞ……もちろん荷物持ちとかもするからな」
 『桜稜郭知識』を有するアーヴェントが続いた。

 女子二人の希望を叶える店探し開始後しばらく。
「あの店はどうかな。仕立売りが可能な呉服屋みたいだが」
 『桜稜郭知識』を有するアーヴェントが真っ先に相応しい店を見付け示すと
「それはええね。反物を選んですぐに着物にしてくれはるからすぐに着る事が出来はる。どやろか? 莉花はん」
 同じく『桜稜郭知識』を持つ枢はアーヴェントの言に言葉を重ねてから莉花に声を掛けた。
「いいですね。随分大きなお店だから素敵な着物が見つかりそうです」
 莉花は嬉しそうに素敵な予感に胸を躍らせた。
「早速中に入ろうか」
 仄の言葉を合図に皆呉服屋に入店。

 大きな呉服屋、店内。

 店内一杯に並ぶ様々な反物や仕立ての見本に
「わぁ、種類が豊富で目が眩んでしまいます」
 莉花はきょろきょろと好奇心の目を走らせる。
「そうだな。これだけあれば気に入る物がすぐに見つかりそうだ」
 仄もまた店内を見回しながら頷いた。
 二人の隣では
「小売りの行商はんも来てはるみたいやな」
 枢が地元民相手に訪問販売を行う小売りの行商人を発見し
「ちょい見てみようか」
 丁度客の相手を終えたのを見計らい品を見に行き
「何にしようかなぁ?」
 種類豊富な品に目が忙しい。

 一方。
「……どれも素敵ですね」
 莉花は様々な反物に目を輝かせた後
「みなさんファッションのセンスがいいですし、服を見繕ってくれませんか?」
 皆に振り返りお願い。
「ええよ」
 枢は自身の用事を一時置き引き受け
「あぁ」
 仄も
「手伝おう」
 アーヴェントも引き受けた。
「ありがとうございます」
 莉花は嬉しそうに礼を言った。
 そして総出で莉花の着物の見立てを始めた。

「素敵な物ばかりですが……みなさんと違って、明るい髪の色だから似合うか不安です」
 自身も探しながらとても薄いプラチナブロンドの髪に軽く触れ不安を呟く莉花。
 そこに
「これはどうだ?」
 仄が普通のものよりも丈の短い赤の浴衣を選び差し出した。
「……赤色の生地に舞う黒の蝶ですか」
 莉花はじぃと目を落としながら言った。
「あぁ、蛹から美しい姿に生まれ変わる蝶は良い変化の象徴だ」
 仄は選んだ理由を語った。
「……」
 しっかりと耳を傾けている莉花に向かって
「……あとは、良縁が続くなんて意味もあるかな」
 仄は茶化すように笑って言った。
 途端
「り、良縁ってまだ、そういう関係じゃないですし、つきあってもないですしっ」
 莉花は顔を真っ赤にして反論した。
 さらに
「何やら、良縁云々とか聞こえたけど」
 近くで莉花のための着物を物色していた枢が出し抜けに参戦し
「枢さん!?」
 莉花が先程の赤みが抜けないままびっくり振り向くと
「男の人が服を贈るんは、それを脱がせたいからやて……莉花はん、気ぃつけや?」
 仄は悪戯な笑みを浮かべつつ笑みにぴったりな事を口走り
「……脱がせ……」
 莉花は視線を枢から仄に物言いたげな視線を向け
「ええ、脱がせ……!?」
 着物探しをしていたアーヴェントはとんでも発言に動揺するが
「なら枢の分も選んでやろうか?」
 仄は動揺せずに冗談めかして枢に返した。
 その様子に
「ほの兄……それは……」
 アーヴェントは微妙な視線を向けてしまうが
「……いつもの冗談だな、これ」
 仄の表情や言動から慌てる事は無いと読み落ち着きを取り戻し着物探しに戻った。
 アーヴェントの読んだ通り
「なぁんて、さっきの冗談どす」
 仄の茶化しに枢は肩を竦めて言い片付けてから
「それよりうちの半妖スタイルとお揃いの着物はどうやろか?」
 枢は袖を広げくるりとしながら勧めた。
「……枢さんの着物ですか」
 莉花はじぃと枢の着物を見つめた。
 こうして皆の協力を得て莉花は自身が納得出来る色鮮やかな一番素敵な反物を選び仕立てて貰い
「早速、着てみましょう」
 奥で着替えが出来るという事で莉花は早速とばかりにお色直し。

「どうですか?」
 仕立てたばかりの着物に着替えた莉花が現れ
「似合っとるよ」
 枢が手を叩いて称賛。
「梓弓、脱いだ服を持ってやる」
 アーヴェントは莉花が抱える脱いだ服が入った袋を見て手を伸ばした。
「……ありがとうございます」
 莉花は申し訳無さそうにお願いした。
「あぁ(申し訳なさそうになんてしなくてもいいのに)」
 アーヴェントは快く受け取った。莉花の様子に気になりながらも。
「似合っているじゃないか。良い服が買えてよかったな」
 荷物を受け取ったアーヴェントも褒めた。
「はい」
 莉花は嬉しそうに答えた。
 これで莉花の買い物は一段落し残るは
「買い物が終わっておらんのはうちだけやな」
 枢だけ。
「お揃いの簪とかええやろか? 何か他にええのがあるやろうか?」
 枢は皆に手助けを頼んだ。
 三人は枢の手伝いをするべく物色を行い
「……色々あるが、これがいいかもしれないな」
 仄は忙しく視線を巡らせた結果一つの黄色の装飾の付いた簪を手に取り
「……きっと似合うはずだ」
 枢が贈る相手である自分もよく知る天真爛漫な少女が選んだ簪をつける所を想像した後
「枢、この簪はどうだろうか……今の季節に花を咲かせるそんな花を模した物だ」
 枢に差し出しつつ
「花言葉は……困難に打ち克つ、なんてね」
 冗談めかして花言葉という格好いい言葉をつけ
「か、格好良い……」
 『忍び足』で自分の後ろを歩きながら軽く品を見る弟分のアーヴェントの尊敬に
「お前もナイトを目指すならこれぐらいは……な?」
 したり顔で笑って見せてから
「……どうかな?」
 再度評価を訊ねた。
「綺麗やね」
 枢は手に取りまじまじと気に入った様子を見せた。
 その横顔に
「……(気に入ったのなら折角だ。紅の物を購入して後で渡そうか……二人が支え合い、困難に打ち克つ事を願って)」
 仄は口元を優しく歪めた後こっそりと枢に勧めた簪の色違いを購入した。
「これなんて、どうでしょう? なんか丸がいっぱいでかわいいですし」
 莉花は星七宝の扇子を指さし
「それもええな」
 枢はこれまた気に入る。
 最中
「……色々、目移りしてしまうな」
 アーヴェントは素晴らしい品ばかりに莉花に勧める品に困ってしまう。
 そんな中
「……い草枕というのか、素晴らしい」
 和の世界ならではの枕に出会いかたさ、匂いや機能に大層感心してから
「土産ならこの手拭いとか……無難過ぎるか。愛らしくはあるんだけどな」
 近くにあり目に付いた黒い猫と黄色い鳥の手拭いを手に取り少々歯切れの悪さを見せていると
「その手拭いもええな」
 気付いた枢が言葉を掛け
「そうか」
 アーヴェントは手拭いを渡した。
 という事で
「薦めてもろたんどれもええなぁ」
 枢の手には皆に勧めて貰った品があり
「迷ぉてまうわぁ」
 一つに決める事が出来ず軽く唸るが
「せや」
 すぐさま悩みを解決する名案を思いつき
「思い切って全部買ってみよ」
 実行に移した。
 その結果
「荷物がぎょーさんやな」
 枢の手は沢山の荷物で塞がってしまい困り顔になるが
「荷物を持つぞ」
 アーヴェントのタイミングぴったりの申し出に
「せやなぁ、アーヴェントはんに持ってもらおか」
 嬉々と甘え荷物を渡し
「おおきにね」
 礼を言った。
 それから四人は仲良く店を出た。

 呉服屋を出てすぐ
「……暑くても脱ぐなよ」
 仄はほやいて空を仰ぐと
「脱がしたい、って言われても、暑くない限り脱ぎませんよっ」
 莉花は可愛らしく口を尖らせた。
 とにもかくにも四人は仲良く散策を続け店や飛び入りを迎え賑わう近くの座を覗いたりとひとときを過ごした。

 ようやく訪れた散策の最後に
「随分買ったな。帰りは荷物を持つぞ」
 アーヴェントは荷物たっぷりの女子達を気遣い
「ありがとうございます」
「おおきに」
 莉花と枢は大いに甘え大切な荷物を託した。
 その後仄が密かに購入した簪を枢に渡してから
「皆、お疲れ様だ」
 アーヴェントの労いを合図に四人はゆっくりと家路に就いたという。
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