秋の祭典! アイランミーティング!
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■芸能界最強!! ワダマツト・DX先生一日付き人体験! 1
●朝食
「わたしは未来のカリスマ麻雀アイドル。天地 和!」
「ハッ!」
ホテルの一室で自己紹介をした和は、ワダマツト・DXの怒号を浴びてKOされた。よりにもよって【伊達名乗り】を上げてしまったのが、ワダマツトの逆鱗に触れた要因だろう。
吹っ飛びながら視線誘導する麻雀敗北時の決め技で、ワダマツトをちらりと見やる和の脳内には、走馬灯のように数分前のやりとりが駆け巡っていた。
「ワダマツト先生のオーラに触れて特訓するぞーっ。頑張ろうね、びっきー!」
「ええ! もっと上を目指すため、ワダマツト先生にご教授願いましょう!」
今回の企画の相棒である弥久 風花と一緒に、気合いを入れる和。彼女は『麻雀アイドルには、凶悪な雀鬼とも同卓できる度胸が不可欠!』という思いから、芸能界最強の付き人になることを望んだのである。
そして派手派手しく名乗りを上げ、見事に吹っ飛ばされたのだ。
(番組的にも、みんなとしても、いきなり一人やられるのは……緊張感を高めるいい演出になるはず……ぐふっ)
麻雀アイドルとしての覚悟を充分に見せつけて、和は気絶した。
「さあて。付き人の始まりね! 和さん、一緒に頑張りましょう!」
部屋に入ってきた風花は、床に横たわる和を見て愕然とした。
「和さん? 和さーん!?」
返事はない。
(……ああ! 和さんの遺志は私が継ぐわ! まずは……朝食の準備ね!)
風花は気持ちを切り替えると、ワダマツトの好みに合わせた朝食をルームサービスした。後学のためにも、ワダマツトの怒号を生身で受けてみたいと風花は考えていたが、本気で怒らせるわけにもいかないので、大先生の激おこ百選をチェックして地雷だけは避けていた。
そのかいあってか、用意された朝食を見たワダマツトは満足そうだった。
「ちゃんと分かってるじゃないのハッ!」
「あっ。その“ハッ!”ってやつ、私に向けてやってください! でも、軽めでお願いします!」
「ハッ!」
「……げふぅ」
風花は、アイドルとは思えない声を上げた。ワダマツトの辞書に手加減の文字など載っているわけもなく、ちょうど500のダメージが入る。残りHPは2だ。
「じゃあ行ってくっからハッ!」
朝食をぺろりと平らげたワダマツトは、豪快な足取りで部屋を出ていった。その後ろ姿を見送った風花は、よろめきながら和のもとに戻ってくる。
「和さん……やったわ……。私、やりきったよ……!」
そして、風花もまた気絶した。
「あっ……ワダマツト・DXさんがホテルから出てきました……」
進行役の奥 莉緒が、今にも泣き出しそうな声で言った。すっかり怯えきった彼女の言葉を継いだのは小羽根 ふゆである。
「これから先生をハイヤーに乗せて、スタジオまでお送りします」
「……なんだか、朝から不機嫌そうだよぉ」
「渋滞でハイヤーが遅れてるからね。せっかくだから、先生には今のうちに本日の犠牲者……じゃなくて予定をお伝えしよう」
ワダマツトに近づくと、ふゆは番組に参加するフェスタ生たちを紹介していった。もともとマネージャーが専門の彼女は、アイドルの名前を間違えたりなどせず、すらすらと伝えきった。
「――ということで。お願いしますね、ワダマツト・ディーエックス先生」
「誰がディーエックスだハッ!」
いちばん間違えちゃいけないとこで間違えたふゆは、怒号で吹っ飛ばされた。
「ああ、ふゆさん!?」
「きゅー……」
弱った子犬みたいな声を漏らすふゆを、莉緒が懸命に応急手当していた。
●朝食
「わたしは未来のカリスマ麻雀アイドル。天地 和!」
「ハッ!」
ホテルの一室で自己紹介をした和は、ワダマツト・DXの怒号を浴びてKOされた。よりにもよって【伊達名乗り】を上げてしまったのが、ワダマツトの逆鱗に触れた要因だろう。
吹っ飛びながら視線誘導する麻雀敗北時の決め技で、ワダマツトをちらりと見やる和の脳内には、走馬灯のように数分前のやりとりが駆け巡っていた。
「ワダマツト先生のオーラに触れて特訓するぞーっ。頑張ろうね、びっきー!」
「ええ! もっと上を目指すため、ワダマツト先生にご教授願いましょう!」
今回の企画の相棒である弥久 風花と一緒に、気合いを入れる和。彼女は『麻雀アイドルには、凶悪な雀鬼とも同卓できる度胸が不可欠!』という思いから、芸能界最強の付き人になることを望んだのである。
そして派手派手しく名乗りを上げ、見事に吹っ飛ばされたのだ。
(番組的にも、みんなとしても、いきなり一人やられるのは……緊張感を高めるいい演出になるはず……ぐふっ)
麻雀アイドルとしての覚悟を充分に見せつけて、和は気絶した。
「さあて。付き人の始まりね! 和さん、一緒に頑張りましょう!」
部屋に入ってきた風花は、床に横たわる和を見て愕然とした。
「和さん? 和さーん!?」
返事はない。
(……ああ! 和さんの遺志は私が継ぐわ! まずは……朝食の準備ね!)
風花は気持ちを切り替えると、ワダマツトの好みに合わせた朝食をルームサービスした。後学のためにも、ワダマツトの怒号を生身で受けてみたいと風花は考えていたが、本気で怒らせるわけにもいかないので、大先生の激おこ百選をチェックして地雷だけは避けていた。
そのかいあってか、用意された朝食を見たワダマツトは満足そうだった。
「ちゃんと分かってるじゃないのハッ!」
「あっ。その“ハッ!”ってやつ、私に向けてやってください! でも、軽めでお願いします!」
「ハッ!」
「……げふぅ」
風花は、アイドルとは思えない声を上げた。ワダマツトの辞書に手加減の文字など載っているわけもなく、ちょうど500のダメージが入る。残りHPは2だ。
「じゃあ行ってくっからハッ!」
朝食をぺろりと平らげたワダマツトは、豪快な足取りで部屋を出ていった。その後ろ姿を見送った風花は、よろめきながら和のもとに戻ってくる。
「和さん……やったわ……。私、やりきったよ……!」
そして、風花もまた気絶した。
「あっ……ワダマツト・DXさんがホテルから出てきました……」
進行役の奥 莉緒が、今にも泣き出しそうな声で言った。すっかり怯えきった彼女の言葉を継いだのは小羽根 ふゆである。
「これから先生をハイヤーに乗せて、スタジオまでお送りします」
「……なんだか、朝から不機嫌そうだよぉ」
「渋滞でハイヤーが遅れてるからね。せっかくだから、先生には今のうちに本日の犠牲者……じゃなくて予定をお伝えしよう」
ワダマツトに近づくと、ふゆは番組に参加するフェスタ生たちを紹介していった。もともとマネージャーが専門の彼女は、アイドルの名前を間違えたりなどせず、すらすらと伝えきった。
「――ということで。お願いしますね、ワダマツト・ディーエックス先生」
「誰がディーエックスだハッ!」
いちばん間違えちゃいけないとこで間違えたふゆは、怒号で吹っ飛ばされた。
「ああ、ふゆさん!?」
「きゅー……」
弱った子犬みたいな声を漏らすふゆを、莉緒が懸命に応急手当していた。