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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

夢見る少女のエキサイト・クリスマス

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  • 夢見る少女のエキサイト・クリスマス

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■ふたりのキャンドルナイト■


 セブンスフォースの、城下街。
 キャンドルがあちこちに浮かぶ不思議な街なかを、日下部 穂波天宮 奏楽は気ままに散策している。

「これは、セブンスフォールにあっていいのか?」

 奏楽が足を止めたのは、とある路地裏のショウウィンドウ。
 そこには、色とりどりの『等身大のルミマルキャンディ』が並んでいる。
 穂波は表情を緩める。

「あは♪ だってここは、リンアレルの夢だからね。
 きっと今頃、リンアレルもこの夢を楽しんでるんだろうな」

「穂波は楽しいか?」
 
「へっ?」

「俺とのデート」

「デ……デー……」

 奏楽の言葉に、穂波はフリーズする。
 
 
(今日も穂波は、弄り甲斐がある)

 内心ご満悦の奏楽に対し、穂波は答えに窮している。
 
『彼氏と二人でこんな不思議な場所を回ったら、楽しくないわけがない』
 
 そんな内容をそれとなく伝えてみようとするが、恥ずかしくてなかなか言えない。

「か、」

「か?」

「かわいい! これかわいいね!」

 耳まで真っ赤になっているのを感じながら、穂波はルミマルキャンディを指さす。

 キャンドルの灯のおかげで、今夜は街じゅうが、柔らかな金色に染まっている。
 穂波の頬の赤さも、その金色が、隠してくれている。

「じゃあそれを買おう。店の入り口はあっちか?」

 穂波の動揺を楽しみつつ、奏楽は歩き出した。


 店の入り口は、広場に面していた。
 広場の中央には、凛々しい顔のレーヴェとルミマルが並んだ石像が立っている。
 それを囲んで様々な店やワゴンが並び、甘い匂いやしょっぱい匂いを漂わせていた。

「見てみて! あんなところにまでろうそくが浮いている! 綺麗だよ!」

 穂波が瞳を輝かせる。
 二人の足元の高さから遥か上空まで、たくさんのキャンドルが浮かび、優しい色で輝いている。
 これまでどんな世界でも見たことがないような、壮大で幻想的な景色だった。

「メリークリスマス」
 
 同じ景色を見上げながら、二人は自然とその言葉を交わし合う。

「穂波も綺麗だよ」

 唐突に奏楽が言った。

「え?」

(今のって、弄られたの? それとも……?)

 穂波はやっぱり真っ赤になって、歩き出した奏楽を追いかける。



■王女とハーレム■


 王城の一室。
 窓辺に立ったリンアレルが、外の景色をしげしげと眺めている。
 この部屋は城の突端なので、窓からは夜空と温かい雪、そして空に浮かぶ無数のキャンドルしか見えないはずなのに…… 

 キャンドルと雪の合間に、光るトナカイが見える。
 トナカイはクリスマスらしくソリをひいており、ぐんぐんこちらに近づいている。
 ソリに乗っていたのは、死 雲人だった。


「綺麗だリンアレル」

 部屋に降り立った雲人はライブを始めた。

「リンアレルは俺のハーレムの女だからな。これはクリスマスプレゼントだ」

「ハ……?」

 ハーレムという言葉を理解できなかった純情無垢なリンアレルは、最後の「クリスマスプレゼントだ」にだけ反応した。

「ありがとうございます!」

 雲人は音楽を奏で【ウィンターファンファーレ】の雪を降らし、さらに【サンライトスフィア】の無数の光球を放った。
 リンアレルが降れると雪は光の粒となって消え、光球は音を立てて弾ける。

「わぁ……綺麗」

 リンアレルが微笑んだ。
 
「今までよく大役を背負ってきたなリンアレルは。泣いていい。今はゆっくりでいい」

 雲人はリンアレルの頭を【よしよし】、ぽんぽんと頭を撫でる。

「いつも気にかけて下さって、ありがとうございます」

 先ほどまでのライブによって心があたたまっているリンアレルは、明るく笑い、感謝のまなざしで雲人を見上げた。
 
 雲人の願いはいつも明確だ。
 ふさわしい女性を、己のハーレムに加えること。
 リンアレルも当然、彼のハーレムにふさわしい女性だった。
 しかし、純情無垢で、さらにまだまだこの国のために大役を果たさなくてはならないリンアレルには、ハーレムのなんたるかがうまく伝わっていない。
 
「一緒に歌って、いいですか?」

 雲人は微笑み、

 ――いつか必ず、リンアレル、お前を俺のハーレムに。
 
 ゆっくりとうなずいた。



■恋人たちのクリスマスビュッフェ■


 たくさんの飲食店が立ち並ぶ通りに、行坂 貫近衛 詩歌は降り立った。

 二人は顔を見合わせ微笑み、さてどこで食事をしようかと歩き出した。
 そんな二人の前に、かしこまった服装の男が現れ、丁重に頭を下げた。

「私は夢の案内人。
 お二人は、今夜のディナーはお決まりですか?」

 お決まりも何も、二人はたった今ここに着いたばかり。
 何も決まっていないし、お互いの意見も聞いていない。

「あの……そういえば、お金は……?」
 
 詩歌が心配そうに言うと、夢の案内人は首を横に振ってにこりと笑った。

「そんな心配はご無用です。
 さあ、お二人に最もお似合いなお店へご案内いたしましょう!」
 
 
 次の瞬間、二人は豪華なレストランにいた。
 店はビュッフェスタイルらしく、食べきれないほどの種類の品が並べられている。

 ビュッフェと判り、貫も詩歌も嬉しそうだった。
 クリスマスの夜は、いつか行こうと約束していたビュッフェがいい、二人ともそう考えていたのだ。

「詩歌も?」

「貫も?」

 なんだ、同じことを考えていたのか――二人は微笑み合う。

「ようこそ。お席へご案内します」

 店員が現れ、二人を窓際の席に案内した。

「当店のおすすめは、フェスアイス(セブンフォール味)でございます。
 ルミマル風カローレポタージュや、ピクシーハニーカレーなども珍しいかと思います。
 どうかよい夜を」

 大きな窓からは、カンタレーヴェの街並みが一望できた。
 高い場所にも低い場所にもキャンドルが浮かび、その合間に雪が降る……素晴らしい景色だった。

「詩歌、これ美味いぞ。こうゆうの好きだろ? ほら、あーん」

「貫もこっち、食べてみて? あーん」

 そんなこんなで十二分に食事タイムを堪能し……。

「デザート作って来たんだが一緒に食べないか?」

 店員が快諾したので、貫は手作りしてきたケーキ『ブーケットノエル』をテーブルに出した。

「このケーキ、花束みたい!」
 
 詩歌は大喜びだった。そしてさらに……。

「メリークリスマス、詩歌」

 貫は『キャットミントの守り石』を詩歌に見せて手渡した。
 詩歌の誕生日にちなんだ宝石や花をあしらった、想いのこもった手製の品だ。

「プロポーズした時に指輪は送ったし、アクセサリとか詳しくないし、
 ……で、迷った結果こんな形になったんだが……
 詩歌への日ごろの感謝を込めて作った。受け取ってくれるか?」

 詩歌は心から喜び、大切そうにその品を受け取った。

「これからも宜しくな、詩歌」

「貫……こちらこそ、よろしくね?」

 窓の向こうでは、幸せそうな二人を祝福するように雪が踊り、キャンドルが輝いている。



■ Smile ■


 王城の大広間。
 クリスマスの飾りがなされたここでは、豪華な料理が並び、クリスマスの舞踏会が盛大に執り行われている。

 レイリ・フレスティーナ青井 星一郎は、そんな大広間にやって来た。
 
(前にここでの舞踏会に招かれた時、私は華やかな場に戸惑うだけ。
 星一郎が貴族の娘と踊ってるのを、見てるだけだった)

 レイリは、大広間を懐かしそうに見回している。

(機会があったら、
 私とここで、あんな風に踊ってほしいと思ってた……だから)

 隣りに立つ青井をじっと見つめ、レイリは思わず口にしていた。

「……星一郎と踊りたい」
 
 そんな意外な言葉を星一郎はしっかりと受け止め、

「俺と踊ってくれますか、レイリ・フレスティーナ」
 
 【王城の礼儀】の物腰でダンスを申し込む。

「うん……」

 星一郎はレイラの手をそっと取り、二人はダンスの輪へ入った。


 ♪~~
 
 楽団が奏でる、華やかなワルツが始まった。
 星一郎は【目覚めのクロスコード】を纏って風格を漂わせ、【エクスワイアステップ】の凛々しいステップを交えて踊る。

「素敵なカップルね」

「踊りも素敵!」

 周りからそんな声が聞こえてくる。
 星一郎はこんなことでレイリが満足しているか不安だったが、レイリは十分満たされていた。
 
(一緒に、踊ってる……)

 その事実を噛みしめ、レイリはごくごく自然に、自分でも気づかぬうちに微笑んでいた。
 いつも淡々とした無表情のレイリが微笑んだので、星一郎はひどく驚いた。

(星一郎?)

 レイリはほんの少し表情を変えて星一郎を見る。
 
(今の顔……何に驚いたの?)
 
 自分が微笑んだことが原因だなんてつゆほども思っていないレイリは、星一郎を見つめて、呟くように言う。
 
「……もっと踊っていたい」


(レイリが満足するまで付き合おう)

 星一郎は心に決め、深く頷く。

 するとレイリが、また微笑んだ。
 しかし、もう星一郎は驚かない。
 彼もまた、レイリと同じように、ごくごく自然に微笑んでいた。



■聖夜のドリームタイム■


 王城のエントランスには、六人のアイドルが集まり挨拶を交わしている。
 並び方からして、彼らは二人ずつのペアになっているようだ。
 
 藍屋 あみか合歓季 風華は誰かを探しているのか、きょろきょろ、そわそわしている。 
 
 水鏡 彰ルティア・オルコットは楽し気で、今にも踊り出しそうだ。

 天草 燧イシュタム・カウィルは微妙な距離感を保ちながら並んではいるが、時折り楽しそうに会話を交わしている。
 
 全員まじえて一通りの挨拶を終えると、
 
「みんな、良い夜を」

「また後で合流しましょう」

 そんな言葉を交わし合い、三組はそれぞれの目的に向かって歩き出した。


 あみかと風華は庭にいた。
 二人の視線の先には、今夜会いたいと願っていたリンアレルとクロシェル。
 庭の東屋で、和やかに会話をしている。 

「兄さん、夢のような夜です……あっ……もともと夢なんですっけ」

「そんな事はいいから。お前は単純に楽しめ」

 クロシェルがあみかと風華に気づき、視線を向けてきた。

「お前達は確か……」

「いらしてたんですね? こんばんわ」
 
 リンアレルが笑顔を向けてきたので、自然と会話が始まった。

 『お久しぶりです』の挨拶の後、
 
「ところでクロシェルさん、ライブはいかがでしたか?」

 風華がそんな質問をぶつける。

「ライブ……あぁ、まぁな……」

 クロシェルは青ざめ黙り込んだ。

「うふふ、私は素敵だったと思いますよ?」

 やりとりからは、ライブが楽しかったことが想像され、あみかも風華も心から嬉しくなった。

 そして二人は、リンアレルにお願いした。

「ここで歌っても、よろしいでしょうか」

「はい! もちろんです!」

 
 あみかの幼生神獣『ファーブラ』と、風華の神獣幼生『オキエル』がやって来た。
 二頭がキャンドルの合間をじゃれ合い飛び回る中、二人はそれぞれの芸器を奏で、歌い始める。

 最初は揃って【冷然のクロスコード】
 落ち着いた雰囲気で。
 すぐに神獣達も、歌を重ねてきた。

 ――今のこの夢が明ければ、
 
 ――お二人は再び、各々の戦いに戻る……
 
 二人は、目覚めた後の、兄妹のことを案じていた。
 その気持ちはぴったり重なり、共鳴している。
 さらに【神獣共鳴】によって神獣たちとも共鳴し、素晴らしい歌を響かせる。
 やがて二人揃って【熱情のクロスコード】。
 歌声は情熱を纏う。
 
 
 ♪ 思いは剣に 思いは翼に
 
 ♪ 剣と翼はウタ紡ぎ ウタはいつかの黎明に
 
 

 想いを込めて、祈るような気持ちで【ブレイブリーソング】 

 ――この歌が、お二人の心を奮い立たせ、勇気と力を与えますように……

 最後に風華が、聖なるペンダント【ギフトグレイス】の力を解放。
 希望を彷彿させられる光が、頭上から降り注いだ。

「セブンスフォールは私にも大切な場所。
 私なりに出来る事で必ずまた……」

 あみかが言葉を届ける。
 
「次は目覚めた世界にて。
 お二人の安眠を願えるよう、お力添えさせて下さい」
 
 そして風華も言葉を届けた。
 
 夢の中での二人の歌は、リンアレルとクロシェルの記憶に、綺麗な光となって刻まれた。


 彰とルティアのカップルは、大広間の舞踏会にやって来た。

 踊りを楽しむ人の他にも、踊りを見て楽しんでいる人、さらには食事やドリンクを楽しんでいる人……大勢の人で溢れている。
 クリスマス飾りは美しく、華やかこの上ない雰囲気だ。

 ルティアは、夜空のような深い青のプリンセスドレス姿を着ている。
 いっぽう隣りの彰は、白いサーコート。
 二人が並んでこそ完成するようなコーディネートは、華やかな舞踏会の雰囲気にとてもしっくり溶け込んでいる。
  
「一曲いかがですか? お姫様」

 彰が恭しく頭を下げる。
 
「勿論……私の騎士様……」

 ルティアの瞳の中には、きらきら星が輝いている。

 ダンスは練習してきたが、まだまだ不安は残っている。
 しかし何はともあれ、二人は楽しそうに見つめ合う。

「お姫様のエスコートは、騎士の役目だからな。しっかりやらせてもらうぜ?」

「ふふっ……お願いね……?」

 手を取り合って踊りの輪に入ると、しっとりとしたワルツが始まった。
 
 ♪~~

「(うわわっ)」

「(違う違う、最初はそっちの足だ)」

「(そ、そうだった!)」

 ひそひそ声で助け合いながら、二人は、二人だけのダンスを楽しむ。
 アイドルのライブが好きなリンアレルの夢だからこその演出だろうか、室内なのに、どこからか白い雪が舞いこんでくる。
 雪は温かくも冷たくもなく、触れると光の粒となって消えていく。

 ターンの直前、彰がルティアを一瞬引き寄せ、

「メリークリスマス、ルティア……だいすきだよ」
 
 舞い散る雪と、光の粒の中で伝えれば。

「私も、大好きだよ……彰……」

 ルティアは微笑み彰を見つめ、華麗にくるりとターンした。
 
 

 イシュタムと燧もまた、大広間にいた。
 入口までは彰達と一緒だったが、中に入ってからは別々に行動している。

「イシュタムさん、とても綺麗で、お姫様みたいだ」

 今日のイシュタムは、いつものような活動的なスタイルではなかった。
 メイクを施し、プリンセスのようなドレスを着ている

「燧も。その服、よく似合ってるぞ」

 風華が選んだ黒い皇子系のファッションも、今宵の舞踏会にぴったりだ。

「僕と踊って頂けますか? イシュタムさん」

 燧は【王城の礼儀】でイシュタムにダンスを申し込む。

「そんな……照れるぞ」

 イシュタムは、燧に促されるままにその手を取った。
 手と手が触れると二人は少しだけ恥ずかしそうに顔を見合わせたが、
 
 ♪♪~~
 
 盛大なワルツが始まり、夢中で踊るうちにすぐにいつも通りの二人に戻った。
 そして……。


「すごいぞ!」

 フルートグラスを手に、イシュタムはテラスの欄干によりかかっている。
 はりきって踊り過ぎて暑くなった二人は、テラスに涼みに出ていた。
 テラスは、絶景だった。
 広がる夜空、カンタレーヴェの街灯り、それらを取り囲むように浮かぶ美しいキャンドル、今夜の全てが一望できた。
 他に人はおらず、景色は二人占めだ。

「うん。綺麗だね……イシュタムさん」

 燧は手にしていたオレンジジュースのグラスを、そばのテーブルに置いた。
 そして、自分の首にそっと手をやった。
 己のあかしのようなディーヴァのソウルドロップに触れ、燧は歌い出す。

 ♪ 広い夜空に星あまた
 
 ♪ ひとりで見渡しきれないと

 【ピクシートーン】のボーイソプラノでしっとりと歌えば、【オリオンの光】の星屑のような小さな光が、二人の周りにキラキラと散りばめらる。

 イシュタムはオリオンの光のキラキラよりも、さらに瞳をキラキラさせて、燧を見つめる。
 いつもライブで聞いていた歌声が、自分だけに向けられる……とても安らぐ、幸せな気持ちだった。
 
 ♪ 教えてくれたのは つないだその手

 喜び、自己変革、感謝……
 燧の胸の中には、たくさんの想いが溢れている。
 その思いは「文章」や「長い歌詞」にすることもできるかも知れない。
 
 しかし燧はそれらを歌にした。
 イシュタムにも、歌として、しっかりと届いた。

 歌い終わった燧に、イシュタムは惜しみない拍手を送る。
 そして燧に近づき、とびきりの感謝の言葉を告げた。

 どん! 
 
 カンタレーヴェの空を包むほどの、大きな花火があがった。
 イシュタムの声は、燧にだけ届き。

「踊ろう、イシュタムさん」

「そうだな」

 二人は手をとりあって、大広間に戻って行った。

 どん!
 どどん!
  
 空一面に、クリスマスカラーの花火があがっていく。
 楽しいこの夜は、リンアレルの素敵な夢は、まだまだ終わらない。
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