超耐久ライブ×団結サバイブ!
リアクション公開中!

リアクション
■25時間ライブ、後半戦開始!
朝5時。空が徐々に明るくなり、フィナーレへ向けて会場が徐々に盛り上がろうとしていた。
――さて。
その後半戦開始前に、場所をフェイトスターアカデミーに移そう。
「……よし」
靴紐をしっかりと結んで、桐山 撫子が明るくなってきた空を見上げ、やる気に満ちた表情で頷く。
(25時間ライブのフィナーレに重なるように、ここからスカイタウンまでマラソンだよ!)
端末を開いて地図を確認し、運動着の胸ポケットにしまう。これから撫子はスカイタウンまで、テレビ番組の企画としてよくある『○時間マラソン』に似せた形で走り、到着を目指すようだった。
(さあ、出発だね! ……っと、向こうに第一報を送らないとね)
先程胸ポケットに入れた端末で、撫子が自撮りを行いその動画を送信する――。
「……ハッ!!」
ファイル受信のメロディーで、光凛が目を覚ます。時間を確認するとちょうど5時になろうかというところだった。
「みんな起きて! 後半戦始まるよ!」
他のメンバーを起こしつつ、光凛は端末を開いて先程送られてきた動画を今回のイベント用サイトで閲覧できるようにする。
「これでよし、と。撫子ちゃん、頑張って!」
今頃スカイタウンへ向かっているであろう撫子にエールを送って、光凛は支度の出来たメンバーと共に現場へと向かっていった――。
(……よし、予定通りセブンスフォールになったな。これで万全のライブ効果を発揮できる)
先に知らされていた通り、ディメンションシフトによってセブンスフォールのステージとなったのを感じ取った小石川 涼矢が、氷の粒を霧状に発生させ観客へ語りかける。
「ようこそ、剣と魔法の幻想世界へ。ここはとある浮遊大陸、世界樹の森」
その口上と、朝日を受けて生じた煌めくヴェールに観客は、セブンスフォールという世界を直接見ることはできなくとも自分たちが剣と魔法の幻想世界に招待されたという実感を得た。
「……この先に、世界樹の寵愛を受けし巫女が居ると聞く。世界樹は俺に何を伝えようとしているのだろうか」
ステージの左から、純白の魔法騎士をイメージした衣装を身に着けたメストラール・ミシュアルが上がる。ステージの右方向を見つめながら台詞を述べたメストラールが歩き出そうとした矢先、鋭い声が飛んだ。
「待ちな! ……ふふ、あなたはここで私に倒されるのよ」
ステージの右から、黒を基調としたボディスーツの上から白銀の鎧を身に着けた蝶野 光が現れ、メストラールへ剣を突きつける。
「何が目的か知らぬが、俺には果たさねばならない使命がある。ここでやられるわけにはいかない」
応えるようにメストラールも剣を抜き、そして二人の剣戟が始まった。まずはメストラールがマジックの要領で遠距離からの魔法を撃ったかのように見せ、それを光が華麗な身体捌きで避け、接近すると同時に横薙ぎ、刃を返しての袈裟斬りを繰り出す。
「くっ!」
メストラールが攻撃を自分の剣で防ぐが、体勢が崩れる。
「そらっ!」
それを見た光が姿勢を低くしてからの足払いをかけ、メストラールを地面に転ばせると無防備になった首元へ剣を振り下ろす。すんでのところでメストラールが剣を合わせ、拮抗した状態となる。
「ふふふ、愉しい。この剣があなたを絶望の色に染める様が見たいわ。さあ、早くいい声で啼きなさい」
「……言ったはずだ、負けるわけにはいかないと!」
愉悦の笑みを浮かべる光へ、闘志のこもった視線をぶつけ、剣に光を発生させ目眩ましとする。
「ああっ! やってくれたね!」
光が怯んだ隙に立ち上がったメストラールがそのまま攻撃に移るのではなく、剣を構え光が立ち直るのをあえて待って迎撃する。
「これが俺の剣、俺の意志だ!」
勇ましい表情、そして実に威風堂々とした剣戟が徐々に光をステージの端へと追いやり、ついにメストラールの一閃が光の剣を弾いた。くるくると宙を舞った剣が地面に落ち音を響かせると、光がその場に崩れ落ちた。
「勝負はついた。……何故俺を襲う?」
「……今日のところは引いてあげるわ。でも覚えておきなさい、あなたは私の仇」
メストラールの問いに答えず、光は剣を握っていた方の腕を庇うようにしてステージから去っていった。
「仇、だと……? 俺は一体……」
剣を収めたメストラールが呆然と立ち尽くすところで、照明が落ちる。
「世界樹に導かれし勇者と、彼を仇と狙う少女の剣が交わる。
この戦いの果てに、二人は何を見るのか」
涼矢の語りの後、ステージには水辺に咲く花をイメージした衣装を纏った星野 夜宵が立った。薄絹を重ねることでふわりとした印象を持たせたスカートや、ボディラインを強調した上半身部に観客は目を引かれ、これからの彼女の振る舞いを見逃すまいと視線を向ける。
(凄い注目……! これが涼矢君が作り出した魔法世界の効果なんだね。
……うん、みんなの期待に応えられるよう、私も精一杯歌うよ)
夜宵がステージの奥から、手前方向へとゆっくり進む。裾に飾られた鈴が凛とした音を奏で、まるで一歩ごとに水面に輪が生まれるような、そんな印象を与える。
「世界樹よ、彼らを導き給え。世界を渡り、世界を紡ぐ者たちを――」
観客の注目を一身に受けた夜宵が、世界樹の巫女として世界樹に呼びかける歌を紡いでいく――。
花の底に深き根があるように
人の心には小さな翼がある
花は水を求め
心は愛を謳う
世界樹は囁く
理を求めよと
「……以上をもって、【HAPPY☆CAN】のライブを終わる。
また剣と魔法の幻想世界へ招待する日を、楽しみにしていてくれ」
そんな涼矢の言葉と共に、出演者である夜宵、光、メストラールがステージに上がり観客へ礼をすると、観客席からは大きな歓声と拍手がもたらされた。
「お姫さんがた、ちょいと手伝ってもらっていいかな? 無理強いはしないが――」
「ううん、大丈夫! みんなが気を使ってくれたから、最後まで大丈夫だよ!」
水鏡 彰の要請にPRESENT SMILEメンバーが応じる形で、合歓季 風華とのライブが開始される――。
ステージに据えられたひとつの棺。荘厳な雰囲気を醸し出すその棺がゆっくりと開くと、中で眠っていた風華が目を覚まし起き上がる。
「我は大天使ネムキエル……眠りの使い……。
あらゆる者へ、深き安眠の加護を……」
白い羽を羽ばたかせ、金色の光を放ちながら歌う風華によって、せっかく朝を迎えて目が覚めてきた観客はまたスヤァ……と安らかな眠りについてしまう。
「あー……私もなんだか眠くなってきちゃった……」
「ダメだよ莉緒、寝たらサポートできないから!」
意識が遠のきそうになる莉緒を光凛が揺り起こす。その間にも風華の歌は順調に会場の観客を深き安眠へと誘っていた。
「お眠りなさい……ねむねむの加護がありますように……」
「眠りの大天使よ! 今、この地は眠りの安らぎに包まれる刻にあらず!」
そこへ彰とPRESENT SMILEメンバーが駆けつけ、風華を止めようとする。
「何を言うか……我を妨げるのであればあなた達も……お眠りなさい」
しかし風華は応じず、彰たちをも眠りへと誘う。
「本当に寝てしまってもいい気分になりますねー」
「……強敵」
彩といろはは立っているのがやっとといった状況だった。
「言って聞かないのなら、歌で聴かせてみせる!
目覚めの力を、俺に――! 『By a smiling face, good morning!』」
彰が進み出、眠りを吹き飛ばす歌を紡ぐ。
輝きの笑顔で 「おはよう」を告げよう
彰の歌が終わると同時に、風華の歌も収まった。
「そう……今は蘇る時ではないのね……」
竪琴を紡いでいた手が止まり、花冠を被った頭が下がる。その姿はどこか淋しそうに見えた。
安らかな微笑みで 「おやすみ」を告げて
そこへPRESENT SMILEメンバーが、彰の歌に続けるようにして歌を紡ぐ。自分の歌が、存在が決して疎まれるものではなかったと伝えるために
「……優しい、歌……。ありがとう……。
勇敢なる者、心やさしき者、幾星霜の果てに再び……眠りの元で会おうぞ」
風華の顔から淋しさが消え、笑顔を見せ再び棺の中へと戻っていく。ゆっくりと蓋が閉まったところで照明が落ち、再度照明がつくと、後列にPRESENT SMILEメンバーが控え、前列に風華と彰が立ち、観客へ礼をする。
「ご鑑賞いただき、ありがとうございました」
そして観客から大きな拍手と歓声が起こった――。
朝5時。空が徐々に明るくなり、フィナーレへ向けて会場が徐々に盛り上がろうとしていた。
――さて。
その後半戦開始前に、場所をフェイトスターアカデミーに移そう。
「……よし」
靴紐をしっかりと結んで、桐山 撫子が明るくなってきた空を見上げ、やる気に満ちた表情で頷く。
(25時間ライブのフィナーレに重なるように、ここからスカイタウンまでマラソンだよ!)
端末を開いて地図を確認し、運動着の胸ポケットにしまう。これから撫子はスカイタウンまで、テレビ番組の企画としてよくある『○時間マラソン』に似せた形で走り、到着を目指すようだった。
(さあ、出発だね! ……っと、向こうに第一報を送らないとね)
先程胸ポケットに入れた端末で、撫子が自撮りを行いその動画を送信する――。
「……ハッ!!」
ファイル受信のメロディーで、光凛が目を覚ます。時間を確認するとちょうど5時になろうかというところだった。
「みんな起きて! 後半戦始まるよ!」
他のメンバーを起こしつつ、光凛は端末を開いて先程送られてきた動画を今回のイベント用サイトで閲覧できるようにする。
「これでよし、と。撫子ちゃん、頑張って!」
今頃スカイタウンへ向かっているであろう撫子にエールを送って、光凛は支度の出来たメンバーと共に現場へと向かっていった――。
(……よし、予定通りセブンスフォールになったな。これで万全のライブ効果を発揮できる)
先に知らされていた通り、ディメンションシフトによってセブンスフォールのステージとなったのを感じ取った小石川 涼矢が、氷の粒を霧状に発生させ観客へ語りかける。
「ようこそ、剣と魔法の幻想世界へ。ここはとある浮遊大陸、世界樹の森」
その口上と、朝日を受けて生じた煌めくヴェールに観客は、セブンスフォールという世界を直接見ることはできなくとも自分たちが剣と魔法の幻想世界に招待されたという実感を得た。
「……この先に、世界樹の寵愛を受けし巫女が居ると聞く。世界樹は俺に何を伝えようとしているのだろうか」
ステージの左から、純白の魔法騎士をイメージした衣装を身に着けたメストラール・ミシュアルが上がる。ステージの右方向を見つめながら台詞を述べたメストラールが歩き出そうとした矢先、鋭い声が飛んだ。
「待ちな! ……ふふ、あなたはここで私に倒されるのよ」
ステージの右から、黒を基調としたボディスーツの上から白銀の鎧を身に着けた蝶野 光が現れ、メストラールへ剣を突きつける。
「何が目的か知らぬが、俺には果たさねばならない使命がある。ここでやられるわけにはいかない」
応えるようにメストラールも剣を抜き、そして二人の剣戟が始まった。まずはメストラールがマジックの要領で遠距離からの魔法を撃ったかのように見せ、それを光が華麗な身体捌きで避け、接近すると同時に横薙ぎ、刃を返しての袈裟斬りを繰り出す。
「くっ!」
メストラールが攻撃を自分の剣で防ぐが、体勢が崩れる。
「そらっ!」
それを見た光が姿勢を低くしてからの足払いをかけ、メストラールを地面に転ばせると無防備になった首元へ剣を振り下ろす。すんでのところでメストラールが剣を合わせ、拮抗した状態となる。
「ふふふ、愉しい。この剣があなたを絶望の色に染める様が見たいわ。さあ、早くいい声で啼きなさい」
「……言ったはずだ、負けるわけにはいかないと!」
愉悦の笑みを浮かべる光へ、闘志のこもった視線をぶつけ、剣に光を発生させ目眩ましとする。
「ああっ! やってくれたね!」
光が怯んだ隙に立ち上がったメストラールがそのまま攻撃に移るのではなく、剣を構え光が立ち直るのをあえて待って迎撃する。
「これが俺の剣、俺の意志だ!」
勇ましい表情、そして実に威風堂々とした剣戟が徐々に光をステージの端へと追いやり、ついにメストラールの一閃が光の剣を弾いた。くるくると宙を舞った剣が地面に落ち音を響かせると、光がその場に崩れ落ちた。
「勝負はついた。……何故俺を襲う?」
「……今日のところは引いてあげるわ。でも覚えておきなさい、あなたは私の仇」
メストラールの問いに答えず、光は剣を握っていた方の腕を庇うようにしてステージから去っていった。
「仇、だと……? 俺は一体……」
剣を収めたメストラールが呆然と立ち尽くすところで、照明が落ちる。
「世界樹に導かれし勇者と、彼を仇と狙う少女の剣が交わる。
この戦いの果てに、二人は何を見るのか」
涼矢の語りの後、ステージには水辺に咲く花をイメージした衣装を纏った星野 夜宵が立った。薄絹を重ねることでふわりとした印象を持たせたスカートや、ボディラインを強調した上半身部に観客は目を引かれ、これからの彼女の振る舞いを見逃すまいと視線を向ける。
(凄い注目……! これが涼矢君が作り出した魔法世界の効果なんだね。
……うん、みんなの期待に応えられるよう、私も精一杯歌うよ)
夜宵がステージの奥から、手前方向へとゆっくり進む。裾に飾られた鈴が凛とした音を奏で、まるで一歩ごとに水面に輪が生まれるような、そんな印象を与える。
「世界樹よ、彼らを導き給え。世界を渡り、世界を紡ぐ者たちを――」
観客の注目を一身に受けた夜宵が、世界樹の巫女として世界樹に呼びかける歌を紡いでいく――。
花の底に深き根があるように
人の心には小さな翼がある
花は水を求め
心は愛を謳う
世界樹は囁く
理を求めよと
「……以上をもって、【HAPPY☆CAN】のライブを終わる。
また剣と魔法の幻想世界へ招待する日を、楽しみにしていてくれ」
そんな涼矢の言葉と共に、出演者である夜宵、光、メストラールがステージに上がり観客へ礼をすると、観客席からは大きな歓声と拍手がもたらされた。
「お姫さんがた、ちょいと手伝ってもらっていいかな? 無理強いはしないが――」
「ううん、大丈夫! みんなが気を使ってくれたから、最後まで大丈夫だよ!」
水鏡 彰の要請にPRESENT SMILEメンバーが応じる形で、合歓季 風華とのライブが開始される――。
ステージに据えられたひとつの棺。荘厳な雰囲気を醸し出すその棺がゆっくりと開くと、中で眠っていた風華が目を覚まし起き上がる。
「我は大天使ネムキエル……眠りの使い……。
あらゆる者へ、深き安眠の加護を……」
白い羽を羽ばたかせ、金色の光を放ちながら歌う風華によって、せっかく朝を迎えて目が覚めてきた観客はまたスヤァ……と安らかな眠りについてしまう。
「あー……私もなんだか眠くなってきちゃった……」
「ダメだよ莉緒、寝たらサポートできないから!」
意識が遠のきそうになる莉緒を光凛が揺り起こす。その間にも風華の歌は順調に会場の観客を深き安眠へと誘っていた。
「お眠りなさい……ねむねむの加護がありますように……」
「眠りの大天使よ! 今、この地は眠りの安らぎに包まれる刻にあらず!」
そこへ彰とPRESENT SMILEメンバーが駆けつけ、風華を止めようとする。
「何を言うか……我を妨げるのであればあなた達も……お眠りなさい」
しかし風華は応じず、彰たちをも眠りへと誘う。
「本当に寝てしまってもいい気分になりますねー」
「……強敵」
彩といろはは立っているのがやっとといった状況だった。
「言って聞かないのなら、歌で聴かせてみせる!
目覚めの力を、俺に――! 『By a smiling face, good morning!』」
彰が進み出、眠りを吹き飛ばす歌を紡ぐ。
輝きの笑顔で 「おはよう」を告げよう
彰の歌が終わると同時に、風華の歌も収まった。
「そう……今は蘇る時ではないのね……」
竪琴を紡いでいた手が止まり、花冠を被った頭が下がる。その姿はどこか淋しそうに見えた。
安らかな微笑みで 「おやすみ」を告げて
そこへPRESENT SMILEメンバーが、彰の歌に続けるようにして歌を紡ぐ。自分の歌が、存在が決して疎まれるものではなかったと伝えるために
「……優しい、歌……。ありがとう……。
勇敢なる者、心やさしき者、幾星霜の果てに再び……眠りの元で会おうぞ」
風華の顔から淋しさが消え、笑顔を見せ再び棺の中へと戻っていく。ゆっくりと蓋が閉まったところで照明が落ち、再度照明がつくと、後列にPRESENT SMILEメンバーが控え、前列に風華と彰が立ち、観客へ礼をする。
「ご鑑賞いただき、ありがとうございました」
そして観客から大きな拍手と歓声が起こった――。