神々の悪戯! ハロウィンナイト悪夢編
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■Happy Happy Halloween!(1)
そして訪れた、ハロウィンナイト後のフリータイム。
一般客は帰ったが、ライトアップはまだ続いている。
アイドル達は皆、思い思いののんびりとした時間を過ごしている。
会場の数か所には、ハロウィン風の装飾を施した鏡が何枚か設置されている。
その一枚の前にいる狩屋 海翔は、鏡をのぞきこんだ。
鏡の中の自分は、【レイブンヘイロー】に【トーキーオウル】……
(一応、魔法使いって体にはなってるよな)
海翔が鏡の中の自分を見つめていると、
「お待たせしました、海翔さん」
いきなり鏡の中から、とてつもなくかわいい吸血鬼が現れた。
待ち合わせの相手、甘味 恋歌だった。
胸元と背中が大きく開いた貴族風の黒いドレスは、赤の差し色が映えている。
さらに、鏡から現れたときにも使った【鏡迷宮のデビルシューズ】の効果で、妖艶さがさらに増し増しており……
「あぁ、いや……待ってなんて……」
「ふふ。どうでしょう、この仮装は」
「なんつーか、うん……いや、似合ってんのは間違いねーよ?」
ドキドキしすぎた海翔は、目のやり場に困っている。
「魔法使いさんも素敵です……
ダークな感じも、かっこいいです、海翔さん……
トリック・オア・トリート」
頬を赤く染め、恋歌は笑った。
「あっ、そういやそうだった。生憎手持ちはなくてよ、悪い」
「それはそうと魔法使いさん?
フクロウの羽が髪についてますよ? 少し屈んでもらえますか?」
「ん?」
恋歌の言葉に何の疑問も持たず、海翔は言われるがままに身をかがめた。
「あむっ★」
かわいい吸血鬼は、魔法使いの首筋をかぷっと甘噛みして、すぐに離れた。
「!?!?!?!?!?」
海翔は噛まれた場所を手で押さえる。
すっかりその場に固まり、驚愕のあまり目を見開き、恋歌を凝視している。
「ドキドキしてますね? ふふふっ、悪戯、大成功です」
「…………ビビったぜほんと。……ったく」
ようやく調子を取り戻した海翔は、恋歌に笑いかけながらおでこをつん♪
魔法使いと吸血鬼は、楽しそうに笑い声をあげた。
□■□
「マッマ~! ぎゅ~っ!!
クンクン……えへへ、ママの香りだぁ……わんわん!」
全身でD.D.に甘えるのは、ディーバのライカ・ペリドット。
「ライカちゃん!
上手にママって、言えたのねぇ、おりこうさん。
ぎゅ、ぎゅぅ~っ♪」
「きゃうん♪ くすぐったいよ~!
そうだ、ママ?
せっかくのハロウィンなんだしこれをつけて回らない?」
ライカは仮装用のケモミミを用意していた。
自分はイヌの耳をつけ、D.D.にはウサギの耳を渡す。
「にへ、ママすっごく似合ってる! やっぱりママには、ウサギだなぁって思ったんだ~」
「ありがとう? ライカちゃん。
そうだわ? 迷子にならないよう、ママとお手々を握りましょうね」
たくさん話して、お菓子を食べたり出店を回ったり……
そんな楽しい時間はあっという間に過ぎ。
「……ママ、お願いがあるの。ママの子守唄……聞かせてほしいな」
「ライカちゃんったら、本当に甘えんぼさん!」
「だめ? もう、帰る時間かな?」
「いいのよ? だってママは、ライカちゃんのママですもの。
ぎゅ~ってしながら、たくさん子守歌、聞かせてあげますよぉ♪
膝枕も、してあげましょうね♪
あの高台なんてちょうどよさそう……さぁ、行きましょう?」
ウサ耳のD.D.ママが、子犬のライカの手を引いた。
□■□
死 雲人はゆっくりと歩いている。
隣りを歩く西宮 彩に歩幅を合わせているのだ。
彩の中にはイドラの女王も同居しているので、正確には、彩とイドラの女王の3人で歩いていることになる。
「彩の仮装、黒が印象的で似合うぞ。露出の多い仮装だが、女王が着せたのか」
「あ……」
彩はちょっと恥ずかしそうに、露出のある部分を両手で隠す。
その手には、ラッピングされた小さな包み……。
「ハロウィンの賑わいだから、ハーレムを楽しむかと思ったか?」
雲人の声に、彩はこくりと頷いた。
「俺は今、彩と女王とハロウィンを楽しみたい。そもそも俺の言うハーレムとは……」
すると彩が静かに首をふった。
「雲人さん。私も、ハロウィンを楽しみたいです」
雲人は大人しく口を閉じ引き下がると、
「だがこれだけは」
と続けた。
「心酔が、愛する事ではない。俺は彩と女王には心酔して欲しくない。
今の彩と女王が、最高だからだ」
「……そーなんですか?」
「そうだ。まあ今は、ハーレムに入れとは言わん」
「それはこないだ、お返事しました」
「だから今は言わん」
「ふふふー」
歩く2人の肩と肩は。
恋人ほどは近くはなく、かといって、まったく知らない人ほど遠くもない。
彩は、持っていた包みを、気軽な感じで雲人に渡した。
「お友達みんなに配ってるクッキーです」
「私も少し、手伝ったのよ?」
「食べていいか?」
頷いた彩の髪が、ライトの下で艶やかに光り、さらりと揺れる。
「彩も女王も、綺麗だぞ……」
熱い思いと共に雲人は彩のクッキーを口に入れる。
そして自分も、心をこめた【かぼちゃクッキー】を2人に手渡した。
□■□
「疲れたけど、楽しかったわ~」
小さな輝夜は、千夏 水希の頭の上でくつろいでいる。
夜空には欠けた月が見え、かぐや姫を連想した水希は輝夜に疑問をぶつけた。
「ねえ輝夜。あんたの名前って、自称だよね。なんでその名前にしたの?」
輝夜はふわりと飛び立ち、水希の目線辺りでくるくると舞った。
「だってあたし、踊って戦えてすごくない? ちょー夜に輝いてるし!」
輝夜はご機嫌で舞いながら、ふふふんと笑った。
「ま、名前をもじったってのもあるけどね」
「名前を?」
水希は問いかけたが、踊りに夢中の輝夜にはその声は聞こえなかったようだ。
のんびりした空気の中、水希はもう1つ輝夜に質問をする。
「輝夜の母親って、どんな人だった? 覚えてるもんなの?」
「ママ? おぼろげに記憶にあるくらいね。ママはすごく元気で、友達も多くて。
そういえば『一日千殺』とか掛け軸に書いたりしてたわ」
輝夜はあっけらかんと答える。
「会いたくなったりすんの?」
「んー? 今は遊んでくれる奴も多いし、退屈はしてないから、
めっちゃ帰りたいって感じじゃないわね」
輝夜の声色からは、彼女が本当に今を楽しんでいる様子が感じ取れた。
「輝夜……」
良かった、なんて言いそうになり、しかし言うのはやっぱりあれで、水希は乱暴に輝夜をふん捕まえて頭にのせる。
「じゃあライブ始めよっか。みんなが度肝抜くようなヤツ、いくよ」
「待ってましたって感じ! 小さくっても輝夜ちゃんは凄いんだし~」
水希は【魑魅魍魎のグリモワール】にて悪魔を召喚。
大暴れの2人は、フリータイムの和やかな雰囲気を、ショッキングな色に染め上げた。
□■□
「お客さんが帰った後なのに、みんなすごい気合だな!」
まだまだ賑やか出店通りを歩いているのは、桐島 泰河と白波 桃葉。
桃葉は【ハロウィンな魔女っ子】の仮装。
泰河はゴーレムと闘った後だったのでヨレヨレの制服姿だったが、ハロウィンぽく黒猫の耳をつけている。
桃葉に合わせるため、今さっき、出店で買ったのだ。
「なかなか似合ってるわ、泰河。それと……今日はお疲れ様」
桃葉は、手にしていた大事な包みを泰河に渡した。
「ハッピーハロウィン、これからも仲良くしてね☆」
「サンキュー桃葉。もしかして、今年もクッキーか?」
「ええ。きっと去年よりも、うまくできてると思うの」
「去年もあんなにうまかったのに!? あれよりうまいなんて、嬉しすぎるぜ」
「泰河……。成果を見てもらう為に、来年もまた、作ってきてもいいかな?」
桃葉が少しだけ遠慮がちに言うと、泰河は間髪入れずあけすけに、
「もちろん、大歓迎だぜ!」
明るくにっと笑った。
「そうだ。オレもいいもの、持ってんだ」
泰河はポケットをガサゴソすると、いくつものお菓子を取り出した。
「さっきのお菓子ゴーレムが落としてったんだ。珍しくって、うまいらしい。
オレもまだ食ってないから、一緒に味見しようぜ」
そして訪れた、ハロウィンナイト後のフリータイム。
一般客は帰ったが、ライトアップはまだ続いている。
アイドル達は皆、思い思いののんびりとした時間を過ごしている。
会場の数か所には、ハロウィン風の装飾を施した鏡が何枚か設置されている。
その一枚の前にいる狩屋 海翔は、鏡をのぞきこんだ。
鏡の中の自分は、【レイブンヘイロー】に【トーキーオウル】……
(一応、魔法使いって体にはなってるよな)
海翔が鏡の中の自分を見つめていると、
「お待たせしました、海翔さん」
いきなり鏡の中から、とてつもなくかわいい吸血鬼が現れた。
待ち合わせの相手、甘味 恋歌だった。
胸元と背中が大きく開いた貴族風の黒いドレスは、赤の差し色が映えている。
さらに、鏡から現れたときにも使った【鏡迷宮のデビルシューズ】の効果で、妖艶さがさらに増し増しており……
「あぁ、いや……待ってなんて……」
「ふふ。どうでしょう、この仮装は」
「なんつーか、うん……いや、似合ってんのは間違いねーよ?」
ドキドキしすぎた海翔は、目のやり場に困っている。
「魔法使いさんも素敵です……
ダークな感じも、かっこいいです、海翔さん……
トリック・オア・トリート」
頬を赤く染め、恋歌は笑った。
「あっ、そういやそうだった。生憎手持ちはなくてよ、悪い」
「それはそうと魔法使いさん?
フクロウの羽が髪についてますよ? 少し屈んでもらえますか?」
「ん?」
恋歌の言葉に何の疑問も持たず、海翔は言われるがままに身をかがめた。
「あむっ★」
かわいい吸血鬼は、魔法使いの首筋をかぷっと甘噛みして、すぐに離れた。
「!?!?!?!?!?」
海翔は噛まれた場所を手で押さえる。
すっかりその場に固まり、驚愕のあまり目を見開き、恋歌を凝視している。
「ドキドキしてますね? ふふふっ、悪戯、大成功です」
「…………ビビったぜほんと。……ったく」
ようやく調子を取り戻した海翔は、恋歌に笑いかけながらおでこをつん♪
魔法使いと吸血鬼は、楽しそうに笑い声をあげた。
□■□
「マッマ~! ぎゅ~っ!!
クンクン……えへへ、ママの香りだぁ……わんわん!」
全身でD.D.に甘えるのは、ディーバのライカ・ペリドット。
「ライカちゃん!
上手にママって、言えたのねぇ、おりこうさん。
ぎゅ、ぎゅぅ~っ♪」
「きゃうん♪ くすぐったいよ~!
そうだ、ママ?
せっかくのハロウィンなんだしこれをつけて回らない?」
ライカは仮装用のケモミミを用意していた。
自分はイヌの耳をつけ、D.D.にはウサギの耳を渡す。
「にへ、ママすっごく似合ってる! やっぱりママには、ウサギだなぁって思ったんだ~」
「ありがとう? ライカちゃん。
そうだわ? 迷子にならないよう、ママとお手々を握りましょうね」
たくさん話して、お菓子を食べたり出店を回ったり……
そんな楽しい時間はあっという間に過ぎ。
「……ママ、お願いがあるの。ママの子守唄……聞かせてほしいな」
「ライカちゃんったら、本当に甘えんぼさん!」
「だめ? もう、帰る時間かな?」
「いいのよ? だってママは、ライカちゃんのママですもの。
ぎゅ~ってしながら、たくさん子守歌、聞かせてあげますよぉ♪
膝枕も、してあげましょうね♪
あの高台なんてちょうどよさそう……さぁ、行きましょう?」
ウサ耳のD.D.ママが、子犬のライカの手を引いた。
□■□
死 雲人はゆっくりと歩いている。
隣りを歩く西宮 彩に歩幅を合わせているのだ。
彩の中にはイドラの女王も同居しているので、正確には、彩とイドラの女王の3人で歩いていることになる。
「彩の仮装、黒が印象的で似合うぞ。露出の多い仮装だが、女王が着せたのか」
「あ……」
彩はちょっと恥ずかしそうに、露出のある部分を両手で隠す。
その手には、ラッピングされた小さな包み……。
「ハロウィンの賑わいだから、ハーレムを楽しむかと思ったか?」
雲人の声に、彩はこくりと頷いた。
「俺は今、彩と女王とハロウィンを楽しみたい。そもそも俺の言うハーレムとは……」
すると彩が静かに首をふった。
「雲人さん。私も、ハロウィンを楽しみたいです」
雲人は大人しく口を閉じ引き下がると、
「だがこれだけは」
と続けた。
「心酔が、愛する事ではない。俺は彩と女王には心酔して欲しくない。
今の彩と女王が、最高だからだ」
「……そーなんですか?」
「そうだ。まあ今は、ハーレムに入れとは言わん」
「それはこないだ、お返事しました」
「だから今は言わん」
「ふふふー」
歩く2人の肩と肩は。
恋人ほどは近くはなく、かといって、まったく知らない人ほど遠くもない。
彩は、持っていた包みを、気軽な感じで雲人に渡した。
「お友達みんなに配ってるクッキーです」
「私も少し、手伝ったのよ?」
「食べていいか?」
頷いた彩の髪が、ライトの下で艶やかに光り、さらりと揺れる。
「彩も女王も、綺麗だぞ……」
熱い思いと共に雲人は彩のクッキーを口に入れる。
そして自分も、心をこめた【かぼちゃクッキー】を2人に手渡した。
□■□
「疲れたけど、楽しかったわ~」
小さな輝夜は、千夏 水希の頭の上でくつろいでいる。
夜空には欠けた月が見え、かぐや姫を連想した水希は輝夜に疑問をぶつけた。
「ねえ輝夜。あんたの名前って、自称だよね。なんでその名前にしたの?」
輝夜はふわりと飛び立ち、水希の目線辺りでくるくると舞った。
「だってあたし、踊って戦えてすごくない? ちょー夜に輝いてるし!」
輝夜はご機嫌で舞いながら、ふふふんと笑った。
「ま、名前をもじったってのもあるけどね」
「名前を?」
水希は問いかけたが、踊りに夢中の輝夜にはその声は聞こえなかったようだ。
のんびりした空気の中、水希はもう1つ輝夜に質問をする。
「輝夜の母親って、どんな人だった? 覚えてるもんなの?」
「ママ? おぼろげに記憶にあるくらいね。ママはすごく元気で、友達も多くて。
そういえば『一日千殺』とか掛け軸に書いたりしてたわ」
輝夜はあっけらかんと答える。
「会いたくなったりすんの?」
「んー? 今は遊んでくれる奴も多いし、退屈はしてないから、
めっちゃ帰りたいって感じじゃないわね」
輝夜の声色からは、彼女が本当に今を楽しんでいる様子が感じ取れた。
「輝夜……」
良かった、なんて言いそうになり、しかし言うのはやっぱりあれで、水希は乱暴に輝夜をふん捕まえて頭にのせる。
「じゃあライブ始めよっか。みんなが度肝抜くようなヤツ、いくよ」
「待ってましたって感じ! 小さくっても輝夜ちゃんは凄いんだし~」
水希は【魑魅魍魎のグリモワール】にて悪魔を召喚。
大暴れの2人は、フリータイムの和やかな雰囲気を、ショッキングな色に染め上げた。
□■□
「お客さんが帰った後なのに、みんなすごい気合だな!」
まだまだ賑やか出店通りを歩いているのは、桐島 泰河と白波 桃葉。
桃葉は【ハロウィンな魔女っ子】の仮装。
泰河はゴーレムと闘った後だったのでヨレヨレの制服姿だったが、ハロウィンぽく黒猫の耳をつけている。
桃葉に合わせるため、今さっき、出店で買ったのだ。
「なかなか似合ってるわ、泰河。それと……今日はお疲れ様」
桃葉は、手にしていた大事な包みを泰河に渡した。
「ハッピーハロウィン、これからも仲良くしてね☆」
「サンキュー桃葉。もしかして、今年もクッキーか?」
「ええ。きっと去年よりも、うまくできてると思うの」
「去年もあんなにうまかったのに!? あれよりうまいなんて、嬉しすぎるぜ」
「泰河……。成果を見てもらう為に、来年もまた、作ってきてもいいかな?」
桃葉が少しだけ遠慮がちに言うと、泰河は間髪入れずあけすけに、
「もちろん、大歓迎だぜ!」
明るくにっと笑った。
「そうだ。オレもいいもの、持ってんだ」
泰河はポケットをガサゴソすると、いくつものお菓子を取り出した。
「さっきのお菓子ゴーレムが落としてったんだ。珍しくって、うまいらしい。
オレもまだ食ってないから、一緒に味見しようぜ」