（仲間の誰もが輝いている）
　制服姿でステージに立った天宮　昴が、観客に問いかける。
「桜の花言葉って知ってる？　」
　広場の人々を示すように手を広げる。
「”優美な女性”、です」
　そして昴が軽やかなステップを踏み始める。桜の花びらの中を、誰かをエスコートするように。
「——ドレスやガラスの靴がなくても、ステージの上でスポットライトを浴びれば誰もがシンデレラになれる」
　昴自身、シンデレラに憧れがあった。
　ハルの演奏が刻むビートのテンポに合わせ、別の歌い手の言葉が添えられる。


そう綴ってこうぜ美談
武器は磨かれた美顔
僕の運命はまだ未完
だからいつでもジャスト・ビガン（始まってる）！


　ラップ調でメッセージを放ち、【練習用ハンドマイク】を持って登場した男子生徒がステージに立った。
「兎多園　詩籠——よろしく！」


拳をあげろ！
その手を開け！
ほら桜みたいに！
みな咲き誇れ！


　「どんどん行くぜ。Are you Ready？」
　春瀬　那智と日辻　瑶のユニットが登場する。
　那智はフェスタギターでローリービートを刻む。体を軽くゆらせながら。
（那智とこんな素敵な日に一緒にライブできるのが嬉しい……！）
　瑶はクリアボイスの中性的な歌声で春の光を纏った明るい笑顔で歌う。


春風の囁きに
蕾はふくらみ
あなたの息吹は
微笑みの色
やわらかな希望を乗せて
訪れる季節に
小鳥たちが歌うのは
喜びのメロディ


　瑶と那智とでキラーチューンの『Spring Days』を披露する。


今日という、一瞬だけの春の光を目一杯抱こう
全ての歌声がお互いに届く時
すでに色々が始まっている


　互いの盛り立てるように、那智は思いつくままの歌詞を口ずさむ。瑶のキャッチーフレーズで会場が沸く。