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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

【クロスハーモニクス】機奏と箱庭の大決戦!

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【クロスハーモニクス】機奏と箱庭の大決戦!

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■セントラルシティでの避難誘導


「さあ、みんな。今こそ、自分自身をとり戻すときよ!!」
 セントラルシティの野外ステージに立った松原 楓が、ドミネーターたちによって街のあちこちに集められている人々に呼びかけた。
 アルカディアドライバーの効果を最大限に生かすために、あるいは、その発動の邪魔をさせないがために、ドミネーターたちがディスコードで人々の自由意志を奪っている。
 そんなこと、放っておけるはずがない。
「歌って、楓ちゃん!」
 キャメロット・アガトルムが、ハーモナイズギター改をかかえて、ステージ上の松原楓に駆け寄った。ギターを手渡すと同時に、松原楓の周囲に、派手な爆炎があがった。
 炎がおさまると、そこにはハーモナイズギター改を持った松原楓の姿だけがあった。いや、姿は見えないが、キャメロット・アガトルムも一緒だ。二人はユニゾンしたのである。
 U.アクセルフィンガーの速弾きによってギターを鳴かせると、松原楓の周囲に、美しい炎が舞い踊った。ギターの音色に合わせてU.パッションハーモニーの炎を踊らせつつ、段々と松原楓が演奏のテンションを高めていく。それが最高潮に達したとき、U.ドライブハーモニーのシャウトが、セントラルシティに響き渡った。
 その声に、うつむいていた人々が、はっとしたように顔をあげる。
「こら、あんな雑音、聞くんじゃない!」
 慌てて、ドミネーターたちが、覚醒し始めた人々の意識を、ディスコードガンで再び奪い始めた。
「やめろお!!」
 黒崎 優衣の叫び声と共に、飛んできた鬼火がドミネーターたちにぶつかってきた。
「な、なんだ!? あちちちち……」
 ステージ演出の炎がここまで飛んできたのかと、ドミネーターたちが慌てて身体にまとわりついた火の粉を払い落とそうとする。そこへ、クルクルと大きく前転しながら黒崎優衣がやってきた。そのままの勢いでドミネーターたちの列に突っ込むと、伸身のキックを問答無用で浴びせかける。
 ビートスマッシュの勢いを受けて、ドミネーターたちが吹っ飛んだ。
「罪のない人を痛めつけるなんて、許せない!」
 そのまま、黒崎優衣がハードパンチャーでドミネーターたちをボコボコにする。
「みんな落ちついて。私たちが守ってあげるから」
 とりあえずこの場にいるドミネーターたちを気絶させると、黒崎優衣がまだぼうっとしている人々に声をかけた。
「みんな、ここが正念場だ! さあ、目覚めよう」
 元気な声と共にそこへ現れたのは、日下部 穂波だ。執事服を着て、腰には智者のサーベルを佩いている。
 踊るようなステップで、しゃがみ込んでいる少女の所まで進むと、日下部穂波がその手をそっととった。すでに、街その物が、日下部穂波のパフォーマンスの舞台と化している。
「皆、立ちあがろう。圧政は、潰え去った。聞こえるだろう、あの歌が、あの喜びが。夜明けの囀りに耳を澄まそう、夜明けの輝きに瞳をむけよう」
 いちいち派手にポーズを変えながら、日下部穂波が台詞を語る。
「さあ、目を覚ますときだ!」
 パンと、日下部穂波が大きく手を打ち鳴らした。響き渡るボリュームエフェクトに、人々が改めて日下部穂波を注視した。
「立ちあがれ!」
 目覚めのクロスコードで大仰にポーズをとって、日下部穂波が人々を誘(いざな)う。そのハルモニアにうながされて、人々がゆるゆると立ちあがり始めた。
 だが、それだけの目立つ行動にドミネーターたちが気づかないはずもない。近くにいたドミネーターたちが、続々と集まってきた。
「おおっと、ここは私が通さないんだから!」
 すぐに、黒崎優衣が日下部穂波の邪魔をさせないように、ドミネーターたちを食い止める。とはいえ、このままでは、どんどん敵が集まってきてしまい、そのうち黒崎優衣だけでは抑えきれなくなる。
「みなさん、こっちですー、こっち、こっち……」
 表通りのビルとビルの隙間から顔をのぞかせたカガミ・クアールが、そう小声で呼びかけながら、ちょいちょいと人々を手招きした。
「こっちに来れば、ドミネーターの人たちはいませんよー」
 クネクネと腰をくねらせて、カガミ・クアールが、人々を誘った。
「ち、痴女!?」
 腰上まで大きくスリットの入ったカガミ・クアールの服を見て、人々が瞬間躊躇する。ドミネーターたちからの避難誘導をしてくれているのは分かっているが、なんだか違う意味で誘われているような気がしてならない。とはいえ、ここで躊躇していては、戦闘に巻き込まれてしまう。
「さあ、いざ進め、民衆よ!」
 空気を読んだ日下部穂波が、剣を振り上げて人々を先導した。それをきっかけにして、人々がカガミ・クアールの案内で、敵のいない場所へと避難していった。
「狭いですから、気をつけてくださいね……あっ」
 人一人通れる抜け道を進みながら、カガミ・クアールが言ってるそばから自分で服を引っ掛けて大きく切り裂いてしまう。
「勘弁して……」
 さすがに帽子で視線を遮りながら、日下部穂波が少し顔を赤らめた。
「みなさん、早く安全な所へ避難してくださーい」
 ふいに、頭上から天月 聖奈の声が響いた。
 ビルの隙間から、上空を横切る天月聖奈の姿が垣間見える。すぐに見えなくなってしまったその姿の後には、美しいハルモニアの軌跡がキラキラと宙に残っていた。
 U.スカイダンサーで文字通り宙を駆けながら、天月聖奈はビートウィップでビルからビルへと素早く移動していった。
 表通りへと移動すると、ドミネーターたちに囚われている人々の集団が見えた。
「みんな、ディスコードなんかに負けないで!」
 青いダブルのジャケットを着た天月聖奈がビルの屋上にチェックのミニスカートを翻してふわりと着地すると、下にいるドミネーターや人々の視線が一斉に集まった。
「みんな違うからこそ、自由な想いがあるからこそ。よりいっそう、楽しいって思えるんです! 一人でも多くの人に、届け! この想い!」
 そう言うと、天月聖奈の前に、DF.アズライトサイザーのホログラム足踏み鍵盤が現れた。その上に飛び乗ると、天月聖奈が踊るように演奏を始める。アンセムテクノの電子音を響かせながら、軽快なダンスで音楽を奏でていく。その姿に、見上げる人々の瞳に光が戻ってくる。
 だが、ドミネーターたちが、それを黙って見逃すはずもない。天月聖奈を撃ち落とそうと、下からディスコードガンの狙いを定める。
「撃っちゃ、ダメー!」
「はうあ!?」
 突然ニードルシャウトを受けて、ドミネーターたちが倒れた。どこからの攻撃かと、無事だったドミネーターたちが周囲をキョロキョロと見回す。
「ふう、見つかってないよね?」
 フィッシュテールスカートの裾をビルの壁に押しあてて身を隠しながら、三木 里緒菜が、激しい動悸でバクバクする胸を両手で押さえていた。全体を紺色で纏めた衣装は、薄いシースルーのブラウスなので、チューブトップの胸の鼓動がダイレクトに伝わってくる。
 サイハイとロングのアンシンメトリーなブーツで軽く地面を跳ねると、三木里緒菜はそっとビルの陰から顔をのぞかせて様子を見た。
 ドミネーターたちは、またもや天月聖奈を狙おうとしている。
「そんなことしたら、メッです!!」
 またもや、ニードルシャウトを放つと、素早く身を隠す三木里緒菜だった。
「そこかあ!」
 だが、さすがにドミネーターたちが気づき、三木里緒菜が隠れた方へと顔をむける。
「ひっ」
 見つかっちゃったと、三木里緒菜が身を縮込ませる。
 だが、三木里緒菜を見つけたドミネーターたちが、突然ハイジャンプで跳んできた鳴海 慎吾に蹴り倒された。
「おっと、ドミネーター兵はお呼びじゃない。退場してもらおうか」
 三木里緒菜が倒しきっていなかったドミネーターたちを、鳴海慎吾が軽快な動きですべて蹴散らす。
「思い出せよ。自分自身で、やりたかったこと」
 天月聖奈のアンセムテクノの曲に乗りながら、鳴海慎吾が人々の手をとってハートビート・ダンスを踊り始めた。動けないでいた人々が、徐々に自分の意思で動きだす。
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