一年に一度、桜稜郭でその祭りは行われるといいます。
　宵の口から真夜中にかけて、西へ東へ、町から町へ。
　魑魅魍魎たちが二つの勢力に分かれ、百鬼夜行さながら大通りを賑やかして練り歩く――
　“犬猫夜行”と呼ばれるその催しは、毎年一波乱も二波乱も呼んでいるそうな。


「犬神座の連中、今年もわざわざあたしたちとやろうってのかい？
　いい加減学習しないかねぇ、本当に誰もに愛されているのは“猫”なんだってさ！」

「猫又座がまーだ勘違いしてやがる。
　自分勝手なあいつらより、大事にされてずっと愛され続けていくのは“犬”なんだよ！」

　そう言って睨みを利かせあうのは、それぞれ所属する座の異なる舞芸者たちです。
　古くから犬を愛してきた「犬神座」と、猫の愛らしさに忠誠を誓う「猫又座」の者達は、その主義思想の違いからいつも顔を合わせれば火花を散らしてきました。
　その確執は一部ではもはや名物として囃し立てられるようにもなり、さらにその対立を煽り盛り上げるように開催されるようになったのが――

　それぞれの座とそれに与する派閥が犬と猫の魅力を盛大にアピールしながら桜稜郭中を練り歩く「犬猫夜行」と呼ばれるお祭りでした。

　このお祭りでどちらの派閥がより盛り上がるかが、犬派と猫派の事実上の天下分け目の戦いとなるのです。

「次の夜行でも猫又座が人気で勝つに決まってるだろう。
　あたしたちの歌声には犬の無駄吠えなんかじゃ勝てないよ！」

「真面目に訓練修練を積んできた俺達の完璧な芸に勝てるってか？
　媚びを売るだけの舞芸じゃ無理に決まってらぁ！」

　そんな口喧嘩もどこかそわそわとした町の賑やかしとなりつつ、
　今宵の仁義無き祭りの準備は各派閥とも着々と進んでいくのでした。

当シナリオは、犬派と猫派の百鬼夜行を模したお祭りに参加して、バトル・ライブを通して自分の派閥の魅力を伝え、二つの派閥の今年の決着を付けることが目的となります。
どなたでもご参加頂けますので、お好きなパートをお楽しみ頂ければ幸いです。

◆犬猫夜行
一年に一度、大変仲の悪い猫又座と犬神座の舞芸者たちが争って桜稜郭中の大通りを練り歩くお祭りです。
犬神座の行列は「犬神夜行」、猫又座の行列は「猫又夜行」と呼ばれ、付かず離れずの距離を並んで進んでいきます。

犬神夜行の者は犬、猫又夜行の者は猫が題目の舞芸を披露しながら町を進んでいきます。
観客はそのアピールを見て、より魅力を感じた夜行の最後尾に並び付いて行くことが出来るため、それぞれの夜行が競って勢力を伸ばしていく形になります。

最終到達地の大神社に到着した時点で両夜行の行列の長さを比較し、より長かった方がその年の犬猫夜行の勝者となります。

猫又夜行の主なメンバーは、猫又座の者、猫系の妖怪、猫好きの人間、ご町内の野良猫たち。
猫又座の座長は茶目っ気のある姉御肌な猫又の半妖の女性です。

犬神夜行の主なメンバーは、犬神座の者、犬系の妖怪、犬好きの人間、ご町内の野良犬たち。
犬神座の座長は人情に厚く、豪快な性格の犬神の半妖の男性です。

さらにそこへ、観客達が任意で夜行へどんどん加わっていく形になります。


◆夜行参加
「犬神夜行」か「猫又夜行」のどちらに加わるか選び、犬か猫をテーマにライブでアピールを行うことが出来ます。
観客として夜行に加わることも、飛び入り舞芸者として夜行に加わることも、大いに歓迎されるでしょう。


◆夜行強襲
夜行の勢力を伸ばす方法は、ライブだけではありません。
相手勢力の者にバトルを申込み勝利する事で、武芸に魅了された観客の「夜行替え」を促し自分の勢力を伸ばすことが出来ます。
反対に、バトルに敗北すると自分の夜行にいた観客が相手勢力へ「夜行替え」してしまうかもしれません。

このバトルの申込みは「夜行強襲」と呼ばれ、舞芸と同様に盛り上がる要素の一つとなっています。

どちらの夜行にも強襲に対応する半妖の用心棒がおり、猫っぽい動きや犬っぽい身のこなしなどで応戦します。
また、それぞれの座長に直接勝負を挑むことも出来ますが、彼らは武芸の腕も立つ強敵となります。
※座長に夜行強襲を申し込む場合、難易度４相当となります。


それではみなさんのご参加とアクションをお待ちしております。