イラスト

シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

【クロスハーモニクス】機奏と箱庭の大決戦!

リアクション公開中!
【クロスハーモニクス】機奏と箱庭の大決戦!

リアクション

■深層まで届け、わたしたちのハルモニア 2

「すごいバブみを感じる……けど、この姿ならグランドマザーにだって負けない! 俺の全力を見せてやるのぜ!!」
 そう叫んだ天導寺 朱がライブ開始の合図に光の球を打ち上げ、それを追わせるようにレーザー光で結ばれた浮遊ドローンの群れを飛ばす。まるで迷路のように出来上がった光の道をハルモニアを放出しながら飛び、レーザー光に触れて演奏を行う。
「なんて自由に遊ぶのかしら、可愛いわ……」
 朱のライブを、観客D.D.も、そしてグランドマザーさえも自身の手を止めてぼうっとした表情で見つめていた。この時点でディスコードゲージの上昇は止まり、ハルモニアゲージが緩やかに上昇を始めている。
(ここでスピンを決めてからのー、紅! 思いっきり言いたいこと言ってこい!)
『オッケー、ねじ込んであげるわ!』
 ユニゾンする天導寺 紅の声によし、と頷き、朱の身体が光の道を複雑なスピンを交えながら駆け抜ける。ハルモニアが身体の周りに渦を巻いて生まれ、道を抜けた朱がそのままグランドマザーへ向かって飛び、すれ違いざま纏っていたハルモニアをぶつけるように浴びせる。渦を巻いたハルモニアはディスコードの壁をたやすく貫いてグランドマザーに届き、そしてグランドマザーの目には紅の姿が映った。
「自由が不安なのは分かるわ。先行きの保証がない道を己で決めて進まなきゃならないのだから。だけどアタシはそれでも進むわ。アタシの隣には朱がいる! ハルがいる! フェスタの皆がいる! 彼等が一緒ならどんな困難でも怖くない!」
 一言一言におびただしい量のハルモニアが吹き出され、グランドマザーはもはや言い返すことすら出来ない。
「恐れるな! 計算じゃなく心で受け入れなさい! 本当に愛しているのなら人類を信じなさい! グランドマザー!
 ……それにね、アタシも最近気付いたけど。少々手のかかる馬鹿が一番、可愛いものよ?」
 最後に母性多めで微笑まれ、グランドマザーががくり、とその場に膝をついた――。


(グランドマザー、真の親は「行ってらっしゃい」と子供を未来に向かって送り出して、帰って来たら「おかえり」と優しく迎えるものだと思うわ。私にはゆりかごじゃない、帰るべき家があるんです……!)
 大量の観客D.D.を前に、グランドマザーに対決を挑むクロティア・ライハへ、既にユニゾンしているナレッジ・ディアが心配して声を送る。
『マスター、精神面に不安定を感じますが大丈夫ですか? いつも持ってるゲーム機握りますか?』
「……大丈夫、頭にはちゃんと入ってる。いつも通りやるだけ」
『そうですマスター、セクシーだが凄いバブみだが知りませんが、いつも通り行きましょう! ラスボス戦こそ冷静にです!』
 ナレッジの声に頷き、クロティアがハルモニアを放出しながら空に浮かび、シンセサイザーからゲーム音楽を奏でる。
『さあ、攻略開始です! あなたを倒して巣立ちを果たすのです!』
 時折光の球を打ち上げ、ラスボス――グランドマザーへの攻撃演出としたり、自身の残像を生み出して回避演出としたりしながら、緊張感がありつつも明るくポップな演奏を行い、グランドマザーの演奏に対抗する――。


「グランドマザー殿、次のライブ対決は拙者達でござるよ!」
 自分たちにグランドマザーの注意を惹きつけるべく、平 平平がつい振り向いてしまうような音を発すれば、狙い通りグランドマザーが自分たちに向けてディスコードを放ってきた。
「後は任せたでござる!」
 平平が弥久 風花のギターにユニゾンし、ハルモニアの光を放ち始める。
「それじゃ泰河先輩、ハル、一緒に婆――じゃない、グランドマザーに挑みましょ!」
「おう!」「ええ!」
 泰河とハルと共に、風花がグランドマザーのライブに割って入る。ネヴァーランドの天使のように6枚の羽を大きく羽ばたかせて光を振りまき、存在感をアピールする。
「グランドマザー、ネヴァーランドのライブは知ってるかしら? 特別に今日この時だけ、異世界ライブを見せてあげるわ!」
 ギターを鳴らし、ネヴァーランドで作られた曲に風花が歌詞をつけた曲を披露する。二つの世界が共鳴している影響で、異世界の歌であっても問題なくハルモニアは光り輝き、グランドマザーのディスコードと拮抗する。

 踏み出しても良いんだよ 準備をしよう
 「楽しい」に「遅い」なんて無い

 未来に「楽しい」を送り出そう
 楽しく生きていこう


 羽を羽ばたかせて飛び回り、観客D.D.に自身の幻影を作り出し、ハイタッチを交わすことで共感を生み出す。感動させられた観客D.D.はそれ以上ディスコードを発さなくなり、グランドマザーの生み出すディスコードもハルモニアに阻まれる形になった。


「とうとう来たわ、アタシのカリスマパワーで世界をアタシ色に染める時が!
 あのグランドマザーなおばあちゃんには引退してもらわないとね☆」
「聞こえましたよ? でも安心なさい、私はたとえ悪い子であっても等しく母の愛を施しましょう」
 相羽 憧の声を聞きつけたグランドマザーがあくまで微笑みを湛えたまま、悪い子へのお仕置きを込めたディスコードをぶつけてくる。それでも憧は涼しい顔をしていた。
「最高に最強なカリスマアイドル参上! 今日から世代交代ってやつよ!」
 自信に溢れた様子で、デビュー曲である『Runway』を熱唱する。

 あともうちょっと! あとちょっと! 宇宙ごとこっち振り向かせる!
 可愛くなりたい、負けたくないよ 絶対、諦めるもんか



「あれがグランドマザーっすね……やっぱ圧がすごいっすよ」
 グランドマザーと相対したカイ・ヴィオールチェ・サフィールの声にライム リドレーは同意しつつも、その表情に恐れや不安といった色はなく、むしろこれからのライブを楽しみにしているかのようであった。
「なるほど~、生きてる人たちから意思を奪って管理するのね。……でもそれって、本当に幸せなのかしら?」
 ヴォフォーナ・パリーイの呟きに、カイが首を振って拒絶の意思をあらわにする。
「俺は自由にキラキラしてるものが見たい! そんな意思を奪い去る支配なんて間違ってる!
 ……へへっ、なんすかライムさん、こんな時でも楽しそうっすね」
「ああ、楽しいさ。人類の母に反抗するなんて、最高にロックじゃないか」
「ん~、ロックとかよくわからないけど、抵抗して燃えるようなライブなのよね? だったら……」
 ヴォフォーナが会場の光の一部を集めて凝縮し、ミラーボールのように輝く光球を打ち上げる。
「それじゃやってやりますか、最高のロックを!」
 カイがライムのマイクとギターのセットにユニゾンし、それらがハルモニアの光を放ち始める。
「相手っておばあちゃんなんでしょう? 負けないでね~。……あれ~、おばあちゃんって言っちゃまずかったかしら?」
「……先程からよくも軽々と……それほどお仕置きを受けたいのですね?」
 バブみに加え、母親としての強力なプレッシャーをあらわに、グランドマザーがディスコードで一行を押し潰そうとする。

 もうじき夜明けが来る もう覚悟はできてる
 僕らももう いつまでも
 守られてばっかじゃ 厭になってさ


 ディスコードが一行へ届く間際、歌が始まり生み出されたハルモニアがディスコードを押し返す。
「目覚めるように、熱く! ロックに行くぞ!」
 レーザー光が奏でる音に、自らの音を重ねる。二つの音が一つとなって疾走感を生み、生じたハルモニアはディスコードをはねのけ、グランドマザーに迫る。
「これが、俺たちの答えだ!!」

 さぁ光めがけて 手を挙げろ
 そうだハイファイ
 今までを 越えてゆけ そして目指せ頂上を


 想いを乗せたハルモニアがグランドマザーを貫き、歌う力を一時的に奪われる形になったグランドマザーがその場にへたり込んだ――。
ページの先頭に戻る