ヒロイックソングス・レジェンド!
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■人々の心を一つにし、異世界への道を拓こう! 8
「よぉ後輩。この前はシャロを元気づけてくれてサンキューな。
……けど、こっからが本番ってやつだ」
神妙な表情で告げるアレクス・エメロードに、戦戯嘘も何かを感じ取ったのかこくり、と頷いた。
「俺もお前も、元は異世界の存在。もしこのイベントが失敗に終わっちまったら、シャロと会えなくなっちまう。
それに、両親を亡くして絶望の淵にいた頃のシャロも、これを見てるはずだ」
アレクスが視線を向けた先、シャーロット・フルールが他のメンバーと最後の調整を行っていた。
「伝えてやろうぜ。てめぇは将来俺らを救い、楽しませてくれる会長様になるんだぜ! ってよ」
「もちろんなのよ! シャロちゃんのことがだ~い好きなアレクちゃんのお願い、私が叶えてあげるのよ!」
「ばっ――お前、この前もそうだったが俺のこと、からかって遊んでるだろ!?」
「んふふ~、好きは否定しないのね♪」
「はぁ……はいはい、好きです大好きですー」
「心がこもってないのよ! 最後になるかもしれないんだから、めいっぱい気持ちをぶつけたっていいのよ」
「ふん。最後になんて、するつもりはねぇ」
言葉が途切れ――ぷっ、あはははは、と二人同時に笑った。
「あ~! アレクちゃん、ボクの嘘ちゃんとなに話してたの~!」
「おいおい、いつから後輩はシャロのものになったんだよ」
「いまからなの~」
駆け寄ってきたシャーロットに、嘘がぎゅう、と抱きついた。そのままキャッキャッとじゃれ合う二人を見て、アレクスは確信を胸に抱く。
(シャロの、『リトルフルール』の紡いできたキズナ、こんなところで絶やしはしねぇ。
持っていくぜ、未来までな――)
「最高のステージで、最高のフルールライブをお届けっ☆
会場のみんなを、妖精郷にご招待だっ♪」
ステージの中央でぺこり、と一礼したシャーロットの姿がフッ、と消え、次の瞬間ステージ中央に命育む大樹が現れ、大樹を中心とした花と緑と多種多様な命溢れる妖精郷が出現した。草花や樹木が歌い、美味しそうな果実に釣られて動物がやって来る。
お姫様は森を歩く
虹の光振り撒きながら
今日も元気に進みましょう
そんな愉快で楽しい森の中を、『お姫様』として虹村 歌音と梧 双葉、嘘が歌いながら行進する。
(四年前の私が、アイドルを目指すような存在になれたかはわからないけど――。
多くの人に元気をあげられるアイドルとして、観客の心を掴んでみせる!)
双葉の想いが、会場の観客に歌を直接、心へ届ける。様々な花火のような光が会場に満ち溢れ、観客は自然と頭に浮かんできた歌詞を口ずさみ始めた。
お姫様を迎えるのは
騎士と魔女と執事とスター
みんな仲良く歌いましょう
歌音たちとは反対側から、高貴な立ち振る舞いの『騎士』ウィリアム・ヘルツハフト、星獣レーヴとミニうさフィリアを従えた『魔女』奏梅 詩杏、そして『執事』アレクスと『スター』、日向 千尋。
(よしよし。やっぱこうでなくっちゃな)
今度はしっかり従者としての役どころが与えられ、アレクスは満足そうな表情で演奏を行う。
(『スタースパーク☆』日向千尋、みんなでサイコーなライブを作るデスよ!)
千尋が重なった星の形をしたギターを弾けば、観客席にお花畑が生まれる。フレンドリーに妖精郷へ誘う千尋に観客は心委ね、愉快な森のサーカスへと誘われる。
歌声は朗らかに
鳥は歌い 花は踊り
甘い香りが森を包む
動物たちも連れ立って
妖精の郷(くに)へ行こう
「いでよ、もうひとりの僕!
リトルフルールの星の魔女二人から、花びらとチョコとたくさんの幸せをプレゼントなのです!」
詩杏が『闇の魔導師』と称するもうひとりの自分を出現させ、一緒になって花びら舞う花火とベリー味マシマシのチョコレートを会場へ振り撒く。ウィリアムも花びら舞う花火を打ち上げることで、広い会場の隅々まで花びらが舞い、会場に一体感を生み出す。
「プリマ、行くデスよ!」
千尋の呼びかけに星獣プリマが応え、星色の獣へと変化したプリマの奏でる音色が景色を塗り替え、満天の星空が出現した。千尋とプリマの思いのままに流星が観客席に降り、その流星が観客席で大きな光を生みながら弾け、会場を沸かせる。
「さあ来い、ドラゴンの軍団! そして聴け、俺らのフルールが歩んできたその全てを!」
アレクス、そして歌音の喚び出したアンサンブルが会場を飛び交い、会場すべてを巻き込んで盛り上げていく。
おいでませ フルールの森
天使も悪魔も一緒に遊ぼ
みんな元気に歌い合えば
楽しさはいつも無限大
おいでませ フルールの森
ボクたちはいつでも待ってるよ
みんな一緒に笑い合えば
幸せな日々がほら続いてく
『リトルフルール』の彼らが観客に見せる記憶は、どれも幸せで、希望に満ちたものばかり。
「悲しかった出来事は消えないし、なかったことにも出来ない。きっとこの時のボクは、泣いていた。
だけど、みんなと一緒に、楽しい出来事を重ねていくことができる! 幸せな、希望の日々は続けられるんだよ!」
シャーロットの姿が光芒に変わり、ステージを駆け抜ける。すると空中にハッキリと、光のメッセージが生まれた。
千尋が観客に落とした雷によって、観客は痺れたような感覚を得ながら、今日の奇跡のような出会いを心に刻んだのだった――。
「聞こえるか、この声が。いま人々の心がひとつになり、異世界への扉が開かれようとしている」
秋太郎の声の通り、会場は今もなお、観客の声援で満たされていた。これが2025年、皆の記憶に残る『ヒロイックソングス!』であり、この後に地球は異世界と繋がることになる。
未来からやって来たアイドルたちは、既に元の世界への帰路についていた。
『ありがとう、君たちのおかげで『ヒロイックソングス!』は無事、成功を収めた。
君たちには苦労をかける事になるだろうが……頼む』
秋太郎が見送りの際にかけた言葉を、胸に刻んで――。
「よぉ後輩。この前はシャロを元気づけてくれてサンキューな。
……けど、こっからが本番ってやつだ」
神妙な表情で告げるアレクス・エメロードに、戦戯嘘も何かを感じ取ったのかこくり、と頷いた。
「俺もお前も、元は異世界の存在。もしこのイベントが失敗に終わっちまったら、シャロと会えなくなっちまう。
それに、両親を亡くして絶望の淵にいた頃のシャロも、これを見てるはずだ」
アレクスが視線を向けた先、シャーロット・フルールが他のメンバーと最後の調整を行っていた。
「伝えてやろうぜ。てめぇは将来俺らを救い、楽しませてくれる会長様になるんだぜ! ってよ」
「もちろんなのよ! シャロちゃんのことがだ~い好きなアレクちゃんのお願い、私が叶えてあげるのよ!」
「ばっ――お前、この前もそうだったが俺のこと、からかって遊んでるだろ!?」
「んふふ~、好きは否定しないのね♪」
「はぁ……はいはい、好きです大好きですー」
「心がこもってないのよ! 最後になるかもしれないんだから、めいっぱい気持ちをぶつけたっていいのよ」
「ふん。最後になんて、するつもりはねぇ」
言葉が途切れ――ぷっ、あはははは、と二人同時に笑った。
「あ~! アレクちゃん、ボクの嘘ちゃんとなに話してたの~!」
「おいおい、いつから後輩はシャロのものになったんだよ」
「いまからなの~」
駆け寄ってきたシャーロットに、嘘がぎゅう、と抱きついた。そのままキャッキャッとじゃれ合う二人を見て、アレクスは確信を胸に抱く。
(シャロの、『リトルフルール』の紡いできたキズナ、こんなところで絶やしはしねぇ。
持っていくぜ、未来までな――)
「最高のステージで、最高のフルールライブをお届けっ☆
会場のみんなを、妖精郷にご招待だっ♪」
ステージの中央でぺこり、と一礼したシャーロットの姿がフッ、と消え、次の瞬間ステージ中央に命育む大樹が現れ、大樹を中心とした花と緑と多種多様な命溢れる妖精郷が出現した。草花や樹木が歌い、美味しそうな果実に釣られて動物がやって来る。
お姫様は森を歩く
虹の光振り撒きながら
今日も元気に進みましょう
そんな愉快で楽しい森の中を、『お姫様』として虹村 歌音と梧 双葉、嘘が歌いながら行進する。
(四年前の私が、アイドルを目指すような存在になれたかはわからないけど――。
多くの人に元気をあげられるアイドルとして、観客の心を掴んでみせる!)
双葉の想いが、会場の観客に歌を直接、心へ届ける。様々な花火のような光が会場に満ち溢れ、観客は自然と頭に浮かんできた歌詞を口ずさみ始めた。
お姫様を迎えるのは
騎士と魔女と執事とスター
みんな仲良く歌いましょう
歌音たちとは反対側から、高貴な立ち振る舞いの『騎士』ウィリアム・ヘルツハフト、星獣レーヴとミニうさフィリアを従えた『魔女』奏梅 詩杏、そして『執事』アレクスと『スター』、日向 千尋。
(よしよし。やっぱこうでなくっちゃな)
今度はしっかり従者としての役どころが与えられ、アレクスは満足そうな表情で演奏を行う。
(『スタースパーク☆』日向千尋、みんなでサイコーなライブを作るデスよ!)
千尋が重なった星の形をしたギターを弾けば、観客席にお花畑が生まれる。フレンドリーに妖精郷へ誘う千尋に観客は心委ね、愉快な森のサーカスへと誘われる。
歌声は朗らかに
鳥は歌い 花は踊り
甘い香りが森を包む
動物たちも連れ立って
妖精の郷(くに)へ行こう
「いでよ、もうひとりの僕!
リトルフルールの星の魔女二人から、花びらとチョコとたくさんの幸せをプレゼントなのです!」
詩杏が『闇の魔導師』と称するもうひとりの自分を出現させ、一緒になって花びら舞う花火とベリー味マシマシのチョコレートを会場へ振り撒く。ウィリアムも花びら舞う花火を打ち上げることで、広い会場の隅々まで花びらが舞い、会場に一体感を生み出す。
「プリマ、行くデスよ!」
千尋の呼びかけに星獣プリマが応え、星色の獣へと変化したプリマの奏でる音色が景色を塗り替え、満天の星空が出現した。千尋とプリマの思いのままに流星が観客席に降り、その流星が観客席で大きな光を生みながら弾け、会場を沸かせる。
「さあ来い、ドラゴンの軍団! そして聴け、俺らのフルールが歩んできたその全てを!」
アレクス、そして歌音の喚び出したアンサンブルが会場を飛び交い、会場すべてを巻き込んで盛り上げていく。
おいでませ フルールの森
天使も悪魔も一緒に遊ぼ
みんな元気に歌い合えば
楽しさはいつも無限大
おいでませ フルールの森
ボクたちはいつでも待ってるよ
みんな一緒に笑い合えば
幸せな日々がほら続いてく
『リトルフルール』の彼らが観客に見せる記憶は、どれも幸せで、希望に満ちたものばかり。
「悲しかった出来事は消えないし、なかったことにも出来ない。きっとこの時のボクは、泣いていた。
だけど、みんなと一緒に、楽しい出来事を重ねていくことができる! 幸せな、希望の日々は続けられるんだよ!」
シャーロットの姿が光芒に変わり、ステージを駆け抜ける。すると空中にハッキリと、光のメッセージが生まれた。
奇跡のようなこの出会いに感謝を――
ビバ、リトルフルール>ワ<
ビバ、リトルフルール>ワ<
千尋が観客に落とした雷によって、観客は痺れたような感覚を得ながら、今日の奇跡のような出会いを心に刻んだのだった――。
「聞こえるか、この声が。いま人々の心がひとつになり、異世界への扉が開かれようとしている」
秋太郎の声の通り、会場は今もなお、観客の声援で満たされていた。これが2025年、皆の記憶に残る『ヒロイックソングス!』であり、この後に地球は異世界と繋がることになる。
未来からやって来たアイドルたちは、既に元の世界への帰路についていた。
『ありがとう、君たちのおかげで『ヒロイックソングス!』は無事、成功を収めた。
君たちには苦労をかける事になるだろうが……頼む』
秋太郎が見送りの際にかけた言葉を、胸に刻んで――。