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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

バレンタイン・パニック!

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【邪魔を邪魔するバレンタイン】


 ショッピングモール内を走り回る1台の移動販売車。その移動販売車は素敵な赤いチョコレートを配布しながら走っている――のだが、それはイドラ教団が持ちこんで来た「パティスリーイドラ」。このチョコレートを食べてしまった者はノイズによって汚染されてしまう。
「オラオラ! チョコなんか渡してんじゃねえぞ!」
「1人でこんな日にいる私達の気持ちなんか分かるわけないわ!」
 そんな怒号が聞こえてくる中で喧嘩やサバイバルゲームで使われるエアガンなどを用いての戦いが起こっている。現在ライブが行われており、それによってノイズを浄化させようとしているが、その移動販売車を止めなくてはこの騒動は堂々巡りになってしまうだろう。
「ねえ藍ちゃん、どんなチョコ食べたい~?」
「そ、そうだな……あそこなんて……どうだ?」
 楽しそうにデートをする運命門 琥珀鉄屈 藍の2人。いや、本気で楽しんでいるのは琥珀のみで藍は楽しそうに振る舞っているが複雑そうな表情も見え隠れしてくる。
 そんな2人はパティスリーイドラをおびき寄せるためにリア充に扮しておびき寄せる為の偽装カップルなのだが、藍はどうして自分が選ばれたのか、という気持ちもある為にこういう表情をしていた。
「あ~んして♪」
「あ、あ~ん……」
 先程見付けた店から少し離れた人が少ない場所へとやってきた2人は琥珀が持っているブラウニーの食べさせ合いをしていた。その状況に琥珀は顔を赤らめていて、藍は軽く開き直りつつある。
「……藍ちゃん」
「ん?」
 突然表情が真面目になった琥珀に周囲を確認する藍。ホークアイを使って周囲を警戒していた琥珀が目標を発見したのだ。
 こちらに近付いてくる移動販売車。それは目的としているパティスリーイドラだった。ここからその移動販売車を破壊しなくてはならないのだが、出来る限り引きつけるためにも2人はそのままカップルの真似をしている。
「このチョコをどうぞ」
 電子音声と共に小さなミニカー乗せて赤いチョコレートを渡そうとするパティスリーイドラ。これを食べてしまったら2人もノイズに飲み込まれてしまうが、ここは笑顔で受け取っておく。そして――。
「紅!」
「いつでも大丈夫なのよ」
 その合図で飛び出してきたのは天導寺 朱天導寺 紅の2人。
「移動販売車だから止めるにはタイヤを狙って!」
 コアチェックで弱点を探していた琥珀から2人へそう伝えられる。そこから伝えられた場所へ向けての攻撃が開始。この場で逃げられてしまえばまたチョコを配られてしまう。しかし、そうは行かないと急発進するパティスリーイドラ。そこを紅がメロディアスコロナを使って移動できる範囲を縮めさせる。
「行かせないのよ!」
「一気に行くぜ!」
 接近する事に成功した朱はハルモニアを纏う鉤爪を販売車に向けて放つ。そこへパティスリーイドラから防御用ミニカーが飛び出してくると、守るようにして攻撃を阻んだ。それによって車自体に傷をつける事が出来ない。
 その間に紅も接近に成功。手数でオフェンシブアティチュードを用いて手数で押そうと試みる。しかし、パティスリーイドラの装甲は厚く、上手くダメージを与える事が出来ない。
 移動販売車はUターンをタイヤ痕を残す勢いですると、そこから逃げるようにして発進。そして、こちらを邪魔するかのようにミニカーを発進させてこちらに襲い掛からせる。
「朱、準備は出来てるのよ!」
「逃がすか!」
 ミニカーの相手はこの後に行えば良いとウォープライドで能力を底上げされた朱がユニゾンクロウを移動販売車のタイヤへと投げつける。上手く直撃に成功するが、ただのタイヤではなかったようで多少の傷をつける事に成功したのみだった。
「ミニカー相手じゃ私達は邪魔になる。やむおえん……!」
「え? え?」
 この状況で放たれたミニカーは多く、皆を守り切れないと判断した藍は琥珀を御姫様抱っこをしてこの場から離脱。その時の琥珀の表情は真っ赤であり、喜ぶ様子が分かる。
(藍……頑張るのよ……)
 それを見ながら紅はそう思うのだった。

「郷太郎氏! やめるっす!」
「ならば、拙者を止めてみよ!」
 戦いが始まろうとしているのはイドラ教団員としてチョコレートを配り歩いていた白川 郷太郎と、それを見付け止めようとしている緑青 木賊の2人。
「勝負の決着は――」
「持っているちょこれーとを相手の口に入れる事、っす!」
 2人の決着のつけ方は自分が持っているチョコレートを相手の口へと入れる事。郷太郎が持っているチョコレートは猫のような猫じゃないような、歪な形をしているチョコ。そして、木賊の持っているチョコはメダルチョコだ。
「捕まえたっすよ! これでそのちょこれーとは――」
「なんの!」
 カーボンリボンを使って郷太郎を縛り上げ、持っている猫型のチョコをトリック・オブ・トリートにて爆破させるが、郷太郎のチョコは配り歩いていたので、まだ手持ちがある。そして、ウキスラッシャーにて縛り上げられた体を反らせて木賊へと体当たり。
「くっ……!」
「さあ、諦めるでござ……」
「近づく時を待ってたっすよ」
 体当たりをした郷太郎は木賊の前に立つようにして、チョコレートを口に入れようとしてきた。しかし、木賊はそうやってチョコレートを自分に入れてくる時こそがチャンスだと見計らっていたのだ。
「自分の正義のちょこれーとを食らうっすよ!」
「こちらが先でござる!」
 正義の鉄槌に交えて郷太郎の口へとチョコレートを突っ込む。しかし、寸での差で遅れた郷太郎のチョコレートが木賊の口へと入ってしまった。
「の、のいずで――あれ?」
「拙者の方が……もぐもぐ……遅かったでござるか……甘いでござる」
 イドラ教団員として動いていた郷太郎。そのチョコレートを食べてしまえば自身もノイズによって変えられてしまうと思っていたのだが、実際に持っていたチョコレートは特にそう言う事がなかったようだ。
「今回は拙者の負けでござる……が、次は負けないでござるよ!」
「あ、待つっす!」
 そう言って颯爽と逃げていく郷太郎。それを追おうとした木賊であったが体当たりにて受けたダメージで一歩遅れてしまい、取り逃がしてしまうのだった。

 ショッピングモールの外側へとやってきたパティスリーイドラ。そこで再びチョコを配っている事に気付いたのは神獣であるシシィを覚醒させ、その上に乗っているアーヴェント・ゾネンウンターガング
「あれか。ここでやらせてもらう」
 そう呟くとアーヴェントは空中を飛んで探し回っていた高度から、移動販売車を狙うようにして下りていく。
「赤いチョコレート。非常に綺麗なチョコやなぁ。それをもらったカップル達が食べているようどすなぁ」
 同じくシシィに乗っているのは朝霞 枢。彼女は同乗させてもらい、この状況を実況しながら見ていた。
 彼女の目的はイドラ教団が何をしているのか。目的は何なのか、と言う事を知りたいだけ。以前に入りたいと言った事はあるのだが、現在したで行われているような人に迷惑をかける様な事をしたいわけではない。
 しかし、こうして実況しているだけでは面白くないと下でチョコレートを食べようとしている人達を見下ろす。すると、持っているチョコレートがポンッ! という音を鳴らして小さな爆発を起こす。
「あやー、爆発しましたえ。あっちも……ほら、こっちも」
「こーら、駄目だぞ。やっているのは朝霞だろう?」
 そう爆発を起こしていたのは枢が行っていたトリック・オブ・トリート。それによって持っているチョコレートが小規模の爆発を起こしていたのだ。そんな悪戯にアーヴェントは笑いながら悪戯をやめるように言う。
「ばれてしまったやねぇ。堪忍しとくれやす」
「全く。悪戯はここまでだ。でも、助かった」
 アーヴェントのその言葉に枢の頭にはハテナが浮かぶ。
 実は枢が爆発させていたのはパティスリーイドラから手渡されたチョコレート。それを食べようとしていたカップルのチョコレートを爆破させる事でノイズに侵されないようにしていたのだ。
「……タイヤに傷がついてます」
 そこへ向けて枢は攻撃を仕掛ける。実はこの間にSNSを使ってパティスリーイドラの弱点はどこか、というアンケートを取っており、タイヤが1位を獲得していた。その理由を見てから彼女は納得する。
「そこだな」
 枢の攻撃によって弱点に気付いたアーヴェントはウォータートライアングルをパティスリーイドラへと向けて放つ。直撃した移動販売車はそのまま逃走しようとしていたが、タイヤに傷が入っているので急加速が出来なくなっていた。
 その様子を眺めていた千夏 水希は配られていたチョコレートに目をつけており、チョコレートを見つめていた。
「これを食べれば何か分かるかな」
「アタシは向こうを手伝ってくるからね。食べるなら止めないけど、自分で何とかしてねマスター!」
 そう言ってスピネル・サウザントサマーは現在戦っている2人へ加勢するべく走り始める。
 水希はあまりチョコレートを今日もらえず寂しく思ってたいたからか、こうしてもらえたことに少し嬉しくなっていた。そして、包装紙を破って中身のチョコレートを見る。
 これを食べてしまった者がどうなったか分かっているが、イドラ自身が何を与えようとしているのかを知る為にも一口食べてみる水希。
「頂きます。うん、美味しい」
 マギアセンティアを使用しているので大丈夫だとうと考えて食べた水希。そのチョコレートの味は美味しく甘かった。
「1つ潰れた……! このまま一気にぶっ壊す!」
 アーヴェントと枢、そしてスピネルの3人はタイヤ1つを破壊する事に成功。しかし、1つ潰しただけでは車は止まる事はなく、遅くても進む事が可能だ。
「小さな車はこっちで受け持つ。そっちは頼んだ」
 スピネルへとアーヴェントはそう言うと襲い掛かってくるミニカーへ向かっていく。そして、バトルフォーカスを使用したスピネルは決着をつけるべくピストル・ドレスの両手両足についている銃を向ける。
「動けても遅ければどうにでもなる!」
 ここまででパティスリーイドラを追いかけてきた者も合流し、上手く直線に動けなくなった移動販売車を狙うのは難しくない。圧縮したハルモニアを全弾タイヤに向けて撃ち込んで、撃ち込んで、撃ち込んでいく。
 そして、ようやく止まったパティスリーイドラからはもくもくと白い煙が立ち上ったのだった。
「スピネル」
 そこへ水希が近付いてくる。もしかしたらノイズにと思った彼女は一歩下がった。
「やっぱり薄いバリアーで体内を守るのは無理だった。でも、ノイズを除去する人達のお陰でこの通りだよ」
「はぁ……本当に手のかかるマスター」
 そうスピネルはため息をつくのだった。

 パティスリーイドラを止める事に成功、そしてこれ以上の被害を出す事がなくなった。このまま行けばライブにて多くの人のノイズを取り除く事が出来るだろう。
 こうして移動販売車を追い込む事が出来なければ止める事も出来ず、堂々巡りになっていたかもしれない。こうして止められた事に関して安堵をするアイドル達であった。
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