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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

桜稜郭にようこそ!

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桜稜郭にようこそ!
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 朝、華乱葦原、桜稜郭の入口。

「ここが桜稜郭かぁ」
 ノーラ・レツェルは都の入口を見た後
「桜が綺麗だって狂志郎くんに教えて貰ったし、桜陵郭を巡ってみよう」
 胸を躍らせながら桜稜郭へ入り
「……ひとまず株町を中心に歩いてみようかなぁ」
 株町へ向かった。

 株町。

「……賑やかなところだねぇ」
 ノーラは活気溢れる光景を軽く見渡してから
「小休憩しながらでないと、すぐに疲れちゃいそうだなぁ」
 歩き出そうとした瞬間
「あっ、狂志郎くんとヴィヴィちゃんがいる」
 顔を知る二人の姿を前方に発見し
「……声かけてみよう」
 駆け出した。

 朝、華乱葦原、桜稜郭の株町。

「いいお天気ですわね」
 青空を仰ぐジュヌヴィエーヴ・イリア・スフォルツァの言葉に
「……あぁ」
 隣の社 狂志郎はぶっきらぼうに答えた。
「桜稜郭は初めてですので、シロ様についてきて頂けて良かったです」
 ジュヌヴィエーヴは振り向き楽しそうな笑みを狂志郎に投げた。
「……あぁ」
 狂志郎がなおもお喋り過ぎない返答だったためか
「……あの、もしかしてご迷惑でしたか?」
 ジュヌヴィエーヴは申し訳無さそうにそろりと聞いた。
「……あァいや、アンタと出かけるのが迷惑とか嫌とかじゃねェよ。ただ……」
 察した狂志郎がジュヌヴィエーヴを気遣う言葉を口にするも
「ふふ、怒っていらっしゃらないなら良かったです」
 聞いて表情を明るくしたジュヌヴィエーヴに遮られた。
「おいおい、俺ぁこの通り半妖、この見た目のせいでそれなりに名も知られちまってる。変なのに絡まれたくねェだろと」
 狂志郎は慌てて中断された言葉を言い半妖の角を隠せても隠しきれぬ人では無い雰囲気から自分に向ける視線がちらちら。
 そこに
「狂志郎くん、ヴィヴィちゃん」
 聞き知った声がしジュヌヴィエーヴと狂志郎は
「まぁ、レツェル様!」
「ノーラ」
 同時に振り返り
「こんにちわぁ。二人も桜を見に来たの?」
 にっこりと笑顔のノーラを迎えた。
「こんな所でお会いできるなんて嬉しいです。良ければご一緒いたしませんか?」
 ジュヌヴィエーヴはふんわりと笑顔で誘う。
「それ名案! ぼくは桜陵郭に詳しくないし、狂志郎くんに案内を頼もうかな!(ちょっとくらい困った事があっても、二人はぼくよりしっかりしてるから迷わず安心して歩き回れるしねぇ……それに小物や食べ物とかヴィヴィちゃんと話しながら買ったら、きっととっても楽しいはず)」
 二人への信頼を抱きつつノーラはぱんと手を叩き躊躇う事無く乗りちらりと狂志郎を見た。
「……面倒な事になったなァおい」
 狂志郎は溜息混じりにぼやくが
「……ったく、こうなりゃ一人も二人も同じだ、ついて来い」
 ぶっきらぼうながらも根は面倒見が良いため頼みを引き受け二人に背を向け歩き出した。ノーラとジュヌヴィエーヴは嬉しそうに続いた。

 散策開始後。
「景色も品物もセブンスフォールでは見ないものばかりで、目がいくつあっても足りませんわね」
「だねぇ、見たことないものが多いからはしゃいでしまいそうだよぉ」
 ジュヌヴィエーヴとノーラは活気溢れる光景や並ぶこの世界独特の品物に心奪われきょろきょろ。ちなみにジュヌヴィエーヴはカンタレーヴェ出身である。
 最中
「簪も櫛もとても綺麗で、眺めているだけでも楽しいですね」
 ジュヌヴィエーヴが店に並ぶ見事な品に足を止める。
「この簪、ヴィヴィちゃんの綺麗な銀髪に似合いそうだよぉ」
 同じく足を止めたノーラは繊細な飾りがついた簪を見せジュヌヴィエーヴににこにこ。
 ジュヌヴィエーヴは受け取り
「どうです?」
 頭につけて見せる。
「うん、綺麗だよぉ」
 ノーラは手を叩いた。
「ありがとうございます」
 ジュヌヴィエーヴは礼の後
「……レツェル様」
 素敵な簪を発見し手に取りにっこり。
「……可愛い」
 ノーラは受け取りすぐに頭につけ
「どうかなぁ?」
 頭を傾いでみせ訊ねた。
「とてもお似合いですわ」
 ジュヌヴィエーヴは微笑みおっとりと褒めた。
 互いに褒め合った二人は顔を見合わせ思わずクスクス。

 そんなかしましい女子の後ろには
「……楽しそうだな(つーか、いつも以上に人目を感じやがるな、まあ、当然か、俺みてェな半妖がキレーなお嬢さん二人も連れてりゃ)」
 見守りつつ自分に突き刺さる視線に苦い様子を見せる狂志郎。
 この後もノーラとジュヌヴィエーヴは心惹かれる小物に出会う度に手に取ったり買ったりとお喋りをしたりと存分に楽しみ付き添いの狂志郎はしっかりと案内を務めたという。

 時に
「こちらにあるのは……」
 ジュヌヴィエーヴは甘味を扱う屋台を見付け
「……サクラモチ……」
 並ぶ品の中からある甘味に目を止め
「レツェル様、来て下さいませ♪」
 向かいの店を物色するノーラを手招き。
「なぁに?」
 興味津々とノーラが駆け寄り覗き込んできた。
「美味しそうなサクラモチを見付けましたわ」
 ジュヌヴィエーヴが桜餅を指し示すと
「美味しそうだねぇ、買っちゃおう。食べながら花見をしちゃおう!」
 菓子作りを趣味に持つノーラは即ウキウキと答えた。
 という事で桜餅を購入。時間はすっかり昼だ。

 桜餅購入後。
「可愛らしい桜色のお菓子も買えましたし、次はあちらに……」
 ご満悦のジュヌヴィエーヴは明らかに裏通りに続く道へ向かおうとし
「お菓子も買ったし花見をしながら食べてそして寝るんだ……今日は良い天気だし、きっと気持ちよく寝れるねぇ」
 ノーラは近くに腰を下ろし購入したばかりの桜餅に目を落としたと思ったら大きな欠伸をこぼし
「おい待てジヴ嬢、どこ行くそっちは裏通りだ!」
 狂志郎はジュヌヴィエーヴを慌てて引き止め
「ノーラは寝るな、こんな所で寝ようとすンな目立つ!」
 今にも眠りに入りそうなノーラに声を大きくし
「シロ様」
「寝るなって? そんなぁ……酷いよぉ」
 ジュヌヴィエーヴの足を止めノーラを眠りから引き戻した。
 そして改めて
「ったく、土地勘ねェ癖に好き勝手行くなっつの、桜が見てぇンだろ? 穴場、教えてやらァ」
 二人の自由さに堪らず狂志郎が案内を務め
「ほら、到着だ」
 無事に穴場に到着。

 穴場。

 広がる美しい光景に
「綺麗ですわね」
「うん! しかもぼく達だけっていうのが贅沢だねぇ」
 ジュヌヴィエーヴとノーラは息を呑んだ。
 そうして感動が一段落すると
「早速、花見をしながらお菓子を食べよう」
 ノーラの言葉を合図に甘い花見を始め
「美味しいねぇ、ヴィヴィちゃん」
「はい。お友達と一緒だからか、今まで食べたどんなお菓子よりも、甘くて幸せな味です♪」
 ノーラとジュヌヴィエーヴは仲良く並んで桜見と桜餅を味わった。
「……人の気も知らねェで楽しそうに笑いやがって(……俺も、半妖として生まれてなきゃ、あいつらみてェに人目を気にせず自由に生きてたのかもしれねェな)」
 狂志郎は手に甘味を持ちつつ端から見ても楽しげな女子達に溜息を吐き思いを巡らすが
「……ってンな事考えてる場合じゃねェ」
 考えても仕方が無いと考えるのをやめて甘味を食べた。
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