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「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

バレンタイン・パニック!

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【それでも愛をあなたに】


 ライブも佳境となりある程度の人達がノイズから逃れてこのバレンタインを楽しむ気持ちが戻ってきている。しかし、その中でもまだノイズに支配されて荒んだ気持ちを持って喧嘩などをして戦ったり、元に戻った人達へと向けて襲い掛かろうとしている者もいた。
 ここから始まるのは【リトルフルール】による演劇。その内容はヴァンパイアプリンセスという王子様に恋をしてしまう吸血鬼の眷属の物語。バレンタインデーにぴったりのラブストーリーとなっている。
 始まるのは舞踏会。そこへ吸血鬼だという事を隠して招待客として入ってきたヴァンパイアのシャーロット・フルール。それに付き添うのは眷属である虹村 歌音だ。
 シャーロットによるお菓子なサックスでの演奏は自身を中心とした小さな球体宇宙の空間が現れ、そんな夢想的な曲を奏でる。そこへ歌音は王子役であるウィリアム・ヘルツハフトへと近づいていくと、シャーロットの演奏は甘美なるユーフォリアへと変わっていく。そんな中で血の魔力を霧状へと変化させると、それはステージや観客達にも行きわたり、この場所に相応しい幻想を見始める。
「貴方は?」
「えっと、わたしは――」
「いえ、失礼いたしました。こういった場所に来られたという事は高貴な方であるという事」
 ウィリアムはその紳士的な振る舞いで歌音へとそう言うと手を差し出した。血沸く共鳴にてそのドキドキ感を演出して、観客達にも共感をさせると、少し照れながらも歌音はその手を取る。
「いいねー、いいねー♪」
 ご主人様であるシャーロットはそんな様子を見ながらニヤリと笑う。魔力の霧を吸い込んだウィリアムは歌音へと惹かれ始めているかもしれない。しかし、それだけでは面白くない。そんな2人へと様々な悪戯をしていく。
 そして、物語は盛り上がりを見せたその時だった。
「待ちなさーい!」
「そんな甘々なストーリー爆発させてあげるよ」
 そこに立っていたのは狛込 めじろと眼鏡クマの着ぐるみを着ている司熊 総和の2人。そして、総和が水の入ったルミスプラッシュを手に取ると、ステージに向かって投げつける。
 ルミスプラッシュのせいでステージは水浸し。言葉通りステージに水を差す形となる。
「何でわたしだけいつもこういう役割なの!? シャロちゃんのばかー!」
「こんな悪い事して……お仕置きして欲しいのかな♪」
 そう言いながら獣妖化をしているめじろをシャーロットがいなしていく。そして、彼女が放った式神によってステージは大混乱に陥っている。
「ぼっちの怨みを知れ!」
 総和もまたそんな事を良いながら風船を皆へと投げつけていく。
 めじろと総和の乱入を楽しそうにしているシャーロットとは違い、歌音とウィリアムはそれを避けるようにしていた。
「何とかしないと……!」
 ウィリアムが歌音を庇うようにして動き、その風船を自身で受ける。そんな様子を見ながら歌音は焦る様子が見受けられた。それもまた観客達も同じで、2人の乱入にどうなっているか分からない状態。
 そしてこの状況をどうにかしないと、と考えた歌音はめじろと総和に向けてコウモリくんを差し向けた。
「これは……」
 歌音のその行動にウィリアムは何かを察する。
「2月14日はバレンタインデーじゃない! 2月14日はふんどしの日にしてやる!」
「え?」
「え?」
 突然言い出した総和の言葉にめじろが振り向くと、それに対して変な事を言ったのだろうかという事で彼の動きが止まる。
「隙ありー♪」
 シャーロットがその間に惨憺たる紅棺にて血から蝙蝠を生み出し2人に向ける。それを嫌がっている隙を見てレヴィアタンの鞭を取り出して2人を縛り上げた。
「大丈夫、このお仕置きは気持ちいいよっ♪」
「な、何を――」
「や、やめ――」
 恐怖の表情をしているめじろと、かけていた眼鏡が完全に割れてしまった総和はそのままシャーロットのお仕置きを受ける事となる。
 どうにか混乱が収まると、王子役のウィリアムが驚いた表情で歌音を見ていた。
「貴女は吸血鬼だったのですか……?」
「ばれちゃったんだね……」
 先程歌音が放ったコウモリくんは急遽変えた演劇の演出だった。こうする事で自身が吸血鬼と言う事をばらすという形となる。
 そして正体がばれてしまった歌音はそのままステージから逃げようとするが、それをウィリアムが捕まえる。
「君を逃がすわけにはいかない」
 吸血鬼だと言う事がばれてしまったこの状況で捕まった。そこから出てくる答えはそのまま処刑される事なのだが――。
「――俺の血ならいくらでも吸わせてやる」
 これまで過ごした時間は2人を惹きつけるに値する時間だったのだ。そして、そんな愛の告白に愛情表現として吸血行為を行うところで暗転していく。
 突然の乱入に一時はどうなるかと思っていたこの演劇。しかし、その混乱をどうにかチャンスへと切り替える事に成功した。それによって逆に観客達の拍手を生む事となる。

 こうしてバレンタインライブは成功をおさめ、ノイズによって様々な争いが起きていた状況をどうにかする事に成功したアイドル達。様々な想いが広がっていくこの日に皆の笑顔が戻った事に、ライブを行った皆もまた喜びで笑顔となるのだった。
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