マニュアル・ワールドガイド・プレイガイドでは、
「ヒロイックソングス!」をプレイする上で必要な情報がまとめられています。
舞台は【2027年】の、“異世界”と繋がっている地球となります。
事の起こりは、2015年――。
各国各地で高速化したネットを通じ、誰もがその才能を世に放てるようになった時代。
地球は異世界と繋がりました。
しかし、その事実を知る者は多くありませんでした。
極一部の人を除いて、誰もが異世界を認識できなかったからです。
異世界との繋がりは最初、地球に大きな悲劇をもたらしました。
“悪しきノイズ”に侵された異世界の怪物や災厄が地球に入り込んでしまったためです。
“悪しきノイズ”の脅威に対抗できたのは、アイドルだけでした。
千差万別の姿で人々を魅了する“神の現身”に値する資質により、“異世界の姿”に変身したアイドルたちは地球を救い、異世界への道を閉ざすことに成功しました。
異世界への道が閉ざされた後、その事実を知る者たちは『再び異世界と地球が繋がる』ことを予見していました。
異世界に地球の未来の光を見る者、己の野心を叶えようとする者、純粋に再会を望む者、あるいはもっと別の――。
考えは様々でしたが、彼らは再び地球と異世界が繋がる日に備えました。
一方で、異世界を認識すらしていない多くの人たちもまた、潜在意識の底で『何かが変わる』という漠然とした不安を抱えていました。
そんな彼らの心に光を与え、不安を期待へ変えてくれるアイドルたちの存在は日に日に大きなものとなっていったのでした。
2020年代に入る頃、地球にはアイドルたちの輝きが世界を突き動かす新たな時代が到来します。
そして、2025年に地球は再び異世界と繋がり、2027年より異世界の本格的な探索が始まりました。
それぞれの異世界にはその世界独自の法則が存在しています。
そのため、その世界の法則に即した姿(スタイル)でなければ、満足に能力を発揮することができません。
地球と異世界が繋がった後、アイドルの資質を持った者たちは、異世界の人々の心に触れることで、その世界における自身の姿に変身(スタイルチェンジ)できるようになりました。
例えば、魔法が実在する世界なら魔法を扱える魔法使いの姿になり、人が空を飛ぶ世界ならば翼を得た姿になれるのです。
この現象は、古来よりアイドルに値する者が、衣装や仮面、化粧などによる姿の変化だけではなく、演奏や舞い、演技の際に才や己の性質すら変化させ、人々を魅了してきたことに深く関連していると考えられています。
その存在はまさに時代と地域を超えて人々の心を惹きつける神の現身そのものであり、それこそがアイドルの正統な語源だとする者もいます。
またアイドルは複数の世界のスタイルを掛け合わせ、独自のスタイルを生み出すこともできます。
こうして得られる世界の壁を超えた多彩な魅力に人々は強く惹きつけられています。
スタイルについての研究は聖歌庁の庇護のもと、限られた科学者の間でとはなりますが、今も盛んに行われています。
日本のアイドル業界大手の一つグランスターホールディングスのように企業内で独自に研究を進めていることも少なくありません。
異世界と繋がった直後は地球と異世界を自由に行き来することはできませんでした。
その一方で、地球へ唐突に異世界の“もの”が現れる、あるいは、地球の一部地域が一時的に異世界化するということだけが続いていました。
地球では2015年以降、各国が協力し合い、異世界と地球を繋ぐ方法を探っていました。
そして、2026年に、ようやく双方を行き来することができるよう道を安定化する方法が確立され、人工のゲートも作られるようになりました。
初期の運用は2025年以降、最も異世界からの流入が多かった日本に決まり、異世界の探索と交流を始めることができるようになったのです。
道の安定化とゲートの誕生には、“DEM(デム)”と呼ばれる都市伝説上の存在が関わっていると囁かれています。
また、異世界にまつわる事象に対応する超国家的な機関“聖歌庁”により、地球と異世界の状況がいくつか判明しています。
異世界を認識できる者なら、一度は「DEM」という奇妙な幻影に出会ったことがあります。
スマートフォンやパソコンの画面、カラオケのモニター、映画館、ゲームセンターの筐体、あるいは夢の中、白昼の町中……と実に様々な遭遇談があります。
彼女は出会う人々にこう言います。
『思い出して。かつて地球には多くの異世界が繋がっていた』
『全てが滅ぶ前に。“イドラ”を取り除き、地球と異世界を結ばなければ』
『見つけて。世界を結ぶ、あなたのウタを――――』
彼女の正体については、異世界から迷い込んだ不安定な存在だとか、ネットの創作物が魂を持ったものではないかなど、様々な噂がありますが、全て真偽は定かではありません。
DEMが告げるように、地球はかつて複数の異世界と繋がっていた可能性は高いとみられています。
何かしらの影響で地球と異世界は切り離されてしまった、と。
世界各地にみられる神話、逸話、あるいは創作の中に存在する世界、それらは実際に地球と繋がっていた異世界の記憶ではないかといわれています。
また、古くから世界各地で芸能と神事が密接に関わり合っていたことから、かつての地球と異世界でもアイドルは特別な存在であっただろうことが推測されています。
例えば、そのカリスマで歴史に介入していた邪馬台国の卑弥呼などもアイドルとしての資質を持っていたのではないかと考えられています。
また、近い将来、DEMが告げるように、かつて地球と繋がっていた全ての異世界を繋ぎ直さなければ『全てが滅んでしまう』可能性がある、と考える者は少なからずいます。
既に行き来ができる状態の異世界も、完全には繋がっているとは限りません。
世界を完全に繋げるには『切り離している』原因“イドラ”を取り去る必要があります。
“イドラ”を取り去るのに必要なのは力だけではなく、アイドルとしての魅力そのものだともいわれてます。
そして、地球と異世界が繋がった際に生まれる力があれば、新たな異世界への扉を開くことができるといわれています。
異世界を包み、そこにいる一部の存在を狂わせる“悪しきノイズ”について、現状多くのことは分かっていません。
2015年からの研究やDEMがもたらす情報から、悪しきノイズは異世界の何処かに何かしらの形で存在しているイドラから発せられていると考えられています。
異世界への扉を開くためには非常に多くの人々の心を一つにすることが必要です。
2015年、2025年に異世界が繋がった時も世界的なアイドルたちによる大きなライブが開催されていました。
このライブイベントは、新たな世界への扉を開く準備が整った際に開催されます。
このイベントでは、アイドルたちが音楽だけでなく様々なアピールを行ってライブを盛り上げ、多くの人々の心を一つにします。
2025年に、世界で最も有名なソロアイドル エース・ジャックの呼びかけによって東京湾上の特設ドームで行われたライブイベント『ヒロイックソングス!』は、世界中からトップアイドルが集まった伝説のライブイベントで、現在、多くのアイドルたちの憧れの舞台でもあります。
2015年に行われたライブについては不思議と記録が残っておらず、多くの人にとって「何か大きなイベントがあったかな」程度の認識となっています。
多くの人は未だ異世界を認識できません。
多くの人は異世界に関わるものを見たり触れたり聞いたりしても、すぐに『忘却』してしまうのです。
原因は明確に分かっていませんが、時には起きた現象すら消えることから地球自身が忘れてしまうためではないかという人もいます。
そのおかげで地球に異世界の“もの”が現れたりしても全世界的な大混乱に陥ることがありません。
しかし、完全に忘れているわけではなく、その時に感じた「感情」は消えないようです。
そのため、アイドルたちやアイドルに関わる人々の多くは、いつか異世界と地球が完全に繋がる日に備え、異世界について恐怖や怒りよりも魅力を伝え続けておく必要があると考えています。
アイドルたちが異世界の力を使ったアピールを行うのは、このためでもあるのです。
アイドルたちはメディアでの活動に加え、積極的に異世界からの脅威の対処や草の根のライブ活動を行っています。
そうした活動はやがて来る異世界と地球の友好的な交流の助けになるとともに、ファンに特別な楽しさを届けたり自身を成長させたりするチャンスでもあるからなのです。
なお、2015年に繋がった異世界に関する記憶や記録については、異世界を認識できる者たちの間でも非常に曖昧なものとなっています。
2015年頃から、いち早くアイドルの時代を悟った者たちによって社会は急速に変化していきました。
衣料メーカー、楽器メーカーなど地球中の様々な企業がアイドルに関わる商品の製造販売の総合ブランド化を推し進め、成功したのもこの流れを象徴しています。
根底には異世界とのことがあったのも事実ですが、これまでにない多彩な才能で人々を魅了する若者が増えたのも事実でした。
その才能を正しく伸ばすべく、多くのアイドル育成学校が誕生しました。
彼らの夢を叶えようとする者、かつての夢を託そうとする者、野心のために利用しようとする者などなど、その目的は様々でしたが、学校同士の切磋琢磨があったからこそアイドルたちの力も脅威的に伸びていったのです。
またアイドル育成学校の活動には政府機関の全面的なバックアップもありました。
2027年以降、カリキュラムに異世界の冒険・活動を積極的に取り入れるアイドル育成学校が増えています。
異世界には危険も多いのにそうするのは何故か。
それは異世界を探索することや救うことはアイドルにしかできないためです。
「スタイルチェンジ」ができるアイドル以外は異世界でまともに動くことすらできないのです。
なにより、異世界での活動はアイドルたちを大きく成長させるのです。
中には自身の私利私欲のためだけにアイドルを異世界へ送り込んでいる者もいます。
2015年以降、地球は不安定な状態にあります。
地球に異世界の“もの”(道具や怪物や人など)が、唐突に迷い込むことがあったり、その逆があったりするのです。
これはすでに繋がっている異世界の場合もありますし、まだ繋がっていないどこかの異世界の場合もあります。
迷い込んだものは、時間が経って元の場所へ戻ることもあれば、いつまでも迷い込んだままになっていることもあります。
また、場所そのものが一時的に異世界から迷いこんで来たり、迷い込んでしまったりすることもあります。
こうして迷い込んできた異世界のものへの対処がアイドルたちに依頼されることもあります。
地球から異世界に迷い込んでしまい、いわゆる“神隠し”に遭ってしまった大切な人を探すためにアイドル活動を行っている人もいるようです。
異世界から迷い込んでくるものは大きく2種です。
その姿を実体化させるものと、思念のような形で人や物にとりつくものです。
いずれも基本的にはアイドルでなければ対応できません。
また戦いだけで解決できるわけでもなく、アイドルの魅力をもって悪しきノイズの影響から解放する必要がある場面も多く存在しています。
現在、世界中に非常に多くのアイドルが存在し、ネット上でも飽和状態となっています。 そのため、メディアへ露出してトップアイドルになっていくためには、まずは地道にファンを増やすしかありません。 トップアイドルを目指す者たちは、自分たちの事を知ってもらうために、身近な場所でゲリラ的にライブを行うようになりました。 そのうちに、ユニット同士でライブ対決する文化が生まれたのです。 互いにアピールをしてステージを盛り上げるライブ対決は、自分たちの成長に加え、ファンを増やすために不可欠な要素となっていきます。 また、人々が常にアイドルのライブを求めており、政府を通じた聖歌庁のフォローもあり、これらの行為は社会に受け入れられ、日常となったのです。 そうして身近な地域のファンを増やしたアイドルは、芸能界と聖歌庁が定めた『アイドルランク』を上げていきます。 アイドルランクは秘匿された独自の基準に基づくものではあるものの、アイドルの実力が高く、多くのファンを持つ者のランクが上がるものとなっています。 アイドルはライブ対決をしたり、様々なイベントなどに出演したりしながらアイドルランクを上げていくのです。 また、最近では異世界へ研鑚に行く者も珍しくなく、ランクの高いアイドルほど多くの“スタイル”を使いこなしているようです。 アイドルランクが高くなればなるほど、大きなイベントや番組へ出演することができ、今や各エキスパートにしか許されない日本全国規模以上の活動ができるようになった者を“トップアイドル”と呼びます。 そして、その中で更に上のトップアイドルたちが世界規模での活動をしているのです。 聖歌庁に所属するアイドルたちは、この世界規模のトップアイドルが多くを占めます。
グランスターホールディングスが聖歌庁の協力を得て作り出した、革新的な演出装置です。
表向きには、五感に直接訴える拡張現実システムであるということになっています。
しかし実際のところ、ディメンションシフトは『会場を空間ごと異世界化させる』ための仕掛けなのです。
観客たちは異世界化に気づくことがなく、さらにアイドルの力が十全に発揮されるため、通常の“忘却”よりも鮮明に、そこで起こったことを覚えています。
この装置によって、アイドルたちはスタイルチェンジの力を存分に発揮し、異世界の力を用いてパフォーマンスをすることができるようになり、まったく新しい体験を観客たちにもたらすのです。
2015年の事件以来、地球各国の異世界を認識できる人々は再び地球を襲うであろう異世界の脅威に備え、超国家的な組織を作っていました。
それが「聖歌庁」です。
各国の有力者たちと芸能界との連携によって生まれた聖歌庁にはあらゆる分野のエリートが集められました。
彼らは厳しい訓練を経て各国へ派遣されています。
各国の政府主導のアイドル育成の基盤を作ったのも聖歌庁です。
彼らは本来異世界を認識できない者を『異世界を認識できるようにする』ことができる方法を持っていると言われています。
彼らは異世界からの脅威に対し厳しく対応し、時にアイドル育成学校の生徒たちに対し理不尽に振る舞うこともあります。
しかし、アイドルたちの活動を円滑にするための国をあげてのバックアップの根幹にいるのも彼らなのです。
日本では白陽秋太郎をトップとした複数の『聖歌隊』が活動を行っています。
秋太郎以外の日本人は少なく、海外で育成されたアイドルが多く所属しています。
元財閥であるグランスターホールディングスと周辺企業を中心としたグループで、非常に影響力の強いアイドルを抱える企業の一つです。
財閥時代の当主がトップから退き、烏扇統夜が会長となって後、あらゆる分野のグループ企業がアイドルの育成とプロモーションに注力し、常に良質なアイドルを世に送り続けています。
芸能界への進出により、メディアだけにとどまらず政治の世界にまで影響力を持つと言われていますが、あまりにも厳しく無理なアイドル育成によって多くの廃人が出ているという噂が絶えません。
烏扇の傍らには常に執事の黒山が居ます。
あらゆる分野でアイドル人気が非常に高く、実力第一主義となっており、不正な方法で活躍するのは不可能と言って良い世界です。
そのため多少のスキャンダルが実害を伴うことも少なく、その人気と需要は不動のものでアイドルランクも保たれます。
純粋にアイドルとしての力量が試される場、それが現在の地球のメディアなのです。
例えば、日本全国規模のイベントや番組に出演するには、『トップアイドル』でなければできません。
日本の特に有名なトップアイドルでは正統派ソロアイドルの咲田 茉莉花(さきた まりか)を筆頭に、カジュアル系4人組ユニット『デイズ』、実力派ロックバンド『CLOCK UP』、ゴシック系ユニット『Castle』、カリスマユニット『ヘラクレスビートルズ』などが居ます。
アイドルがライブで用いる道具、楽器、飾りやシューズなどの中には、特別に魅力を発揮させるものがあります。
そうしたものは『芸器』と呼ばれています。
アイドル総合ブランド企業は、アイドルのライブにまつわるこの芸器や衣装、グッズなどを総合的に扱っています。
これは企業だけに限らず、個人のクリエイターによるブランドである場合もあります。
日本での主な有名ブランドとして、カジュアル系ブランド『ユニカジ』、ロック系ブランド『Leo’H』、ゴシック&モード系ブランド『キングダム』、高級ブランド『グランスタ』などがあります。
また、フェイトスターアカデミーも『フェスタ』ブランドでポップなものを中心に芸器や衣装のプロデュースを行っています。