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「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

バレンタイン・パニック!

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バレンタイン・パニック!
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 同じく、春瀬 那智日辻 瑶も、ショッピングモールを見て回っていた。
 
「周りの人たちも幸せそうで、こういうのって素敵だなあ」

「けど、流石にバレンタインだけあっていつもより人通りが多いなー。
 ……はぐれねーように、手、繋いどくか」

 那智は、「ほら」と言いながら瑶に手を差し出す。
 少しきょとんとしていた瑶だったが、その表情は笑顔に変わり、嬉しそうにその手を握った。

「お、この店、試食やってる」

 那智は、たくさん並ぶチョコレートの店の中で、試食を行っている一つの店に目をつける。

「瑶」

 試食用のチョコを店員からもらった那智は、隣の店のショーケースを眺めていた瑶の元へ近付いていく。
 そして、瑶の口元をチョコでつんつんと軽くつつく。

「……ほい、ハッピー・バレンタイン。口開けろよ」

「なあに、チョコ? わわ、食べていいの?」

「はは、気に入ったなら良かった」

 瑶は少し驚きながらも、口を開けてチョコを食べる。

「そこの店で試食やってたんだ。瑶が気に入ったなら買おうかと思ってさ」

「あっ、試食かあ……。うん、甘くておいしかったよ」

 瑶は、那智が用意してくれたのかと少しだけ期待していたようだったが、
 チョコのおいしさに頬を緩ませ、素直に感想を述べる。
 そして、別の店もチョコレートの試食を行っていることに気づいた。

「あっちのチョコも美味しそうじゃないかな? 試食できるみたいだし」

 那智の手を引きながら、瑶も試食用のチョコを一つ取る。

「今度は俺が那智に食べさせてあげるね?」

 瑶は、那智の口元へチョコを近づけていく。
 那智も少し戸惑ったような様子を見せたが、先ほどの瑶と同じように口を開いた。

「ん、美味い。じゃあ、さっきのと合わせて皆にも買って帰るか」

「そうだね」

 試食したチョコを購入しようと、瑶はお店の中へ入っていく。
 そんな中、那智は口元に手を当てて立ち止まっていた。

「那智、どうしたの?」

 那智の様子に気づいた瑶が踵を返す。

「いや、“あーん”とかされたの久々だなって……。
 ちょっと懐かしかったかも……なーんてな?」

 那智は、爽やかな微笑みを浮かべて、瑶の頭を優しく撫でた。




 八重崎 サクラ龍崎 宗麟は、オープンカフェスペースで雑談をしていた。

「それにしても、さっきはすごかったね……」

 サクラは、先ほどまでイクスピナが戦場を化していたことを思い出す。

「ああ。でも、みんなのおかげで騒ぎも収まったみたいだ」

 笑顔で店を見て回る人々を見て、宗麟もほっと安堵の息を漏らした。

「あ、そうだ。宗麟さんにこれを……」

 サクラは、カバンの中から綺麗にパッケージングされた箱を取り出した。
 はにかみながら、その箱を宗麟に渡す。

「俺にプレゼントか? ありがとう! 何が入ってるんだろうな」

「これが今の私の気持ち……開けてみて?」

 宗麟が箱を開けると、そこには小さめのハート型の焼きチョコレートが詰め込まれていた。
 少し驚きながらも、宗麟の固まっていた表情がだんだんとほころんでいく。

「……俺に何か伝えたいことがあるのかい?」

 宗麟の問いかけに、サクラは一瞬だけ口を噤む。
 そして、勇気を振り絞るように握った拳にぎゅっと力をこめた。

「焦がれて焦がれて……こんなになっちゃいました」

 宗麟に気持ちが届くように……。
 サクラは、恥ずかしがりながらも自分の想いを言葉にする。

「責任とって……私に”恋”、教えて下さい」

 緊張で潤んだ瞳で、宗麟を真っ直ぐに見据えた。
 
「それはちょっと難しい話だな」

「え……」

「だって、俺は恋愛は初めてなんだ。どうすればいいかはわからない……」

 宗麟は、真剣な表情で悩みながらも、再びサクラに向けて笑顔を見せた。

「だから、2人で答えを見つけに行こう!
 楽しいことも、大変なことも一緒にな。きっと何でもできるはずさ!」

「宗麟さん……」

「だって、俺は君が大好きなんだからな!」

「……!」

 宗麟は、サクラの両手を包み込むように握る。

「私でいいなら喜んで……!」

 サクラは、半泣き顔になりながらもとびきりの笑顔で答えた。




 湯上谷 潮音は、手作りのチョコレートを作ろうと材料を買いにきていた。

「ビターも、ミルクも、どれもおいしそうで迷っちゃいますね……」

 そのほかにも、ホワイトチョコやストロベリーチョコ、様々な種類のチョコが棚に陳列されている。

「あ、この型抜きかわいい……丸っこいハート型で、ちょうどよさそうです♪」

 潮音は、気に入った商品をカゴの中へと入れていった。
 アーモンドを入れたらもっとおいしくなるかもしれない、袋もハートの模様が書かれた可愛いらしいものにしようと、
 チョコを渡す人たちの喜ぶ顔を思い浮かべながら、買い物を楽しむ。

「あ……あれは」

 潮音は、ひときわ異彩を放つとあるチョコレートを見つける。
 それは、最近話題になりつつある「カレー粉をアクセントにしたチョコレート」だった。

「あのカレー風味のチョコレート、以前に雑誌で見かけたような……。
 本当においしいのでしょうか?」

 気になりつつも味に不安を感じてしまい、なかなか手を出せずにいる潮音。
 しばらく悩んだ間、意を決したように「よし!」と声をあげる。

「せっかくなので買っちゃいましょう!
 雑誌で紹介されていたのなら、きっとおいしいはずです♪」

 潮音はカレー風味のチョコを手に取り、カゴに入れた。

「ん……? なんでしょうか」
 
 ふと聞きこえてきた激しい曲調の音楽に、潮音は耳をすます。
 どうやらその音楽は、中央広場のほうから聞こえてくるようだった。
 
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