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「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

バレンタイン・パニック!

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バレンタイン・パニック!
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リアクション

【けれども切なく】


 ライブも中盤。次に出番を控えている3人は始まる前の気合を入れるためにトライアングルに立って顔を見合わせる。
「これからバレンタインライブの出番! 恋する気持ちを思い出して張り切っていこう!」
「う、うん」
「そう……だな」
 白波 桃葉が元気よく言うが矢野 音羽藤崎 圭の歯切れが悪い。体調が悪かったり調子が悪いわけではなさそうだが、桃葉は少し気になるが――ここはここまでやってきた仲間であるので信じようと笑顔のままで2人の手を取る。
 3人のパフォーマンスは桃葉と音羽の2人が曲に合わせて歌をうたい、圭がダンスをする。
 ステージに立つと曲が始まりそれに合わせて圭のダンスが始まる。それを見ながら桃葉はやっぱり大丈夫だ、と安心した表情。しかし、音羽の表情はまだ何となく複雑な感じだった。
 2人が歌う曲は桃葉が作詞をした曲。その歌を桃葉は好きな相手が傍にいる事や、自身が傍にいられる事。そんな人と出会えた事の気持ちを思い出してもらうという思いで歌う。
 バレンタインデーというこの日に喧嘩などをしていては、そんな時間がもったいない。2人でいられるその時間を大切に、その時間がある事に感謝して欲しいと願っていた。
 音羽は歌へフワリ・ハートを用いて好きな気持ちを乗せた雰囲気。それを聞いて桃葉は音羽も大丈夫だと安心した。そして、そのフワリ・ハートを使った事でふわふわと風船のようなハートが浮遊し始める。そのハートはピンク色で大きく、その数も多くこの日にぴったりなアピールとなっている。
 このアピールは何かを好きな気持ちを歌に乗せるもの。音羽が好きなもの――好きな人は目の前でダンスをしている圭だった。
 片思いであり性格上は自分で伝える事が出来ない。しかし、その想いがこうしてフワリ・ハートによって出てしまったのだ。音羽はこれだけが心配であった。もしかしたら自分の気持ちが圭へと伝わってしまうのではないかと。ただ、歌をうたっているので音羽自身は無意識にこういう状況になっている。
 圭のダンスは曲の盛り上がりと共に激しくなっていく。現在の感情をダンスに乗せてアピールをするのだが、その感情はまた圭自身が好きな相手の事を想っての事だった。その激しいダンスは観客達を魅了し、誰かを好きであるという気持ちが徐々に伝わり始めていた。圭自身も音羽と同じくその想いが相手に伝わってしまうのではないかとステージ前に思っていたのだが、桃葉は無意識にそのダンスを行っていた。
 ステージが終わりお辞儀をしてステージ袖へ。
「2人とも凄かったわ! 私も負けてられないって頑張っちゃった」
 そんな2人のアピールを見て桃葉は話す。しかし、2人が誰を想っているかというのは気付く事もなかったようだ。もちろん、それは音羽も圭もそれぞれの気持ちに気付く事はなく、3人の関係は変わらずこのまま進み続ける――。
 次の出番は芹沢 葉月。3人と入れ替わりでステージへと上がった。
 チェック&パーカーを着て丈夫なカバンを下げている葉月。そんな彼女が歌う曲は自身の持ち歌である「あまいもののうた」という、想う相手を大好きだという気持ちや、あげるチョコを喜んでくれるかという素直な気持ちやチョコの出来栄えなどを思う女の子の気持ちを歌ったもの。
「ラララ~♪」
 この歌の歌詞は特に誰が好きだという事を言っていないと言う事。恋人なのか家族なのか。それとも友達なのかと言う事が歌詞には入っていない。だからこそ、どんな人にも伝わる歌詞だ。
 サビへ入ってからトリッキーフェイクで曲調を崩すと丈夫なカバンに入っているトリュフチョコレートを取り出す。
「私にとっての『大切な人』は、応援してくれる皆さんですっ! 折角の素敵な日、皆さんも自分の大切な人に愛を伝えてくださいね!」
 そう言って観客達へとチョコレートを配り始めると、葉月の言葉に答える人達も出てきておりそれに対して彼女自身も嬉しくなり、そんな気持ちを思い出してくれた人達がいたという事に関して葉月も感謝の気持ちを曲が終わった時に言葉に出す。
「ありがとうございましたー!」
 そして丁寧にお辞儀をするとステージから降りるのだった。
 次に始まるのは【PRESENT SMILE】のパフォーマンス。4人がステージへと上がった後に黒瀬 心美がステージへと来る。
 今回はプレスマの4人に加えて心美が入ったコラボレーションになっている。
「今日は頑張ろうね!」
「うん、任せておいて!」
 泉 光凛がそう心美へと言うと自信満々にそう答える。そして、今回披露するのはプレスマの曲である「ある意味ラブストーリーかも」をアレンジした「ある意味ラブストーリー」だ。心美が担当するのは演奏。
 この曲はプレスマの象徴であることが分かっている彼女はそれを邪魔をしないように演奏に集中をする。
 3人が歌をうたっている時にムーンライトクライのアピールをして心美の抒情的な演奏を繰り出す。そして、盛り上がりを見せてきた所で心美もキラーチューンを使って曲を更に盛り上がらせ、歌詞にあるような熱い恋を表現していく。
「「「「ありがとうございました!」」」」
 4人そろっての言葉。そこから観客達の歓声が上がりそれに対して皆で手を振る。そんな成功の状況に心美も喜びを噛みしめるのだった。
 ステージへと向かってくるトホウェイに乗っている男性。そして、トホウェイに乗っている宇津塚 倖々葉はカラフルお菓子カゴからマシュマロを取り出して観客達にばらまきながら登壇する。
「宇津塚倖々葉プレゼンツ! 愛のはぴはぴ劇場、はじまりはじまりー! どんどんぱふぱふ☆」
 倖々葉は自身で手拍子をしながら少し盛り上げつつ笑顔でそう言うと再びトホウェイに乗ってステージから降りていく。そして、ステージへと上がってくるのは古味 めみこ。そのタイミングで倖々葉が雨芸を使ってステージ上に雨を降らせていく。
 悲しそうな表情をしながら体を濡らしつつウィンドリュートを演奏し始めた。
 彼女は食べるのもやっとな路上アーティストの役。そして、悲しそうな表情をしているのはつけている指環の相手が行方知れずになってしまったからだ。
 めみこがステージへ上がった所とは逆から来る辿 左右左。その手にはこの空模様とは似つかない青空アンブレラを持っている。そんな彼はそれなりの生活を送っていたのだが、付き合っていた恋人が行方知れずになってしまった男性の役。その手には指環が。
 左右左はめみこへと近づくとその傘を手渡そうとする。こんな雨では風邪をひいてしまうだろうと言いたそうな表情だ。
「なによ、雨に打たれて惨めとでも?」
「なぁに、素敵な演奏が雨にかき消されるなんて勿体ないと思っただけだ」
 めみこのぶっきらぼうな言葉に左右左はそう答える。そして、仕方なさそうに差し出された傘を手に取ろうとするめみこの手に左右左は気になる物を見付けた。
「……指輪?」
 その手を見ようと自身の手を差し出した彼の手を見てめみこも気になる物を見付ける。
「その指輪、もしかして――」
「そうか、お前は――そうだったのか」
 その言葉を言いながら左右左の表情は少しだけ明るい物となる。そして、それに気付いためみこもまた悲しそうな表情から少し明るいものへと変わった。
 行方知れずとなっていた恋人との再開。そして、それを喜ぶかのようにダンスをし始める。それに合わせて倖々葉は手拍子をしながらリズムを合わせて、観客の元へと駆け寄っていく。
 そして、この物語のハッピーエンドは観客達をも巻き込んだものとなり、ノイズですさんだ気持ちとなっていた者達もまた幸せな想いを思い出したパフォーマンスとなった。
 次の出番の曲が流れ始める。この曲は梧 双葉の持ち歌である「バレンタイン・ウィッシュ」。曲名の通り恋をする気持ちを歌った曲となっている。
 実は双葉はここまででステージに上がる事があったのだが、それは表に立たないコーラスとしてだ。イドラ教団がステージを邪魔しにくる事を考えての護衛の為。しかし、ここまで大きく目立った行動はライブ中にはなく自分の出番が回って来た。
 双葉は気になっている相手を遠くから見て、この気持ちが彼に対する恋なのか分からない女の子の気持ちを歌いあげていく。そして、このとっておきの曲はサビを迎えると更に盛り上がりを見せてこの場所にいる片思いをして勇気が出ない女の子たちへ勇気を与えていく。
 ノイズによってそんな気持ちから荒れていた女の子たちは彼女の歌によって静められ、この想いを伝える勇気をもらえるのだった。
 彼女がお辞儀をしてステージから降りると、そこから流れるのはロック調のラップである。このラップを披露するのは兎多園 詩籠だ。
 彼が歌い上げるこの日本語ラップは、恋人たちや友人同士などのリア充ではなく、非リア充に向けたラップとなっている。
「チョ・チョ! チヨッコ! チヨッコアゲナ!」
 詩籠が歌う「チョコアゲナ」を青春シャウトにて熱い思いを乗せていく。
 リア充たちを見て嫉妬をしたり喧嘩をしたりという思いを吹き飛ばすかのようなシャウト。
「プチョ! ヘンザ! アゲろプチョヘンザー! チョコ! アゲナ! 俺らにチョコアゲナー!」
 こう言いながら観客の中にいる非リア充へと煽っていく。そのラップは彼が非リア充たちを励ましていく。そのラップに同調する声もありながら、来年こそはと気合を入れている者も出て来ていた。
 喧嘩や嫉妬ではなく今度こそ来年はという励ましは非リア充へと伝わっていったのだった。
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