～早朝～

「良く来てくださいました！」

　ロケバスから降りた途端、両手をさすりながら低姿勢で出迎えてくれたのは、氷ノ川村の茂三村長。

「あ、はは……今日は宜しくお願いします」

　神谷　春人は苦笑しながら差し出された手を握った。
　
　早朝。
　空は快晴。絶好の撮影日和。
　茂三の大きな家の前でバスを降りた皆は、集まって点呼を取っていた。
　早朝から来ているのは、田植え作業と朝から釣りをするメンバーのみ。
　夕方からは、夜釣りをする面々と、廃墟へと直行する者たちとに分かれて来ることとなった。
　幸運なことに、春人は夕方から別の仕事が入ったため夜間の撮影には参加できない。
　内心ホッとしていた、田舎が苦手な春人だった……。