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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

【クロスハーモニクス】機奏と箱庭の大決戦!

リアクション公開中!
【クロスハーモニクス】機奏と箱庭の大決戦!

リアクション

■ダイヤモンド・ブレイド


「よし、みんな、盛りあがろうぜ!」
 キング・デイヴィソンが、ひときわ演奏を熱くしていく。
『行って、アンバー!』
 ライカ・ペリドットの声に押されて、アンバー・ベースも前に出る。
 そんな中で、スピカとユニゾンしたイザークは、静かに機会をうかがっていた。
 逆に、今こそチャンスだと思ったのは黒瀬 心美だ。
「まっこう勝負! ダイヤモンドを倒すにはそれしかない!!」
 ダイヤモンド・ブレイドめがけて、黒瀬心美は一直線に飛び出していった。
 だが、そうそう簡単にはいかない。
 その眼前にジュエリィナイツたちが立ちはだかる。
 ビクスバイトとヘリオドールの放ったファングトルーパーズが一斉に黒瀬心美に襲いかかってきた。パイクシールドでそれをブロッキングしつつも、さすがに黒瀬心美の足が止まる。やはり、ジュエリィナイツを無視してダイヤモンド・ブレイドへ辿り着くのは難しいらしい。
 ショックハーモニーでファングトルーパーズを弾き飛ばすものの、今度はビスクバイトからピストルドレスによる銃撃が襲いかかってくる。
「引くわけにはいかないんだよ!」
 黒瀬心美は、銃撃を防いだままシールドバッシュでビスクバイトを打撃で昏倒させた。続いて、ヘリオドールへは、火炎の武威を纏わせたユニゾンブレードで一撃を与える。
「ならば、こちらも本気を出させてもらう!」
 言うなり、ダイヤモンド・ブレイドが近くにいたアレキサンドライトキャッツアイを大剣で掬い上げた。空中に舞うショートカットの少女を、返す剣の平で薙ぎ払う。まるでイレーサーで空間を削り取ったかのようにアレキサンドライトキャッツアイの姿が消え、ダイヤモンド・ブレイドの大剣が輝きにつつまれた。ユニゾンだ。
 ダイヤモンド・ブレイドにとって、ユニゾンは純粋な力の増幅だ。ディーヴァは、より力の強い者に取り込まれて、その真の力を発する道具であるのだ。それこそが、無駄のまったくない、真に効率的なユニゾンだ。不完全で不安定な人間などが扱っていい力ではない。それは、あまりにも非効率で、不条理な現象だ。
「ディスコードの輝きに、心刻まれるがいい!」
 黒瀬心美にむけて、ダイヤモンド・ブレイドが、ディスコードの巨大な斬撃を放った。
「くっ……。うわあ!?」
 なんとか受けとめたと思ったのも束の間、受けとめきれなかったディスコードを浴びつつ、黒瀬心美が後ろへと弾き飛ばされた。決して後れをとるほどの力量差があったわけではないが、ユニゾンしたダイヤモンド・ブレイドは、黒瀬心美を上回った。
 さらには、上からもディスコード砲の弾幕が途切れることなく降り注ぎ続けている。宝庭シェプストたちの援護の下に加賀ノイが砲座を潰していってはいるが、上をとっているジュエリィナイツたちは有利に攻撃を続けていた。
 リベレーターたちはよくそれに耐えていると言えたが、このままディスコードを浴び続ければ、いつか限界が来る。
「心など不要。ユニゾンとは、配下の力を取り込むだけの単なる技だ!」
 ダイヤモンド・ブレイドが言い放った。黒瀬心美が体勢を立てなおす前にと、さらに斬撃を飛ばしてくる。
 そのときであった。
「ゆくぜ、ドグ!!」
 槍沢 兵一郎の声が響き渡った。
「任せたまえ兵一郎!」
 その声に応えて、ドレッグ・グロッシュラーが飛び出した。
 犬型のボディに雄渾の大盾を背負い、勢いよく空中に躍り出て半回転する。そこへ、追いついた槍沢兵一郎が思いっきり右手を突き出した。ドレッグ・グロッシュラーのボディと雄渾の大盾の間に入り込んだ槍沢兵一郎の手が、盾の取っ手を掴み取る。槍沢兵一郎の手に填められたDF.ハードパンチャーVer2.0をつつみ込むようにして、ドレッグ・グロッシュラーがユニゾンしていった。翠色のソウルドロップが輝く。その瞬間、激しくハルモニアが後方へと噴き出し、槍沢兵一郎の身体が一気に加速した。
「うおおおお……!!」
 不撓の雄叫びをあげて、槍沢兵一郎が黒瀬心美の前に躍り出た。飛来したダイヤモンド・ブレイドの斬撃を、雄渾の大盾でブロッキングする。だが、槍沢兵一郎の勢いはそれではおさまらない。
「相手してもらうぜ、ダイヤモンド!」
 一気にダイヤモンド・ブレイドまでの道を切り開こうとした槍沢兵一郎であったが、その前に重機型のピンクコーラルが立ちはだかった。前面に押し立てたバケットと、槍沢兵一郎の雄渾の大盾が激突する。それは、そのまま、両者の放出するディスコードとハルモニアの激突でもあった。
 もつれ合うようにして、両者はもんどり打って横の方へと転がっていった。
 ダイヤモンド・ブレイドの盾となったピンクコーラルは、ボディから全てのパーツが吹き飛んで身動きできない状態だ。
 だが、槍沢兵一郎のほうも、無茶がたたって気を失っている。
「やれやれ、ずいぶんと無茶をしたものだね、兵一郎」
 ユニゾンを解除したドレッグ・グロッシュラーが、衝撃で気絶した槍沢兵一郎を引きずって後退する。
 だが、槍沢兵一郎のおかげで、完全にダイヤモンド・ブレイドまでの道が開ける。
「この戦いが終わったら、今度こそ決着をつけるんだから……。それまで他の人に倒されないでよ、アンバー!」
「オレが、誰にやられるってんだよ!」
 光り輝く衣装に、メタトロンの光翼を広げた世良 延寿が、低空を飛翔していく。アンバー・ベースの乗る重厚なパワードスーツとは実に対象的な姿だ。
 飛翔するファングトルーパーズの群れを、世良延寿の十二使徒の制裁が迎え撃つ。ブレードを展開した円盤状のファングトルーパーズがティルトローターの唸りをあげながら立体機動で仕掛けてくるのを、ディスカディアではありえない動きで浮遊装置も持たない光の剣が迎え撃つ。
「奇妙な武器を使うな……」
 ネヴァーランドのスキルに戸惑いながらも、ダイヤモンド・ブレイドがアンバー・ベースの突進を大剣で弾き飛ばした。後退しつつも、アンバー・ベースが、パワードスーツのアームに装備されたハルモニアガンを放つ。
 さすがに、大剣の平でそれを防いだダイヤモンド・ブレイドが後退った。
 トリッキーラッシュで追撃に移ろうとした世良延寿であったが、その眼前にシリマナイトキャッツアイとアパタイトキャッツアイが頭上から現れる。世良延寿たちの動きを見て、銃座から飛び降りてきたのだ。
 ふわりと片膝着いて着地したジュエリィナイツたちは、即座にピストルドレスからディスコードを世良延寿に浴びせかけてきた。アパタイトキャッツアイをトリッキーラッシュで退けるものの、タイミングを狂わされて世良延寿もいったん下がる。
「ダイヤモンド、一応聞くけど、投降の意思はないね?」
 すでに、ペルセフォネ・プライズとのユニゾンをDF.ドラゴンチョッパーと果たしている別葉・ペアーズが、ゆっくりと進み出てダイヤモンド・ブレイドに問うた。サウンドブースターで強化されたハルモニアスが、頭上から味方へと降り注ぐディスコードを蹴散らす。
「また、人間などと言う不安定な存在とユニゾンするディーヴァか」
 ダイヤモンド・ブレイドが吐き捨てるように言った。周囲に、ツァボライト、グロッシュラー、スペッサルティン、モルガナイト、パパラチア、グリーンサファイアなどの、まだ動けるジュエリィナイツたちが集まってくる。
 リベレーターたちは、ダイヤモンド・ブレイドとの単独の戦いにこだわったようだが、ジュエリィナイツたちを無視しては無理な話であった。
「お前たちはなぜ戦う。しかも、その戦い方は、相手の破壊を目的としたものだ。それに何の意味がある?」
 蔑むように、ダイヤモンド・ブレイドが別葉・ペアーズたちに言った。ドミネーターの目的は、完全なる管理社会だ。そこには、排除や破壊という概念は薄い。管理できる者は全て管理下におく、そして、ドミネーターに管理できない者など、この世に存在するはずもなかった。だから、破壊も必要ない。
 なのに、不完全な人間は、他者を破壊しようとする。これは、致命的なバグではないのか。ならば、デバッグできる存在は、ドミネーターしかありえないのだ。
『僕は人間の自由な愚かさ、醜さを面白いと思うからね。だから、支配されて、欲望を持たない人間なんて、つまらない』
 ペルセフォネ・プライズの声が、別葉・ペアーズの持つ光の大剣から聞こえてきた。ある意味、人の本質を知った上でのペルセフォネ・プライズの言葉であったが、ダイヤモンド・ブレイドには、ただの醜い言葉にしか聞こえなかった。
「なんと、醜い。放っておけば、そのような人間は互いに殺し合って滅んでしまうだろうが。我らは、主としての人間を保護する最善の方法をとっているに過ぎないと言うのに。お前たちのような、相対する者を力で消去するような者たちは、管理されなければ危険だ」
「だから、俺の村の人々を連れ去ったのが正しいことだと言うのか!」
 その叫びと共に、満を持してイザークが飛び出してきた。スピカが、フルパワーでそれに答えた。ダイヤモンド・ブレイドを倒せるか、それとも、イザークの身体が耐えきれなくなるか、時間との戦いだ。
 たちまち、集団戦が発生する。
 互いの操るトルーパーなどが乱舞し、正に乱戦となる。
 それに紛れて、アイフェリア・エーフェルトカナデ・ステラは、そっとダイヤモンド・ブレイドの後ろへと回り込むべく忍んでいった。
 別葉・ペアーズが、ノイズバスターでジュエリィナイツを弾き飛ばす。
 イザークの攻撃を受け流したダイヤモンド・ブレイドが、別葉・ペアーズにむかって斬撃を飛ばしてきた。
 その隙を突いて、回り込んだカナデ・ステラが奏刃リゲルで側面からダイヤモンド・ブレイドを射撃しようとした。だが、ダイヤモンド・ブレイドを守るジュエリィナイツが、すかさずフォローに入り、自らが盾となる。全員が一体となってダイヤモンド・ブレイドを守ろうとしているジュエリィナイツに死角はなく、個々に攻めているリベレーターよりも統制がとれていた。逆に、ダイヤモンド・ブレイドに攻撃を集中させようとするあまり、防御が散漫になってしまったことは否めない。
 ピストル・ドレスからの反撃を受けて、カナデ・ステラが、浴びせられたディスコートに目眩を覚える。
 カナデ・ステラとの連携でダイヤモンド・ブレイドを狙っていたアイフェリア・エーフェルトが、慌ててカバーに入った。アクセルスマッシュで飛び込みつつ、ディストーションブロウでジュエリィナイツを大きく殴り飛ばす。
 一方、正面から波状攻撃を仕掛けていた別葉・ペアーズたちも、ダイヤモンド・ブレイドを攻めあぐねていた。
「速度では、私の方が上回っているはずなのに……」
 クロックアップによって圧倒できると考えていた別葉・ペアーズが、ダイヤモンド・ブレイドの素早い切り返しをギリギリで回避しながらつぶやいた。
「ユニゾンしたディーヴァの力は、すべて私の物となる」
 自らの持つウォーブライドに加えて、ジュエリィナイツのクロックアップを縦横に使いこなすダイヤモンド・ブレイドが、斬撃でイザークを弾き飛ばした。床の上を転がりながらも、イザークが素早く体勢を立てなおす。
「まだいけるな、スピカ」
『本気は、後一撃なら』
 すぐに襲ってくるジュエリィナイツを回し蹴りで倒しながら、イザークがダイヤモンド・ブレイドの隙をうかがう。
 だが、先に仕掛けたのはアイフェリア・エーフェルトだった。ブルー・ゴーストでダイヤモンド・ブレイドの死角へと回り込み、ディストーションブロウを叩き込む。けれども、ユニゾンしているダイヤモンド・ブレイドは大剣でそれを受け流し、逆に掌底を入れてアイフェリア・エーフェルトにディスコードを叩き込んできた。
 一気に止めを刺そうと剣を掲げるダイヤモンド・ブレイドに、閃光が迫る。雷光を迸らせるビームが、避けるダイヤモンド・ブレイドの肩を掠めて背後の扉を直撃した。そのあまりの威力に、ダイヤモンド・ブレイドが掠めた左肩から先を持っていかれる。
 続いて、扉が大爆発を起こした。
 別葉・ペアーズの決め技、U.ハルモニアデリュージだ。
「これさえも躱わすか。でも……」
 大技を放った別葉・ペアーズが、DF.ドラゴンチョッパーを振り下ろした体勢で顔をあげた。
「今よ、行っけえ、アンバー!!」
 世良延寿が叫んだ。
「みんな、ありがとな!」
 破壊されたアルカディアドライバーへの扉のむこうへと、アンバー・ベースが飛び込んでいく。
「しまっ……!?」
 その姿に、ダイヤモンド・ブレイドが一瞬気をとられたときだった、
「ダイヤモンド!!」
 本家ブルー・ゴーストの幻影を纏いながら、イザークがダイヤモンド・ブレイドと激突した。幻影がイザークの姿に重なって消えると同時に、彼はダイヤモンド・ブレイドを床へと叩き伏せていた。
「俺ごとでいい!!」
 イザークの叫びを理解して、カナデ・ステラと別葉・ペアーズが、U.トレイルウォーターで、イザークごとダイヤモンド・ブレイドを氷づけにする。
 ここぞとばかりに、アイフェリア・エーフェルトがディストーションブロウで、ダイヤモンド・ブレイドに直接ハルモニアを叩き込んだ。
『ねえセンパイ。あなたの戦い見てるの、案外楽しかったよ』
 ペルセフォネ・プライズの声が、別葉・ペアーズにダイヤモンド・ブレイドの止めを刺すことをうながした。
「破壊魔め。そうやって、他を滅ぼし、自滅していくがいい。人などとユニゾンなどするから、おぞましくもそうなる。だが、それでもママは、お前たちの持たない慈悲の心を示すだろう。さあ、慈悲などいらぬ、ソウルドロップを砕くがいい!」
 自分たちは、あくまでも人を導く者であって、お前たちのような殺戮者ではないと、ダイヤモンド・ブレイドが姿の見えぬペルセフォネ・プライズにむかって言った。いや、それは、自分と共に半ば凍りついているイザークとスピカにむけた言葉であったのだろうか。
「そんなことは知らないな。オレは、ただ、人々を返してもらうだけだ。そして……」
 イザークは凍っていた右腕をU.ファイアボックスにつつんで解かすと、ダイヤモンド・ブレイドにむかって渾身の力を込めて突き出した。ダイヤモンド・ブレイドの胸にあったソウルドロップを掴み、腕を引き抜いてそのボディから?ぎ取る。
 ダイヤモンドの輝きが、イザークの拳を内側から照らした。
 そして、ダイヤモンド・ブレイドのボディが静かに停止する。
 イザークは、手の中でまだ輝き続けているソウルドロップをそっと握り締めた。
「動ける者は、アンバーを追ってアルカディアドライバーへ急げ! 戦える者は、ドミネーターたちをここから先へ通すな!」
 イザークの言葉に、リベレーターたちはアルカディアドライバーへとむかい、アイドルたちはその場に残ってジュエリィナイツたちを無力化するための戦いを続けていった。
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