神々の悪戯! ハロウィンナイト悪夢編
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■Halloween night light(4)
所は変わって、ここはうっそうと木々が生い茂った少し薄暗い場所……
「そういえば、あのときもこんな雰囲気だったっけ……」
人々の前で話をしているのは 永見 音萌香。
琵琶法師の仮装をし、頭の上からは籠のような深編みの笠をかぶっている。
顔も髪も表情も見えず、非常に気味が悪い。
「あの日、山の中でタクシーが捕まらなくて、やっと捕まったんだけど」
実体験風に話しているが、音萌香が【ネタ作りの基本】と【鉄板トーク】を駆使して作った話だ。
「何か変な感じがしたの……」
音萌香は【プラスアドリブ】でさらに人々を惹きつけ、話を進めていく。
「そう……その運転手の顔が」
そこで音萌香は、籠のような笠を一気に脱ぎ捨てた。
「こんなだったのよ!」
笠の下には、ものすごい形相のゾンビを模した【ゾンビマスク】。
人間の血そっくりの【フェイクブラッド】施されており、
ぎゃーーー!!!!!
皆、音萌香にお菓子を渡すのも忘れ、一目散で逃げ出した。
□■□
「今のは音萌香さん、ですよね?……す、すごかった……」
まだドキドキする心臓をおさえながら、空花 凛菜は歩いている。
「お、お菓子を渡すのを、忘れてしまいました。……それにここは……?」
気づけば辺りにはライトアップされていない場所も見え始め、人通りがぐっと減っている。
ぽつりぽつり見える通行人達は雰囲気がおどろおどろしく、道を聞くのも恐ろしい。
「だ……大丈夫大丈夫。何事も、挑戦です!」
凛菜はかわいく拳を握る……が、やはり辺りに広がっている暗い闇はどうしても怖い。
今にも恐ろしい何かが出てきそうな雰囲気だ。
とんとん!
挙句の果てに、突然背後から何者かに肩を叩かれた。
「っっ!!(おっ……お化け!?)」
恐る恐る振り向いてから、凛菜はほっと安心した。
フェスタ校長の木 馬太郎だったのだ。
「校長先生、こんばんわ」
震える声で絞り出す。
「ここは君にはディープすぎですね。どれ、明るい方へ連れて行ってあげましょう」
「ありがとうございます!」
くねくねとした道をほんの少し進んだだけで、元の明るいエリアに戻ることが出来た。
感激で涙目になった凛菜が、持っていたクッキーとチョコを校長に差し出した。
「おやおや、私はお化け役ではありませんよ?」
「いいえ。助けていただいたお礼です。ありがとうございました」
□■□
凛菜を見送る校長の前に、嘘が現れた。
懐かしの魔王のマントをはおり、お客さんからもらったお菓子をたくさん手にしている。
「んふふ。『お花おばけ校長』は、おばけ役じゃなく、おばけ、なのよ♪」
「ふははは。それは何かの冗談ですか?」
2人のそばには、ハロウィン風の装飾を施した鏡が何枚か設置されている。
仮装をした者達は、そこで立ち止まって、身だしなみを整えたりしている。
「トリックオアトリート!」
鏡の中から突然現れたのは、【オルトゴースト】を引き連れて【ユメ浮遊】している真っ白いゴースト。
頭から足先までゴースト姿なので顔が判らないが、深郷 由希菜だった。
「!!!」
鏡を使っていた者達はひどく驚愕。
通行人は目を輝かせ、足を止める。
♪♪~
ゴーストの由希菜は、【からふるくれよん】で【楽譜作成】。
オレンジやむらさきといったハロウィンカラーの音譜が、簡単ながらホラー感満載の音楽を奏で、浮かび上がっては儚く脆く消えていく。
【鏡迷宮のデビルシューズ】を履いた由希菜は、奏で、描きながら複数の鏡をすいすいいったり来たり。
真っ白いゴースト姿は、辺りを浮遊している透明な【オルトゴースト】の、大ボスのようにも見える。
作戦は大成功を収め、大きな拍手が鳴り響く。
するとゴーストは校長と嘘の前に降り立って、白い衣装をするっと脱いだ。
「お菓子、ちょうだい!」
「びっくり! 由希菜だったのよ!」
「素敵でしたよ」
嘘と校長、さらに辺りにいた皆が、たっぷりのお菓子を由希菜に手渡した。
□■□
「今年も、素晴らしいハロウィンナイトですね……はて?」
のんびりと歩いていた校長は、すれ違う通行人が皆同じ物を手にしていることに気づいた。
てのひらに簡単に乗るほどの大きさで、ハロウィンぽい包装が施されており、包みを開けて早速食べている者もいる。
どうやら器ごと食べられるプリンのようだった。
「すっごく怖かったけど、こんなおいしい【坊ちゃんかぼちゃプリン】がもらえたからいっか!」
(ふむふむ……フェスタの生徒が活躍しているようですね)
校長は花びらを揺らし、ひそかに目を輝かせた。
(このまま進めば、私もプリンにお目にかかれるかも知れませんね!)
森の上から校長を見下ろしているのは、2人の男子。
†タナトス†は、【坊ちゃんかぼちゃプリン】の包みを手にしている。
【オルトウィング】で飛翔しているのは、狼仮面の吸血鬼姿の行坂 貫。
「ちょっとだけ、食べちゃおっか」
「そっちは偽物。中に【ロケット(花火)ランチャー】を入れた【偽坊ちゃんカボチャプリン】だぞ」
「判ってるって。あっそうだ、僕も悪戯に参加していいかい?」
†タナトス†は返事も待たず†神パワー†的な何かを発動。
血のように赤いどろどろにヤバそうな液体をプリンに注入した。
「世界の唐辛子を集め、神のなせる技でぎゅっと1億倍くらいに濃縮したエキスだよ。
ちょっとしたロシアンプリンさ♪」
校長が人の少ない場所に進んだのを見計らい、2人は降下した。
「おお、それは君らが配っていたのですか」
プリンの包みを見た校長は目を輝かせる。
†タナトス†が校長の周りを飛び周る。
「校長先生も、1ついかがですか?」
「ええっ? いいんですか?」
「か」の発音で口が開いた瞬間、
「どうぞ校長!」
貫が校長の口に【偽坊ちゃんカボチャプリン】を投げ入れた。
「ふが」
口に入れたとたん【ロケット(花火)ランチャー】の花火が発火するはずだった……。
しかも神のなせる技の唐辛子エキスも入っている。
「ごっくん」
しかし校長はそれを、丸呑みしてしまった。
……
………
平和な静けさが、3人の上に降り注ぎていく。
「うんうん、大変美味しかったですよ。ご馳走様でした」
校長は、満足そうに笑いながら口元をハンカチでふいている。
そして通り過ぎざま、ちょっと声をひそめてつぶやいた。
「一般のお客さんには、危ない演出は避けるんですよ」
ハロウィンの夜、また1つ、木校長の謎が増えた――。
□■□
朝霞 枢は黒猫のネコミミをつけて、裏山を散策していた。
「†タナトス†はんは、どこにおるんやろう」
あちこち歩いてはみたが、†タナトス†には会えないし、なんだか君の悪い場所にまで来てしまった。
心なしか地響きのような振動も感じる。
「準備委員の人達が、ゴーレムゴーレムって騒いどったっけ……」
つぶやいてみたが、ゴーレムのことなどどうでもいいという気持ちが強かった。
森の暗闇が気になってしょうがない。
「……」
何かに呼ばれているような気になった枢はふらふらと森の暗闇に近づいていた。
「危ないなあ」
突然頭上で声がして、枢は真上から誰かに腕をつかまれた。
見上げるとそこには、
「†タナトス†はん!」
「見えてないと思うけど、ずいぶんおっかないヤツに呼ばれてたよ?
今日はハロウィンだから、助けてあげよう」
次の瞬間、枢は強い力で空中にひっぱりあげられていた。
上空から見下ろす森は、明るいイベント会場とは雰囲気ががらりと違った。
「ゴーレムがぎょうさん!」
暗い木々の合間には、ゴーレムと闘うアイドル達の姿も見える。
「ところで、ハロウィンのお菓子は持ってないの?」
†タナトス†が聞いてきたので、枢は、こっそり用意していた言葉を口にする。
「あや、お菓子忘れてもーたわぁ。ほな、イタズラ……して?」
「あーあ、言っちゃったね。
それじゃ、僕の作った半端なくヤバイ液体を、ひとくち味わってもらおうか。
さっき君らの校長で失敗しちゃったからさ」
「????」
†タナトス†は枢をひっぱったまま、楽しそうに急降下する。
所は変わって、ここはうっそうと木々が生い茂った少し薄暗い場所……
「そういえば、あのときもこんな雰囲気だったっけ……」
人々の前で話をしているのは 永見 音萌香。
琵琶法師の仮装をし、頭の上からは籠のような深編みの笠をかぶっている。
顔も髪も表情も見えず、非常に気味が悪い。
「あの日、山の中でタクシーが捕まらなくて、やっと捕まったんだけど」
実体験風に話しているが、音萌香が【ネタ作りの基本】と【鉄板トーク】を駆使して作った話だ。
「何か変な感じがしたの……」
音萌香は【プラスアドリブ】でさらに人々を惹きつけ、話を進めていく。
「そう……その運転手の顔が」
そこで音萌香は、籠のような笠を一気に脱ぎ捨てた。
「こんなだったのよ!」
笠の下には、ものすごい形相のゾンビを模した【ゾンビマスク】。
人間の血そっくりの【フェイクブラッド】施されており、
ぎゃーーー!!!!!
皆、音萌香にお菓子を渡すのも忘れ、一目散で逃げ出した。
□■□
「今のは音萌香さん、ですよね?……す、すごかった……」
まだドキドキする心臓をおさえながら、空花 凛菜は歩いている。
「お、お菓子を渡すのを、忘れてしまいました。……それにここは……?」
気づけば辺りにはライトアップされていない場所も見え始め、人通りがぐっと減っている。
ぽつりぽつり見える通行人達は雰囲気がおどろおどろしく、道を聞くのも恐ろしい。
「だ……大丈夫大丈夫。何事も、挑戦です!」
凛菜はかわいく拳を握る……が、やはり辺りに広がっている暗い闇はどうしても怖い。
今にも恐ろしい何かが出てきそうな雰囲気だ。
とんとん!
挙句の果てに、突然背後から何者かに肩を叩かれた。
「っっ!!(おっ……お化け!?)」
恐る恐る振り向いてから、凛菜はほっと安心した。
フェスタ校長の木 馬太郎だったのだ。
「校長先生、こんばんわ」
震える声で絞り出す。
「ここは君にはディープすぎですね。どれ、明るい方へ連れて行ってあげましょう」
「ありがとうございます!」
くねくねとした道をほんの少し進んだだけで、元の明るいエリアに戻ることが出来た。
感激で涙目になった凛菜が、持っていたクッキーとチョコを校長に差し出した。
「おやおや、私はお化け役ではありませんよ?」
「いいえ。助けていただいたお礼です。ありがとうございました」
□■□
凛菜を見送る校長の前に、嘘が現れた。
懐かしの魔王のマントをはおり、お客さんからもらったお菓子をたくさん手にしている。
「んふふ。『お花おばけ校長』は、おばけ役じゃなく、おばけ、なのよ♪」
「ふははは。それは何かの冗談ですか?」
2人のそばには、ハロウィン風の装飾を施した鏡が何枚か設置されている。
仮装をした者達は、そこで立ち止まって、身だしなみを整えたりしている。
「トリックオアトリート!」
鏡の中から突然現れたのは、【オルトゴースト】を引き連れて【ユメ浮遊】している真っ白いゴースト。
頭から足先までゴースト姿なので顔が判らないが、深郷 由希菜だった。
「!!!」
鏡を使っていた者達はひどく驚愕。
通行人は目を輝かせ、足を止める。
♪♪~
ゴーストの由希菜は、【からふるくれよん】で【楽譜作成】。
オレンジやむらさきといったハロウィンカラーの音譜が、簡単ながらホラー感満載の音楽を奏で、浮かび上がっては儚く脆く消えていく。
【鏡迷宮のデビルシューズ】を履いた由希菜は、奏で、描きながら複数の鏡をすいすいいったり来たり。
真っ白いゴースト姿は、辺りを浮遊している透明な【オルトゴースト】の、大ボスのようにも見える。
作戦は大成功を収め、大きな拍手が鳴り響く。
するとゴーストは校長と嘘の前に降り立って、白い衣装をするっと脱いだ。
「お菓子、ちょうだい!」
「びっくり! 由希菜だったのよ!」
「素敵でしたよ」
嘘と校長、さらに辺りにいた皆が、たっぷりのお菓子を由希菜に手渡した。
□■□
「今年も、素晴らしいハロウィンナイトですね……はて?」
のんびりと歩いていた校長は、すれ違う通行人が皆同じ物を手にしていることに気づいた。
てのひらに簡単に乗るほどの大きさで、ハロウィンぽい包装が施されており、包みを開けて早速食べている者もいる。
どうやら器ごと食べられるプリンのようだった。
「すっごく怖かったけど、こんなおいしい【坊ちゃんかぼちゃプリン】がもらえたからいっか!」
(ふむふむ……フェスタの生徒が活躍しているようですね)
校長は花びらを揺らし、ひそかに目を輝かせた。
(このまま進めば、私もプリンにお目にかかれるかも知れませんね!)
森の上から校長を見下ろしているのは、2人の男子。
†タナトス†は、【坊ちゃんかぼちゃプリン】の包みを手にしている。
【オルトウィング】で飛翔しているのは、狼仮面の吸血鬼姿の行坂 貫。
「ちょっとだけ、食べちゃおっか」
「そっちは偽物。中に【ロケット(花火)ランチャー】を入れた【偽坊ちゃんカボチャプリン】だぞ」
「判ってるって。あっそうだ、僕も悪戯に参加していいかい?」
†タナトス†は返事も待たず†神パワー†的な何かを発動。
血のように赤いどろどろにヤバそうな液体をプリンに注入した。
「世界の唐辛子を集め、神のなせる技でぎゅっと1億倍くらいに濃縮したエキスだよ。
ちょっとしたロシアンプリンさ♪」
校長が人の少ない場所に進んだのを見計らい、2人は降下した。
「おお、それは君らが配っていたのですか」
プリンの包みを見た校長は目を輝かせる。
†タナトス†が校長の周りを飛び周る。
「校長先生も、1ついかがですか?」
「ええっ? いいんですか?」
「か」の発音で口が開いた瞬間、
「どうぞ校長!」
貫が校長の口に【偽坊ちゃんカボチャプリン】を投げ入れた。
「ふが」
口に入れたとたん【ロケット(花火)ランチャー】の花火が発火するはずだった……。
しかも神のなせる技の唐辛子エキスも入っている。
「ごっくん」
しかし校長はそれを、丸呑みしてしまった。
……
………
平和な静けさが、3人の上に降り注ぎていく。
「うんうん、大変美味しかったですよ。ご馳走様でした」
校長は、満足そうに笑いながら口元をハンカチでふいている。
そして通り過ぎざま、ちょっと声をひそめてつぶやいた。
「一般のお客さんには、危ない演出は避けるんですよ」
ハロウィンの夜、また1つ、木校長の謎が増えた――。
□■□
朝霞 枢は黒猫のネコミミをつけて、裏山を散策していた。
「†タナトス†はんは、どこにおるんやろう」
あちこち歩いてはみたが、†タナトス†には会えないし、なんだか君の悪い場所にまで来てしまった。
心なしか地響きのような振動も感じる。
「準備委員の人達が、ゴーレムゴーレムって騒いどったっけ……」
つぶやいてみたが、ゴーレムのことなどどうでもいいという気持ちが強かった。
森の暗闇が気になってしょうがない。
「……」
何かに呼ばれているような気になった枢はふらふらと森の暗闇に近づいていた。
「危ないなあ」
突然頭上で声がして、枢は真上から誰かに腕をつかまれた。
見上げるとそこには、
「†タナトス†はん!」
「見えてないと思うけど、ずいぶんおっかないヤツに呼ばれてたよ?
今日はハロウィンだから、助けてあげよう」
次の瞬間、枢は強い力で空中にひっぱりあげられていた。
上空から見下ろす森は、明るいイベント会場とは雰囲気ががらりと違った。
「ゴーレムがぎょうさん!」
暗い木々の合間には、ゴーレムと闘うアイドル達の姿も見える。
「ところで、ハロウィンのお菓子は持ってないの?」
†タナトス†が聞いてきたので、枢は、こっそり用意していた言葉を口にする。
「あや、お菓子忘れてもーたわぁ。ほな、イタズラ……して?」
「あーあ、言っちゃったね。
それじゃ、僕の作った半端なくヤバイ液体を、ひとくち味わってもらおうか。
さっき君らの校長で失敗しちゃったからさ」
「????」
†タナトス†は枢をひっぱったまま、楽しそうに急降下する。