１２月のイベントの一つ、クリスマス。
　黒く染まった空から、白い雪がはらはらと舞い降りてきます。
　莉緒の実家の八百屋などがある商店街から数分歩いた先に位置する「ひいらぎ広場」では、クリスマスマーケットが行われていました。
　通りにはクリスマスをモチーフとした雑貨やグッズが売られている出店が並び、
　広場の中心には、様々なオーナメントで彩られた大きなクリスマスツリーが展示され、その側にはライブを行うためのステージが設置されています。

　ステージでライブを行う予定である奥　莉緒は、こっそりと客席の様子を確認していました。
　彩が華乱葦原で誘拐され、今日のステージには彩が欠けた三人で立つ必要がありました。
　彩のことはもちろん心配ではありますが、今日のイベントもしっかり成功させないといけません。
　客席は見事に全席埋まっており、莉緒はほっとしつつも、やはり緊張したように胸に手を当てます。

「みなさま、大変お待たせいたしました！
　まもなくフェスタ生によるクリスマスライブが始まります！」

　ステージに登場した司会の男性が、マイクは必要ないのではないかと思うくらいの声を張り上げます。
　しかし、もうすぐライブが始まるのにも関わらず、観客の表情はとても暗く無表情でした。

「あれ……？」

　観客の異変に気がついた莉緒は、不思議そうに首を傾げます。

「莉緒、どうしたの？」

　客席をじっと見つめる莉緒に気づいた村雲　いろはが声をかけました。

「何だか、みんなの様子がおかしい気がして……」

　莉緒の言葉を聞き、いろはも客席へ目を向けます。

「あ、あれ？　みなさーん、聞こえてますかー？」

　司会の男性が困ったように観客に問いかけます。
　観客の中には、俯いたままずっと地面を見つめている人、頭を抱えてぶつぶつと独り言を呟いている人もいました。

「あ、あれ……！
　あのルミマルちゃん、前に商店街で見かけたことがあるよ！」

　何かを見つけた莉緒が、客席のある場所を指差します。

「黒い、ルミマル？」

　莉緒が指差した先には、黒のローブを身に纏い、観客に中に紛れ込んでいたイドラ教団の姿がありました。
　怪しい光を放つブラックルミマルを振り、彼らが観客たちの様子をおかしくさせているのは一目瞭然です。

「どうしよう。これじゃ、楽しくライブなんてできないよ……！」

「それでも今は、私たちのライブで観客の目を覚まさせるしかない」

「そ、そうだね……！」

　莉緒といろはは頷き合い、ライブの準備に取りかかるのでした。





　……一方。
　今回のクリスマスライブには参加せず、一般客としてクリスマスマーケットを楽しんでいた橘　駿と神谷　春人は、通りにずらりと並ぶ出店を眺めていました。
　先ほどまで一緒に行動していたはずの桐島　泰河、早見　迅とは、この人混みのせいではぐれてしまったようです。

「泰河もじぃじもどこ行っちゃったんだろ」

「とりあえず、歩いていればいつか合流できるだろう。
　いざというときは電話をすればいい」

「まぁ、それもそうだよね。
　すぐに合流しないといけないって訳じゃないし、お店を眺めながら二人を探そうか」

　きょろきょろと出店を眺める春人。
　しかし、隣を歩いていたはずの駿の姿が見当たらなくなり、足を止めます。

「あれ、駿くん？」

　後ろを振り向くと、一点をじっと見つめている駿を見つけます。

「もしかして、泰河とじぃじを見つけたの？」

　春人は、駿に歩み寄り、彼と同じ方向へ目を向けます。
　駿の視線の先には、黒いローブを身に纏い、不審な動きをしている人影がありました。

「リア充は滅びろ……っ！」

「きゃあああっ！！」

　黒いローブの男は、イルミネーションを眺めるカップルに襲いかかろうとします。

「お前、何をしているんだ……！」

　駿は、その男の動きを止め、取り押さえることに成功します。
　逃げていくカップルを見て、黒いローブの男は舌打ちをしました。

「この前の商店街では邪魔をされたが、今夜は大いなるイドラ様のために……」

「イドラ様？　一体どういうことだ」

　嫌な気配を感じ、駿と春人は警戒するように辺りを見渡します。
　その瞬間、人混みに紛れるように、同じ黒いローブを羽織った人影が数人逃げていくことに気づきました。

「クリスマスに浮かれるリア充どもは、みんな滅びてしまえばいいんだ……！」

　フフッと、黒いローブの男は、駿に取り押さえられたまま不気味な笑みを零します。
　賑やかなクリスマスマーケットに、不穏な空気が漂い始めたのでした。

イベントシナリオ「雪降る夜のハッピークリスマスマーケット！」をお送りいたします。

イベントシナリオは、
基本的にシナリオ参加者全員が小説（リアクション）に登場することになります！
また行動内容や結果などによって称号がもらえることもあります！

一人でじっくり行動（アクション）を考えるも良し。
皆でわいわい相談するも良し。
ぜひお楽しみください！

シナリオのルールや遊び方につきましては、下記をご確認ください。

●プレイガイド「シナリオアクションの書き方」
●マニュアル「シナリオ」

シナリオに参加したら、下記のアクションパートから一つを選択し
アクションを作成、投稿してください。


◆ご注意
シナリオで使用できるスキル・アイテムはアクション投稿時に装備しているものだけとなります。
ただし、ポケットに装備しているものは反映されませんのでご注意ください。


【１】クリスマスライブに参加する
クリスマスマーケットで行われるスペシャルライブに参加します。
出演者の皆さまには、クリスマスをモチーフとした衣装（サンタの衣装や、雪を連想させる白いドレスなど）、
クリスマスらしい演出（観客にちょっとしたプレゼントを配るなど）が推奨されています。

また、観客席にはイドラ教団という謎の団体の教団員が紛れ込んでいるようです。
教団員は特殊な黒いルミマル（ブラックルミマル）を振ることで、その光を見た人々を暗い気持ちにさせようとしています。
そのため、ライブで観客を盛り上げることで目を覚まさせる必要があります！
観客の心に響くような歌や演奏、暗い気持ちを吹き飛ばすほどの明るい演出などで、ライブを盛り上げてください！

また、このクリスマスライブで最も観客の評価・支持を得た方、またはユニットには記念の称号が贈られます。
衣装やライブでクリスマスらしいアピールをしてみましょう！

特殊なディメンションシフトにより、
このクリスマスライブの出演者はどの世界のスタイルも有効に使用できます。

こちらのパートでは、
泉光凛、村雲いろは、奥莉緒
にアクションをかけ、一緒にライブを行うことができます。


【２】イドラ教団の教団員を懲らしめる
こちらは、イドラ教団の教団員を懲らしめるパートとなります。
ステージの観客席だけでなく、人々が賑わう通りの出店のほうにもイドラ教団の教団員が紛れ込んでいるようです。
彼らは、クリスマスマーケットを楽しむリア充カップルを（妬みで）攻撃しようとしています。

偶然にも、駿と春人が教団員の一人を捕らえることができましたが、他にも数人の仲間がいるようです。
人混みに紛れてリア充カップルに襲いかかる教団員たちを探し出し、懲らしめてください！

ただし、範囲の広い攻撃をする場合、周りの人々にも被害が及ぶ可能性があります。
教団員に気づかれないように接近し捕らえたり、人気の無い場所へ追い込んだり、
攻撃をする前に人々を安全な場所に誘導したりすることが推奨されます。

また、こちらのパートでは、リア充への攻撃に加勢することも可能です。
しかし、その場合は最終的に必ず倒されることになりますので、覚悟を持って臨んでください。

こちらのパートでは、
桐島泰河、橘駿、早見迅、神谷春人
にアクションをかけることができます。


【３】クリスマスマーケットを楽しむ
一般客として、クリスマスマーケットを自由に楽しむことができます。

例えば、下記のような状況で
好きな過ごし方をすることができます。

・友達や恋人とプレゼント交換をする
・サンタやトナカイの格好をしてプレゼントを配る
・クリスマスケーキを作り、出店で販売する
・イルミネーションを眺める
・クリスマスグッズを買う

この他にも好きな過ごし方ができます。

また、クリスマスマーケットの近辺にはレストランがあります。
そのレストランでイルミネーションやクリスマスツリーを眺めながら、クリスマスディナーをすることもできます。

こちらのパートでは、
泉光凛、村雲いろは、奥莉緒、桐島泰河、橘駿、早見迅、神谷春人、フェイトスターアカデミーフェスタ職員（校長以外）
にアクションをかけることができます。