「スマートでスマイルなトキメキとキラメキをお送りする――」
「――『Sma★mekiTV』！　始まるぞ」

　ウィリアム・ヘルツハフトと堀田　小十郎の洋と和の模造刀が、オープニングテーマと共に派手な音を立ててかち合います。
　大きな満月をバックに局名を宣言した二人がゆっくりと各々の得物を引けば、カメラがくるりと反転し今度は大きな古城が映し出されました。

「さーて、今宵の舞台はこちら！　あの城で、一体何がボク達を待ち受けているのかな？」

　古城を見上げる日下部　穂波がカメラに映し出されると、彼女は恭しくシルクハットを外して一礼をします。
　途端、BGMが優雅な調子のクラシックに代わり――

「わあっ、すごく素敵なお城！　お姫様になった気分だね！」
「わ、待ってくださいっ。慣れない服で、僕……」

　可愛らしいドレスに身を包んだ虹村　歌音が、すっきりとしたタキシードに身を包んだ雨宮　いつきの手を引いて煌びやかな城内を嬉しそうに走り出すシーンに切り替わりました。
　いつきは城の様子に戸惑いながらも、新鮮そうに巨大なシャンデリアを見上げます。
　と、その時――

「ちょっと、気を付けなさい……」

　藍のドレスに身を包んだアスティノア・シエスタリアに肩がぶつかったようでした。
　彼女もまた、どこか不機嫌そうな表情でシャンデリアを見上げます。

「分かる、言いたいこと分かるぞー！
　“いったい誰がわたしたちを招待したのか？”ってところかな！」

　豪華な料理の乗った皿を片手にひょっこりと登場した天地　和は、よく見ればさりげなく麻雀牌の意匠をあしらったドレスを着ていました。

「そうね……ボク達は何者かに招かれた。きっとそこには何らかの理由があるはずよ。
　何も起こらなければいいのだけど――」

　意味深な言葉と共にワイングラスを傾けるのは、大人っぽいタイトドレスに身を包んだ美鶴妃　タオです。
　『※もちろん飲んでいるのはブドウジュースです』と、画面下に小さく表示が入りました。

　彼の言葉にその場に居た者が息を呑んだ、その矢先。

「みんなーっ！　大変やでっ、外見てや外！」

　白基調のドレスの裾を持ち上げながら、ハヤテ・シュートロックが慌てた様子で駆け寄ってきました。
　ハヤテが指さした窓の外を見てみれば、そこに広がっていたのは――

「ハル。あれ、ゾンビ……！？」
「しかもこの量……くそっ、どういうことだ？」

　黒いドレスと澄んだ水色の瞳を揺らす氷堂　藤が、思わず目を見開きます。
　彼女を守るように一歩前に出た木戸　一晴は、全ての窓からゾンビの姿が見える事を確認すると、タキシードの袖を捲って来たる戦闘に備えようとしました。

「ぴんぽんぱんぽーん」

　――その時、藤たちの緊迫した場面が聞き覚えのある声と共に一時停止状態になりました。

「こちらのゾンビの皆さんは、俺のSNSアカウントをフォローしてくれてる340万人の面白い事大好きなみんなから募った有志だよ。
　スペシャルサンクス♪　今回も俺、みかパイセンにご協力ありがとう♪」

　ぶつり、と音声が途切れると何事も無かったかのように場面は進行し始めました。

「どこか……皆で逃げられる場所は無いんでしょうか？」

　ゴシック風のドレスを着た夢月　瑠亜が辺りを見回しますが、ゾンビはもうすぐそこまで迫っています。
　
「くっ――道は自分が拓く！」

　剣を構えてゾンビたちの前へ躍り出たのは、アーヴェント・ゾネンウンターガングです。
　彼がゾンビたちを抑えている間、次に動いたのはシャーロット・フルールでした。

「う～ん、ボクはこのお城の中に誰も知らない出口があると見たっ！
　ほらほら、奥の扉とかすごく怪しくない？」

　シャーロットが指差した先の大扉が、その時を待ちわびていたかのようにゆっくりと開きました。
　ある者はそれを見て意を決したように頷き、ある者はゾンビたちへと武器を構えます。

　そうして、この長い長い夜は幕を開けたのでした……。

　「スリリングエスケープ・ナウ！？　～幽霊城からの脱出～」

　暗転した画面には、禍々しい自体で番組タイトルが表示されていました。



「うんうん。前回MVPのみんな、名演技だよ」
　
　古城の前に陣取った野外配信テントで、彼は作業用モニターを見てにっこり微笑んでいます。
　手元にはいつもの大量のスナック菓子。そして――

「春人ちゃんもさぁ、今回は見せ場あるといいねぇ♪」
　
　神谷春人が、同じくモニターを覗き込みながらむうっと頬を膨らませていました。
　
「今回はしっかり活躍してやるっ。前回ので、何か駿くんの人気だけがっつり上がっちゃったみたいなんだから！
　ていうか、みかパイセン――フォロワー340万って、ホント？　そんなこと、あり得るの？」

　春人の言葉に、みかパイセンは小さく笑います。

「まだナーイショ。でも、いずれ皆も――
　いやいや、そんな話はまた今度！　今日は幽霊城を楽しもっか？」

　「Sma★mekiTV」のイベント、第二回は――古城からの脱出ゲームです。
　

当シナリオでは、「Sma★mekiTV」のイベント「スリリングエスケープ・ナウ！？」に参加して頂きます。

古城に閉じ込められた皆さんはバトル・ライブを行いながらゾンビ達立ち向かったり、
ゾンビから逃げながら城内を探索して脱出のカギを探したり、
ゾンビに混ざってアイドル達を妨害したりすることが出来ます。
どなたでもご参加頂けますので、お好きなパートをお楽しみ頂ければ幸いです。


■現在の状況

フェスタの先輩であるみかパイセンが局長兼番組プロデューサーを務める、ネット放送局「Sma★mekiTV」。
前回放送された「全力エスケープ・ナウ！」の好評を受け、
フェスタ生と共に更なる人気番組を作っていくために新たな番組が企画されました。
それが「スリリングエスケープ・ナウ！？」です。

幽霊城と噂される古城を一日貸し切って撮影を行います。
城内各所のカメラによって撮影された模様がネット上で生中継されます。

また、今回MVPをとった個人、あるいはグループには、賞品として【次回番組でオープニングを飾る権利】が贈られます！
次回の同放送局主催番組のシナリオで、シナリオガイドに登場することが出来ます。
また、今回からMVPに選ばれた方には次回のシナリオにご招待させて頂きます。


■「スリリングエスケープ・ナウ！？」について

参加者様達には、招かれた幽霊城でのパーティー中に閉じ込められてしまったという設定で城からの脱出をして頂きます。
（参加者様には、正装っぽい衣装などが貸し出されます。お好みでご利用ください）

今回、番組は「戦闘コース」と「探索コース」の2コースに分かれています。
お好きなコースをお選びいただき、脱出を目指してください。
（既にオープニングにご登場頂いた皆様も、お好きな方をお選びいただいて問題ございません）

また、アイテムやスキルの使用に制限はありません。

選んだコースに関わらず、最もイベントを盛り上げた方にMVPが贈られます。

今回も、アイドル達の脱出を妨害するゾンビアイドルとしてご参加頂く事も可能です。


■戦闘コースについて

現在、唯一の出入り口から大量のゾンビが玄関ホールに押し寄せています。
ゾンビたちは数の暴力でアイドル達の脱出を阻もうとしてきます。
ゾンビを全滅させれば、正面扉を突破し正門から堂々と脱出できます。
ゾンビが残っている中をこっそり逃げようとすることも可能ですが、食い止められ捕まってしまう可能性が高いので避けた方が良いでしょう。

・ゾンビ達について
打たれ強さや腕に自信のある特殊な訓練を受けたエキストラさん達が、リアルな特殊メイクで仮装しています。
彼らはアイドルを捕まえると賞金が貰えるため、ガチで皆さんを襲ってきます。
普通に戦えば倒せますが、暫くすると活動を再開してしまうのでライブで鎮めることが必要になります。
倒したゾンビが大人しくしている間に、ライブを行うことで「世の中金ではない」と気付かせ行動を完全に停止させましょう！

・ボスゾンビについて
開始から暫くすると、ボスゾンビが地下から解放されアイドル達を襲います。
ボスゾンビの正体は、千葉県習志野市の演習所を散歩していたみかパイセンがスカウトしてきた不気味で巨大な化け物です。
うじゅるうじゅると酸のような液体を吐きながら、沢山の触手や爪で攻撃してくる強敵です。
ボスゾンビと戦う場合は、難易度は４になります。

こちらのコースには、桐島泰河にアクションをかけることが可能です。


■探索コースについて

様々な仕掛けが溢れる城内を探索しながら脱出するコースです。
最後まで探索を続けることが出来れば、隠し通路から脱出できます。

アイドルたちに求められているのは
仕掛けに対しての“リアクション”や“切り返し”となります。

素で驚いてリアクションするだけでも視聴率に貢献できますが、
ライブスキルやライブアイテムを使って（思わず使って）
上手く状況を切り抜けたりすると、視聴率を更にあげることができます。

例：落とし穴に落とされたが、すかさず「落とし穴ソング」を歌ってミュージシャン魂を見せる。
例：現れた幽霊に対し、祈りを込めた踊りを見せ、安らかに昇天させる。

○様々な仕掛け
１）暗い廊下で頬っぺたにコンニャクがペタ
２）階段がいきなりツルツルに
３）大量のゾンビが追いかけて来る
４）一緒に歩いていた生徒が実はゾンビ
５）大鏡に映った自分の姿が木校長
６）大量のルミマルに「折ってくれ」と迫られる
７）絵の中の女性が出てきて追いかけまわす
８）中庭の木が実はヤシマルでウキマルへの呪詛を吐き続けている
９）落とし穴

これらの仕掛けが組み合わさったパターンも有りえます。

例：階段がいきなりツルツルになって、落とし穴に落ちる。

アクションを書く際は
仕掛けの番号を発動する順に指定してください。
指定が無い場合はマスターが任意で判断し、発動させます。

また、場合によっては、ここに記載されていない仕掛けに遭遇することもあります。


また、仕掛けを作る側となって春人か駿をピンポイントで狙い、
リアクションを引き出し、視聴率アップを狙うこともできます。

こちらのコースには、橘駿、神谷春人にアクションをかけることが可能です。


■ゾンビとしてアイドル達を捕獲する
ゾンビとして参加する場合は、必ずアクション冒頭に【ゾンビ】とご記載ください。
イベント中はゾンビの特殊メイクをして頂きます。
また、アルバイトとしての参加となるため、ゾンビではMVPを獲得することは出来ないのでご了承ください。

ゾンビアイドルの仕事は、戦闘コースの参加者の前に立ちふさがったり、探索コースの参加者を驚かせたりすることです。
もしあまりにゾンビとして秀逸な演技をしていた場合、【ゾンビMVP】を獲得できることがあるかも知れません。


■優雅な時間を過ごす
ゾンビに構わず、豪華な城内で優雅な一時を過ごすことも可能です。
イベントがどんなに白熱していても、気にせず思うままに食事などを楽しんだり城内散歩をお楽しみいただけます。
今夜はゾンビの群れに似合わず、月と星空が綺麗です。
ゾンビたちは、このパートを選んだ人のことは空気を読んでスルーしてくれるようです。

こちらのパートには、早見迅にアクションをかけることが可能です。

それではみなさんのご参加とアクションをお待ちしております。