バレンタイン・パニック!
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リアクション
【甘く甘く】
カップルはもちろん、恋をしている人達、そして友達に――と、様々な想いを伝える為のイベント。それがバレンタインデー。そんな日に皆で楽しく過ごそうと、と言った所でイドラ教団の者達が邪魔をしにやってきている。
ノイズによってバレンタインを楽しもうとしていた人達はチョコレートを武器にしていたり、あちこちでそれどころではなくなっている様子。
そんな中で始まった大型ショッピングモールでのバレンタインライブ。それ参加している者達はそんなノイズを除去し、再び皆でこの日を楽しむ気持ちを思い出させようと試みる。
クロティア・ライハは村雲 いろはに手伝いを頼んでステージに上がる。彼女は片手に異世界用ゲーム機を、もう片方にはクラッピングベルを持って音楽を奏でる。
そんなクロティアが演奏するのはバレンタインデーにちなんだ甘い曲をゲーム機から流し、それに合わせてベルを鳴らす。そしていろはもクロティアと同じように、ゲームサウンドを鳴らしてその曲を重ねていく。
様々なゲームをやっているいろはから恋愛などのゲームを教えてもらっセレクトした曲。クロティア自身は上手く愛を表現出来ないと思いつつも、自身の持つ実力を発揮する為に頑張っている。
(また思い出して欲しい……!)
グッドスマイルでの笑顔を振りまきながら、観客の人達にアピールをする。戦々恐々としていたステージ近くであったが、彼女のパフォーマンスに足を止めてくれる人が出て来ていた。
曲が終わり頭を下げてお礼を言う。そして、手伝ってくれたいろはへはサプライズボックスでブラウニーを取り出して、それをプレゼントするのだった。
ただこの混乱に紛れ込んで――というよりも、イドラ教団の活動をする者達も居た。現在Ultra Rayのパフォーマンスをしている中で大きな声が聞こえてきた。
「なっていないな。アイドル達よ!」
ディーヴァマイクを通して喋っているのはメルリア・アガトルム。最初は怒れる聖雷を放った後に話し始める予定だったのだが、観客達を巻き添えにしてしまう可能性を考えて初めからマイクで話し始める事にしたのだ。
「観客達の中にはリア充が嫌いな奴もいるのだぞ? 彼らの怒りを理解しなくてどうする?」
メルリアの言葉にウルレイの皆はパフォーマンスをやめてその話を聞き始める。そして、彼女の隣にいる剣堂 愛菜が何かを持っている事に気付いた。
「…………」
言葉なく持っている物――フリップに書いてある言葉を見せつける。そこには『全然ダメ』という言葉が。その言葉を見た観客が血沸く共鳴に同調を始めていた。
しかし、ウルレイの者達は動揺をせずに2人の様子を見て、橘 駿が話し始める。
「確かに歌には愛や恋という物が多い。確かにリア充というものが嫌いな人もいるだろう」
「そうだ! 他人からチョコを貰えぬ者よ! お前達の怒り、苛立ちをステージにぶつけるのだ!」
メルリアの言葉に愛菜も『そうだそうだ』と書いてあるフリップを出す。
「でも、考えて欲しい。感謝を込めるチョコもあるんじゃないか? 2人がどういう関係かは分からないが……そう言った感謝を込めたチョコを贈り合うのも俺は良いと思う」
雇い主――か不思議なところではあるが、メルリアの雇い主である愛菜。こうして2人で行動していると言う事は少なからずそう言った感情もあるのかもしれない。そう2人は思い始める。
そして、ウルレイは愛や恋ではない感謝の気持ちを込めたパフォーマンスへと切り替えると、1人でやってきたリア充が嫌いな者達や愛菜とメルリアの2人もそういったバレンタインデーもありなのかもしれない、と考え始める。
「……マスター」
「…………」
愛菜とメルリアはこれ以上何も言えなくなってしまい見つめ合う。そして、2人はショッピングモール内の食品売り場の方へと消えていくのだった。
ステージへ上がって来たのはゴシックメイドとマジカルマスカレードを着た2人。そして、その紫月 悠里と恒原 凪紗の2人がこれから始めるのはマジックショー。
悠里があらかじめ借りてきたシルクハットと、凪紗の持つ丈夫なカバンを使ってのマジック。それらは凪紗が被り、持ちながらの登場。ステージを一周して挨拶をしてからマジックしていく2人。特に言葉でどうなっているのか、というのは話さずに表情と動きだけでそれらを表現し演出をしていくのが味噌となっている。
クルクルと回して何も入っていない事を観客達にアピールをすると、それを悠里へと手渡す。
悠里はハートの形をしたスポンジを取り出して観客達に見せると、それへ軽くキスをしてシルクハットへと入れる。そして、軽く降るとそこからブラウニーやガナッシュが飛び出してくる。
この様子に凪紗は声を出さずに驚く様子を見せると、飛び出てきたそれらを観客達に配っていく。
そして、もっと欲しそうな動きをする凪紗から丈夫なカバンを悠里は受け取ると、再びハートの形をしたスポンジをカバンの中へ。すると再びそこからお菓子が飛び出てくる。そんなマジックに凪紗は驚きつつも喜んで見せて、再び観客達へと笑顔で配っていった。
2人のそのマジックで笑顔になる人もいる姿が見えて2人も喜ぶ。そして、そんな人達と同じ笑顔を見せると頭を下げてお辞儀をするとステージを後にするのだった。
ステージからライトが消えてここから始まるのは『Statice』の皆が演じる『ロミオとジュリエット』。それを少し改変したものとなっている。
大筋は通常のロミオとジュリエットと同じになっているが、彼と彼女を大きく邪魔をするのは身分とは少し違う。
ロミオ役の日下部 穂波が登場。中性的な服装でいる穂波にロミオという役は美形の男性として非常に合う配役であり、そんな彼女の姿に足を止める女性も出て来ている。
そしてロミオの登場と同じくして夢月 瑠亜が永氷のヴァイオリンを持ち、演奏を始める。彼女は配役としての役はジュリエット。
その姿を見たロミオは彼女に惹かれて近付きになろうとする。そして、ジュリエットもまたロミオという人物の魅力に惹かれていくのだった。
そんな2人の恋を応援するように天使――藍屋 あみかが2人を見守りながら優しい笑顔で見つめている。
しかし、そう簡単にこの恋は上手くはいかない。ロミオとジュリエットの距離は引き離される事となり、2人は出会う事さえ難しくなってしまうのだ。
「皆様皆様ご覧あれ! ここにロミオとジュリエット。バレンタイン、悪魔も休んでおられぬ日。チョコなんて渡させません、結ばれるなぞもってのほか! ではでは早速お邪魔を、ふふふ……!」
そうバレンタインデーとして会う約束をしていた2人だったが、悪魔――の役をしている合歓季 風華――に邪魔をされてしまう。
風華は舞芸の火輪を使って瑠亜の周囲を炎へと変える。ジュリエットに会う為にはこの炎を越えなくてはいけない。
「ジュリエット、ジュリエット! 僕は必ず君の元へ!」
「あぁ、ロミオ! ロミオ!」
そう言って穂波は進み始めるが、その炎は強く近づく事さえもままならない。この炎はもちろん演出なので実際には燃えないのだが、観客達もまた息をのむ様子が見える。
「こんな炎に負けないで! あなたたちは、ただ二人だけのあなたたち!」
そう言って目の前に現れたのは天使のあみか。アイススカルプチャーを用いてジュリエットを取り囲む炎を逆に囲むようにして氷像を作る。
「あらあらうっかり天使様! これでは彼女は氷漬け!」
氷像が炎を囲ってしまうという事はジュリエットも囲んでしまうという事。火が消えてもジュリエットが氷漬けになってしまう。
「行ってください! この先に! 何にも負けない、人の愛があるなら!」
「分かった!」
氷漬けになる前にジュリエットまでたどり着かなくてはいけない。ロミオはゆっくりと着実に前進をしていく。そして、ロミオがジュリエットへとたどり着くと2人は抱き合う。その間に天使は悪魔を退治してそのまま天へと上がっていき、バレンタインデーという日に2人は結ばれるのであった。
暗転して4人がステージへと立つ。そしてお辞儀をして礼を皆で言うと多くの拍手が送られるのであった。



