ある日の校長室。
　ほとほと困り果てた表情の老人が、木校長と話しこんでいました。
　
「このままでは若者はさらに都心へ流出し、我が村も廃村となってしまいます……。
　　氷ノ川村の資金や私財投入も辞さない覚悟ですので、どうか……」
「ふむ……田舎には田舎の良さがあります。
　茂三村長、優秀なフェスタ生がお力添えしましょう」

　木校長はそう言って茂三村長の肩を支えます。
　村長と木校長は固く握手をし、にっこりと笑うのでした。

（それにしても、この校長先生は
　さいきん流行りのゆるキャラの着ぐるみを着てるんだろうか……？）

■

　――数日後。
　木校長はダンスレッスンに励む神谷　春人に声をかけました。

「いやあ、感心。感心。頑張っていますね、神谷君」
「なに？　校長……そんなキャラだったっけ？　怖い」
「そんな神谷君に、番組出演権をあげましょう！」

　木校長はカメラで撮影するようなジェスチャーで春人に迫ります。

「では明朝５時出発ですよ」
「へ！？」

　校長は一冊の台本を春人に渡しました。

「詳しくはこちらにありますので、確認しておいてくださいね。
　他にも何人かの生徒に声をかけています。
　では、皆さんの素敵な番組、楽しみにしていますよ」

　ぽかん、とする春人の方をぽんぽんと叩くと、
　木校長はご機嫌な足取りでレッスン場を後にしました。

　渡された台本には『アイドル田舎探訪～今晩泊めてください！～』の文字が。

「い、田舎って……僕、あんまり得意じゃないんだけど」

　そしていつの間にか、春人を撮影しているディレクターが一人。
　
「……もしかして、もう撮ってる？」

　はい、と頷くディレクター。
　こうして、同様の手法で集められたアイドル候補生達による番組撮影が始まったのでした――。

　本シナリオは「田舎探訪ロケを楽しむ（成功させる）」ことが目標となります。

　若者の流出を危惧した茂三村長は、村の存続のため
　フェスタ生の力を借りようと、木校長に助けを求めました。

　依頼を受けた木校長はアイドル達に田舎で生活をしてもらう
　体験型ロケ番組を企画し、出発から番組終了まで付きっ切りで撮影を開始しました。

　しかし、都会っ子の春人は全くノリ気ではないようです。
　
　村は以下のような環境となっています。
　皆さんで田舎暮らしを楽しんだり、春人に楽しみ方を教えてあげたりして
　氷ノ川村の良さを伝える番組をつくってみましょう！

　◆干からびた田んぼ
　　長年放置され土が干からびてしまった田んぼがあり、その処理に困っています。
　　近くの川から水を流す装置は生きていますので、水を流し入れ土を耕やせば
　　田んぼとして再生が可能です。
　　また、フェスタを出発前に木校長から怪しげな薬剤を渡されています。
　　木校長曰く、「秘密の成長促進剤」だそうで、これを畑に投入し稲を植えると
　　あっという間に稲が成長・収穫できるそうです。不思議ですね。


　◆無人の大きな旧家
　　村の外れに古い日本家屋があります。
　　十数年前に家主が亡くなってから放置され、今では廃墟同然となっており
　　野生動物のねぐらとなっています。
　　村民達もここに集まる野生動物には困っており、年に数回狩猟を行いますが
　　駆逐には至っていません。
　　またお屋敷の風貌から、一部のネット界隈では「お化け屋敷」として密かな人気があるとかないとか。


　◆底の見えない池と、それに繋がる川
　　村の近くには澄んだ川が流れており、川魚を釣ることができます。
　　一方、その川の水が流れ、溜まってできた池はにごっており、底が見えません。
　　村民からは「主がいる」という情報がありますが、誰もその主を見たことはないようです。
　　釣竿などの道具は村長が貸し出してくれますので、魚釣りをしてみるのも良いでしょう。