アイドル田舎探訪~今晩泊めてください!~
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~釣り経過~
仄は暑くなった時用のために缶ジュースを用意して、冷たくなるよう川で冷やしていた。
(そろそろ水分補給したほうが良いな……いくら緑があるとは言え熱中症にでもなったら大変だ。忘れずに飲んでおこう)
枢を見ると、真剣な表情で釣り糸の先を見つめている。
(冷たい缶を頬にでも当てて驚かせてやろう)
忍び足で枢のそばまで行き、缶ジュースを頬に押し当てた。
「ひゃっ!?」
飛び上がって驚く様に、仄は爆笑した。
頬を膨らませてすねる枢があまりにも可愛くて、仄はすぐに謝った。
「ごめんごめん、悪かったって」
「仄はん、いけず」
「悪い、これ飲んで機嫌直せよ。水分補給は大切だぞ」
枢はジュースを受け取って喉を潤した。
冷たいジュースは美味しくて、そして隣で笑っている仄の存在も嬉しくて、幸せな気分になった。
「仄はんは、暑ぅない?」
「ん~まぁ暑い、かな」
枢は持ってきた扇子で扇ぎ【奔放な風】を起こした。
仄が目を閉じて風を感じているのを見ながら、額ににじむ汗に気付きハンカチで拭いてあげる。
さすがに服を脱がせて上半身を拭くなんてことは出来ないけれども。
「にしても、ここはヤマメしかいないのかよ? かなり釣れはしたけど、ほとんどそれだけで」
「でも、お魚大漁に釣れて良かったぇ。これなら皆にも分けてあげられるし」
「だな」
「……素敵なデートが出来て楽しかったぇ」
(本当に最高の思い出が出来たんやねぇ、でも戻れば二人きりの時間が終わる)
そんな枢の気持ちに気付いてか、仄がそっと手を握ってきた。
「もうちょっとここら辺を散歩してから、みんなの所に戻るか」
枢は満面の笑みを浮かべて頷いた。
「全然ダメ……。いるのはヤマメばっかり。神谷先輩……も、同じですね」
誰も寄り付かない辺境の地。
誰にも汚されてけがされていない分、自然の宝庫で大漁に釣れるのは良いのだが、同じ種類しかいない。
風花はため息混じりに呟いた。
「オオメジロザメとかヨーロッパオオナマズとかいたら良かったのに……主は一体どこに……」
「寒くない? 大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込んでくる春人に、風花は笑顔を返した。
「大丈夫です! そのためにこうやって火を作っておいたんです。こうして当たっていれば……ほら、あったかい」
「それなら良いけど、でも」
ふわりと。
風花の肩に柔らかくて暖かいものがかけられた。
「え、これ……」
「潜ってる間に村長の所に行って借りてきた。せめて濡れた部分は拭いた方が良いと思って。少し温まったら村長の所に行ってお風呂を借りて着替えさせてもらおう。そのままじゃ風邪ひくよ」
「ありがとうございます」
真っ白で大きなバスタオル。
自分のためにわざわざ準備してくれたのかと思ったら、胸の奥が熱くなる風花だった。
仄は暑くなった時用のために缶ジュースを用意して、冷たくなるよう川で冷やしていた。
(そろそろ水分補給したほうが良いな……いくら緑があるとは言え熱中症にでもなったら大変だ。忘れずに飲んでおこう)
枢を見ると、真剣な表情で釣り糸の先を見つめている。
(冷たい缶を頬にでも当てて驚かせてやろう)
忍び足で枢のそばまで行き、缶ジュースを頬に押し当てた。
「ひゃっ!?」
飛び上がって驚く様に、仄は爆笑した。
頬を膨らませてすねる枢があまりにも可愛くて、仄はすぐに謝った。
「ごめんごめん、悪かったって」
「仄はん、いけず」
「悪い、これ飲んで機嫌直せよ。水分補給は大切だぞ」
枢はジュースを受け取って喉を潤した。
冷たいジュースは美味しくて、そして隣で笑っている仄の存在も嬉しくて、幸せな気分になった。
「仄はんは、暑ぅない?」
「ん~まぁ暑い、かな」
枢は持ってきた扇子で扇ぎ【奔放な風】を起こした。
仄が目を閉じて風を感じているのを見ながら、額ににじむ汗に気付きハンカチで拭いてあげる。
さすがに服を脱がせて上半身を拭くなんてことは出来ないけれども。
「にしても、ここはヤマメしかいないのかよ? かなり釣れはしたけど、ほとんどそれだけで」
「でも、お魚大漁に釣れて良かったぇ。これなら皆にも分けてあげられるし」
「だな」
「……素敵なデートが出来て楽しかったぇ」
(本当に最高の思い出が出来たんやねぇ、でも戻れば二人きりの時間が終わる)
そんな枢の気持ちに気付いてか、仄がそっと手を握ってきた。
「もうちょっとここら辺を散歩してから、みんなの所に戻るか」
枢は満面の笑みを浮かべて頷いた。
「全然ダメ……。いるのはヤマメばっかり。神谷先輩……も、同じですね」
誰も寄り付かない辺境の地。
誰にも汚されてけがされていない分、自然の宝庫で大漁に釣れるのは良いのだが、同じ種類しかいない。
風花はため息混じりに呟いた。
「オオメジロザメとかヨーロッパオオナマズとかいたら良かったのに……主は一体どこに……」
「寒くない? 大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込んでくる春人に、風花は笑顔を返した。
「大丈夫です! そのためにこうやって火を作っておいたんです。こうして当たっていれば……ほら、あったかい」
「それなら良いけど、でも」
ふわりと。
風花の肩に柔らかくて暖かいものがかけられた。
「え、これ……」
「潜ってる間に村長の所に行って借りてきた。せめて濡れた部分は拭いた方が良いと思って。少し温まったら村長の所に行ってお風呂を借りて着替えさせてもらおう。そのままじゃ風邪ひくよ」
「ありがとうございます」
真っ白で大きなバスタオル。
自分のためにわざわざ準備してくれたのかと思ったら、胸の奥が熱くなる風花だった。


