アイドル集団誘拐事件!?
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■プロローグ■
初詣の客で賑わいを見せる神社内。
地下の神殿で何が起こっているかなど一切合切露知らず、少し遅れてやって来たフェスタ生達は思い思いの平和なお正月を過ごしていた。
正面を避けて鳥居をくぐり、道の端を慎ましくもしゃなり優雅に歩くのは合歓季 風華だ。
拝殿にたどり着くとカランと鈴を鳴らし、縁起の良い5円玉を賽銭箱に投げる。他の参拝客の目を引く綺麗な二礼二拍手の後に、風華は静かに手を合わせて瞳を閉じた。
「更なる飛躍を。そして己が心を見失わず、己と対峙しながら歩めますことを」
フェスタ生として、また人として実に真摯で拍手を送りたくなる心掛けだ。
また、祈願は人を超えた縁という。風華は少し思案してから、お願いをもう一つ付け足した。
「最後に安眠祈願を説けた相手、真蛇さんの所へお話しに行けますように」
華乱葦原のどこかの座敷牢では小さなくしゃみでも響いたことだろう。
風華は最後にまた美しく一礼を済ませ、少しの名残惜しさを感じながら帰路に就いた。
参道に並ぶ出店の方からは、愛らしく上機嫌な鼻歌が囃子に紛れて人々の心を癒していた。
「ふんふんふぅん♪ 幽姉と一緒にはーつもうでぇっ♪ あ。甘酒だってー、飲もう飲もうっ♪」
肩や脇にスリットの入ったセクシーな改造振袖姿の闇色 幽の手を、お揃いのピンクの振袖を身に纏うロザリオ・アレーナが無邪気に引く。
徹底的にいちゃいちゃしながら歩く美女と美少女のカップルに、道行く人も思わず二人を振り返って見惚れているようだ。幽も幸せそうに口元を弛めている。
しかし、ロザリオに勧められるまま幽がひとたび甘酒を口にすると――
「えへへぇぇ……ロザリオきゅぅんっ、好きぃ、大好きぃぃ……♪」
「あははぁ、くすぐったいよぉっ、幽姉ぇっ♪」
アルコールの含まれない甘酒でも、神社の雰囲気と愛しのロザリオとの初詣というシチュエーションに酔ってしまったのか、幽はまるで泥酔したような様子でロザリオに抱きついた。
人目も気にせずにすりすりと甘え始める幽を、ロザリオも憚らずぎゅう~っと抱き締め返す。
「仕方ないなぁ♪ ほらほらぁ、こっちだよぉっ♪」
どこか悪い笑みを浮かべるロザリオは、見た目は可憐な美少女でも実はれっきとしたオトコノコである。
そのままどこかへと消えていく二人が、きっと楽しい楽しい正月を送ろうとしている一方――
地下の神殿へ誘拐されたアイドル達と彼らを救おうするアイドル達、そしてイドラ教団との
誇りと体重などを懸けた決死の戦いの火蓋が切って落とされようとしていた!!
■目次■
1ページ プロローグ・目次
2ページ 【1】苦悶の門(1)
3ページ 【1】苦悶の門(2)
4ページ 【1】苦悶の門(3)
5ページ 【1】苦悶の門(4)
6ページ 【1】イドラの騎士(1)
7ページ 【1】イドラの騎士(2)
8ページ 【1】イドラの騎士(3)
9ページ 【2】女王とバトルだ!
10ページ 【2】寝返ったフェスタ生
11ページ 【2】彩の服、着せる? 脱がす?
12ページ 【2】鷹人の受難
13ページ 【2】女王にライブだ!
14ページ 【2】みんなの想い、彩に届け
15ページ 【2】武装コンピューターをぶっ壊せ!
16ページ 【2】たかが体重 されど体重
17ページ 【2】裏切りの真意
18ページ 【2】イドラ教団 最後の刺客
19ページ 【2】アイドルは地上を目指す
20ページ エピローグ