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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

【クロスハーモニクス】機奏と箱庭の大決戦!

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【クロスハーモニクス】機奏と箱庭の大決戦!

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■セントラルシティでの避難誘導 2


「大丈夫? この先まで頑張って!」
 あちこちでリベレーターたちが人々を解放している。それによって個々に逃げている人たちを、本郷 聡美が誘導していた。
「待て、逃がすか!」
 そこへ、人々を追いかけてきたドミネーターたちがやってくる。
「あなたたちも、もういいんだよ!」
 そう言うと、本郷聡美が、ドミネーターたちにむかって歌いかけた。

『一人でくよくよ悩むより
 二人で一緒に悩もうよ
 自分一人で悩まないで
 私がそばに必ずいるから
 必ず、必ず
 私はあなたの味方だよ

 二人でくよくよ悩むより
 みんなで一緒に悩もうよ
 自分たちだけで悩まないで
 私たちがそばに必ずいるから
 必ず、必ず
 みんなはあなたの味方だよ

 三人よればなんとやら
 だって、仲間は多い方が楽しいよね……♪』


 本郷聡美のハーモナイズプレイを聞いたドミネーターたちの足がゆっくりになる。本郷聡美のハルモニアは、ドミネーターたちの心にも届いたのだろうか。
 この隙に、本郷聡美は避難させた人々の後を追いかけていった。まだ、逃げた先に、ドミネーターたちがいるとも限らない。
 本郷聡美が路地を抜けると、とたんにポップな電子音が聞こえ、澄んだ歌声が聞こえてきた。

『飛び立つあの空へは
 澄んだ羽と澄んだ心で
 いつまでも浮かんでいたい
 白い雲のように』


 湯上谷 潮音が歌う『Blue Sky』だ。
 逃げてきた人々が、ステージのある広場に集まってきている。
 のろのろと本郷聡美の後を追いかけてきていたドミネーターたちが、湯上谷潮音の歌声でピリオドを打たれた。
 ディスコードの影響が切れたのか、その場にへなへなと座り込んでしまう。
 ステージへ駆けあがった本郷聡美が、ハーモナイズギターをかき鳴らした。
 湯上谷潮音が、同じハーモナイズギターの音色で応える。ギター演奏のかけ合いだ。言葉ではなくとも、楽器で、その音色で、歌で、人々は会話すらできる。
「さあ、みんな、目を覚ませー!!」
 ツインギターとなってハルモニアの増したステージで、湯上谷潮音が、周囲に集まったすべての人々に対して呼びかけた。

★    ★    ★

「頑張って先に進め!」
 別方向から人々を避難誘導してきた七瀬 玖月が、軽快なステップを踏んで人々を励ました。ストラップで肩から提げたハーモナイズギターで、ヒットテクノを演奏しながら人々にハルモニアの活力を与える。ドミネーターたちの放つディスコードによってすべて諦めかけていた人々の心に、明らかに希望がわきあがってくる。
「逃がすか!」
 後ろからは、ドミネーターたちが、手に持った楽器からディスコードを放って応戦してくる。そんなノイジィな音が混ざっては、せっかくの演奏が台無しだ。演奏を邪魔されて、七瀬玖月がちょっと顔を顰めた。
「少し静かにしていろって!」
 U.チリングハーモニーで、七瀬玖月がドミネーターたちの動きを鈍らせる。わずかの間だが、これで少しは時間と距離が稼げるだろう。その間に、人々を安全な場所にまで誘導しなければ……。
「今のうちだ!」
 人々を先導すると、七瀬玖月は一気に路地を通り抜けて、ステージのある広場へと逃げ込んでいった。
「私たちの声を届けるのを邪魔しないで」
 広場に入ったとたん、しつこく追いかけてきたドミネーターたちが、文月 翡翠の放ったソニックコードで転倒させられた。
 それに助けられて、七瀬玖月たちと逃げてきた人々が、広場に集まった観客たちに混ざり込んだ。
 そして、軽快な電子音が響き渡る。
 ステージ上では、カノン・リスルと文月翡翠が、曲のイントロに合わせてロボットダンスを披露していた。この曲は、二人の持ち歌『グリード』だ。

『もっともっと教えて頂戴
 貴方に興味があるからね』

『強く優しく愛して頂戴
 貴方のことが好きなのよ』

『自由を望め』
『束縛を嫌え』
『だって私たちは強欲だから
 矛盾してる?
 知らないわ』

『私は知識を』
『私は愛を』
『望んだっていいじゃない?
 だって私たちは自由じゃん?
 貴方はいったい何を望む?
 モノ? コト?
 なんでもオッケー
 だって私たちは強欲だから!』


 間奏では、カノン・リスルがフレームビートで盛りあげる。
 そのハルモニアを受けて、人々を追いかけてきたドミネーターたちの足が完全に止まり、ゆっくりと自然に観客たちの輪に入り始めた。
 ステージでは、続いて、兎多園 詩籠の軽快なラップが始まる。

『さあさ、ようこそ、おいでませ
 ここは、みんなの、安地だぜ

 今日からグッバイ 昨日までの生きた死体
 今はもう要らない 支配されるままの慈愛

 嫌いじゃない
 でも俺たちは見たい
 この胸にだきたい
 愛おしい未来♪』


「なんだ、これは……」
 それを聴いたドミネーターたちの手足が、湧き上がってくるハルモニアの熱狂によって勝手にリズムを刻んで動きだす。もはや、U.チリングハーモニーで動きを制限する意味もない。
「さあ、みんな、解き放たれるときだ!!」
 兎多園詩籠が叫んだ。
「みんな、目が覚めたあ?」
 ステージでは、次に現れた如月 なごみが、粉雪のジュエルを周囲に纏いながら、歌声を響かせていた。
 レース飾りがふんだんについた夜色ゴシックの、ちょっと大人っぽい派手な衣装を着て、華麗に赤薔薇の杖を振り回して空中に赤い光の軌跡を描く。
 ネヴァーランドのスタイルであるロイヤルキャスターが放つ雰囲気に、人々の目が釘づけとなった。
 セントラルシティのあちこちでドミネーターたちに拘束されていた人々は、今や広場で行われるリベレーターたちのライブの熱狂的な観客と化していた。彼らを拘束していたドミネーターたちも、今や一緒になってステージへむかって声援を送っている。
 青いルミマルが、爽やかな光を放ってゆれる。それは、もはや止めようのない大きなウェーブとなってセントラルシティを押しつつんでいくのだった。
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