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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

秋の祭典! アイランミーティング!

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秋の祭典! アイランミーティング!

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■ライブで遡上! シャケマルランナップ! 1


 たくさんのボートが川面に浮かぶ河川敷で、神谷 春人がリポートをしていた。
「こちらシャケマル遡上レース会場では、挑戦者たちの準備が整ったようです! 間もなく、レースが開催されまーす!」
 春人が言い終わるやいなや、対岸からパーンと花火が打ち上がった。その爆発音を合図にして、挑戦者たちが一斉にスタートを切る。
「おぉーと! ついにレースが開催されましたー! 一位の人には山の幸フルコースが待ってるからねーっ。みんな頑張ってー!」


(一位になれば山の幸、かぁ)
 梧 双葉は秋の味覚に思いを馳せていた。
(フルコースっていうくらいだから、きっとマツタケとか栗とかあるんだろうなぁ……)
「食べたいなーっ!」 
 双葉な素直な気持ちをローリービートに乗せて叫んだ。彼女の周りにいた、川泳ぎに特化したルミマル――シャケマルの気分は高揚し、それに合わせて泳ぐスピードも増していく。
 シャケマル遡上レースでは、ボートを押してくれるシャケマルの興奮度が、そのままスピードに反映される。ライブスキルを巧みに使ってシャケマルを盛り上げるほど、ボートが加速していく仕組みだ。
「ここがあなたの見せ場だよ! 頑張って!」
「シャケルミー!!」
 双葉に応援されて、シャケマルは元気よくボートを押していった。
 軽快な滑り出しをみせた双葉だが、エイリル・プルフーも負けてはいない。レース開始時に炎天劫火を派手に決め、眩い光のなかスタートダッシュを試みる。
「シャケマルには、あたしに夢中になってもらいましょう」
 エイリルは酒鬼乱舞を披露した。魔法の炎を乱れ舞わせ、妖しい扇子を使った踊りでシャケマルたちを虜にしていく。
 いっぽう黒瀬 心美は、ボートの上で不敵に笑っていた。
「ふふふ……絶っっっ対、一位を取る! そんでもって、みんなと一緒に山の幸フルコースだー!」
 山菜やキノコ、イワナやアユ、栗やさつまいも……。じゅるりと垂涎しつつ、心美はレースに参加していた泉 光凛を振り返った。
「光凛もいっしょにやろうよ! アタシ達の歌と演奏で、シャケマルをヒートアップさせるよ!」
「うんっ!」
 心美がギターを激しくかき鳴らすと、光凛もそれに応じた。二つの音色が重なり合うなか、心美はキラーチューンでとっておきの十八番、【紅の誓い】を絶唱する。激しい曲調に、力強いロックな歌声を乗せ、そこに光凛がコーラスを加えていく。
「シャケルミー!」
 心美のボートはぐいぐい加速していった。
 だが、好事魔多し。このレースには挑戦者に立ちはだかる敵がいた。シャケマルたちを食べようと襲いかかる、野生の熊である。
「シャ……シャケルミーッ!?」

 川の中に向かって鋭い爪を振り下ろす熊たちを見て、シャケルミが一斉に怯えはじめた。そこへ颯爽と突き進んでいったのが、パワーリフで強化した死 雲人だ。
 雲人は強力シャケの芳香剤を使い、演奏に専念する光凛を襲おうとしていた、数体の熊を誘い出す。光凛を庇うことで、ライブパフォーマンスにつなげるのが狙いだった。
「ふふ、光凛のために一位を狙う」
 攻撃を受けながらもオフェンシブハートで反撃し、熊を追い払っていく。
「おーっ! かっこいいよ、雲人くん!」
 光凛の声援を受け、シャケマルだけでなく雲人のやる気も上がった。川上に向かってマイハートナンバーを奏でボートを加速させる。
「鮭は産卵のために川を登る――。なら、上流への憧れに共感させるのが効果的だろう」
 雲人はヘビーメタルサンダルフォンを激しくかき鳴らし、残りの熊たちを引き離しにかかる。

「もうっ。熊さんなんかより、私に注目してよねっ♪」
 空莉・ヴィルトールがルミナイトフィーバー発動した。観客たちの視線が、一斉に彼女に注がれる。
 空莉はビートフージョンに合わせて、軽快に踊っていた。バックダンサー代わりに吃驚化け独楽をグルグル勢いよく回転させ、ときおりハイジャンプまで披露している。
 ボートという狭く不安定な場所ではあるが、空莉にとっては立派なステージだ。
「熊さん達には、氷の刃のフルコースをお見舞いするよ♪」
 空莉は踊りながら魔法の氷を飛ばし、氷と刃のロンドで華麗に戦場を彩りながら熊を牽制していく。さりげなく本ズワイ蟹コロッケパンまで投げ込んでいるあたりは、彼女の優しさだろう。
 双葉もまた、熊を必要以上に傷つけるつもりはなかったので、聖式ライフルの弾丸はゴム弾を使用していた。
「退いてくれるなら殺したりしないわ」
 シャケマルを狙って襲いかかる熊に、双葉はライフルの銃口を向けた。
「みんなの邪魔はさせません!」
 陰気:炎妖化の力を解放したエイリルが、熊を威嚇していた。夢妖の宴技でシャケマルを守りつつ、エイリルはふとこんなことを呟く。
「……ところで、あの熊は食べられるのでしょうか?」
「うーん、どうだろ」
【紅の誓い】を歌い終えた心美が、首を傾げていた。はやり秋は食欲を増進させるのか。心美のお腹が、ぐーきゅるると鳴りはじめた。
「お腹の虫の音だって、シャケマルの心に届くはずだよ!」
 どこまでもロックンローラーな心美は、お腹の音までもビートにして、ふたたび【紅の誓い】を絶唱していた。
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